米、軍縮の中にあっても、海兵隊の中国沿岸軍事基地を強襲する能力を強化へ。こういう所は流石です。中国の凄まじい軍拡と我が国領域を含めた活動領域の拡大に対して、我が国の防衛力・抑止力の増強の努力は全く不足しています。 — 《米海兵隊、中国沿岸軍事基地を強襲する能力を強化へ 中国の強硬姿勢を懸念》 2014.07.30 ZAKZAK 米海兵隊のジョン・パクストン副司令官が、25日から米下院軍事委員会で開かれている米海軍戦略に関する秘密公聴会の席上、衝撃的な証言を行った。米海兵隊が、中国の軍事基地に対する強襲上陸作戦を展開する能力を強化していることを明らかにしたのだ。 証言の全貌は明らかになっていないが、公聴会に出席した専門家は次のように述べている。 「米海兵隊は、中国が不法な軍事行動を起こした場合に備えて、小規模ながら強力な軍事力を使い、東シナ海から南シナ海にかけての沿岸地域にある中国の軍事基地を攻撃するため、上陸用母艦や上陸支援部隊の能力を強化している。このため、議会に対して予算の増額を強く要求している。米国防総省は軍事力を大幅に削減しているなかで、海兵隊の強襲上陸作戦用の兵力や艦艇については強化しようとしている」 米海兵隊が中国沿岸の軍事基地に対して強襲上陸作戦を行う際の主力部隊になるのは、佐世保に配備されている7隻の上陸用母艦と上陸支援艦艇だ。上陸用母艦には、海兵隊を上陸させるための新鋭の上陸用舟艇エルキャック4型などが数隻、搭載されている。佐世保に展開する第7艦隊の上陸支援部隊は航空戦力を中心とする戦闘部隊と並んで米海軍の強力な攻撃部隊で、普段は空母やイージス艦の活動の影に隠れている。 私は強襲揚陸艦「エセックス」に同乗して、フィリピン沖での敵前上陸作戦を取材した。「エセックス」は4万650トン、全長250メートル、新鋭ヘリコプター、水平離着陸型戦闘爆撃機ハリアー数機など50機あまりを搭載、ヘリコプターは順次オスプレイに替えられつつある。 「エセックス」は、海兵隊の戦闘部隊2個大隊を強襲上陸させる能力を持っている。私が取材した訓練は、フィリピンの軍事基地スービックを拠点としてフィリピン軍との共同作戦の形で行われたが、戦闘の進め方をみるかぎり、東シナ海や南シナ海における中国の軍事行動に対応するための作戦であることは明らかだった。 米海兵隊の副司令官が改めて強襲上陸作戦について強調し、議会に海兵隊の兵力強化を要請したのは、中国が防空識別圏などという不法な主張をするからだ。また、中国が緊急事態でもないのに大規模な海上訓練を繰り広げて軍事的な強硬姿勢を強めていることを懸念しているためだ。 中国は、米海兵隊が強襲上陸作戦の兵力を強化していることを警戒している。朝鮮戦争の際、米海兵隊が韓国の仁川に強襲上陸作戦を敢行し、米国に敗色の濃かった戦況をひっくり返したことがあるからだ。米国は朝鮮半島防衛作戦を放棄する一方、いまや中国の不法な軍事力拡大に対して米国の伝家の宝刀である海兵隊の強襲上陸作戦をちらつかせ始めている。 ■ 日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。 |