2014/10/23 12:50

《年内に償還期限を迎える地方政府の債務はいくらあるのか?
2013年六月末で17兆9000億元(邦貨換算322兆円)》
2014.10.23「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」第4372号

 中国の不動産バブルの崩壊はいよいよ本格化する。
中国の「邯鄲の夢」は終わった。まさに河北省邯鄲で建設中の2000戸のマンションが工事中断に追い込まれ、開発業者はなんと30%の高利で運転資金を集めて、現場に注ぎ込んでいたがついに資金が続かず、オフィスはがらんどう、経営者は「蒸発」したことを日本経済新聞が写真入りでつたえた(同紙、14年10月22日、13番3面)。
 
 中国国務院は10月2日に地方政府の債務に関して新ルールを発表した。
目下、最大の危機は年内に償還期限を迎える地方政府の債務である。返済の見通しはゼロである。

 地方政府が「融資平台」という第三セクター的は機関をもうけて投資家から資金を募り、高利を売り物に巨額を集めた。これらが誰も住む見通しのないマンション群、幽霊屋敷と貸したショッピングアーケードなどに投下された。
 無謀というより、まさに発狂的投機に熱中した中国人の狂態である。

中国会計検査院の発表によれば、2013年六月末で地方政府の債務は17兆9000億元(邦貨換算322兆円)とされるが、その後、関連数字の発表がない。あまりのことに次の発表をすると市場に恐慌心理が蔓延することを懼れているのだろう。

 年内に償還期限を迎える地方政府の債務はいくらあるのか? 
 アジアタイムズによれば上記数字のおよそ40%が、償還時期を迎えるというが、シャドーバンキング、理財商品という手口は使い果たし、政府の救済にたよるしかないだろう。

 すでに大都会でも不動産が売れず、デベロッパーの倒産、経営者の雲隠れが頻発し、歳入の見通しさえない。
 シャドーバンキングの貸付総額は、600兆円を超えると見られる。

 中国財務部は10の地方政府を撰んで試験的に地方政府債の発行を許可したが、国家発展改革委員会は、その措置に反対した。
同時に国務院は、「今後、融資平和台の利用を禁止し、政府の救済はない」と言明した。
空恐ろしい結末がみえてきた。