北京のプロパガンダ出先機関「孔子学院」は、独立運営されるべきであり、我が国の大学との「提携」という名の干渉は禁止する必要があります。
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《「中国の手足、学問の自由を無視」 北米で相次ぐ『孔子学院』批判と閉鎖》
2014.10.23 産経新聞
中国政府が世界各地の大学と提携して展開している文化機関「孔子学院」をめぐり、北米で閉鎖の動きが相次いでいる。孔子学院の運営には中国政府の「価値観」が色濃く反映されるといわれ、米国大学教授協会(AAUP)は6月に発表した声明で、「孔子学院は中国国家の手足として機能しており、『学問の自由』が無視されている」と批判、関係を絶つよう各大学に勧告していた。孔子学院との関係見直しは今後、拡大する可能性がある。
■ 123カ国・地域に465校
孔子学院は、海外での中国語の普及や中国文化の宣伝の拠点として、中国政府が2003年、国家プロジェクトとして立ち上げた。管理・運営の主体は、中国教育省が管轄する国家漢語国際推広領導小組弁公室(漢弁、本部・北京市)だ。
2004年に韓国・ソウルに1校目を開設した後、欧米、アフリカ、アジアなど各地で設置が進み、現在123カ国・地域に465校がある。そのうち約100校が米国に集中し、日本でも、立命館大学や桜美林大学など10以上の大学にある(漢弁のホームページより)。
公的な国際文化交流機関の先例には、英国のブリティッシュ・カウンシルなどがある。孔子学院がこれらと異なるのは、独立運営ではなく、現地の大学と提携して開設している点だ。教材や中国語を教える中国人教員は、中国側が採算を度外視して提供する。このため、現地の大学側にとっては低予算で、中国語を学びたい学生らのニーズに応えられるというメリットがある。
節目の10周年を迎え、9月から10月にかけて、各地の孔子学院では記念行事が催された。「孔子学院の日」の9月27日には、中国の習近平国家主席(61)が「孔子学院は中国のものであり、世界のものでもある。中国政府と人民はこれまで同様、孔子学院の発展をサポートする」と祝辞を寄せた。
■ 敏感なテーマは排除
そんな最中の9月下旬、米国で2つの大学が孔子学院に相次いで「NO」を突き付けた。シカゴ大は5年間の契約更新交渉の打ち切りを決定。続けて、ペンシルベニア州立大も提携の打ち切りを発表した。州立大は声明で「われわれのいくつかの目標が、漢弁のそれらと合致しなかった」と説明。提携打ち切り理由の詳細は明らかにしなかった。だが、2日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、「大学当局は、大学の教授らが提案した環境や科学、政治に関する研究プロジェクトを漢弁側が拒絶するのにいらだっていた」とするペンシルベニア州立大の孔子学院の旧責任者の証言を伝え、提携打ち切りの背景事情を示唆した。
さらに、米国の大学教授らの指摘として、「孔子学院は、台湾やチベット問題、1989年の天安門広場での民主化運動の弾圧といった、中国共産党が政治的に敏感だと考えるテーマをカリキュラムから排除する」とも報じた。両大学とも、授業内容や運営方針をめぐる対立があったとみられる。
最近もある“事件”が起きている。今年7月、ポルトガルで開かれた中国研究者らの学会。現地の孔子学院も運営にかかわったこの学会で漢弁のトップ、許琳氏(60)は、資料冊子に台湾の組織に関する紹介文があったことを問題視し、該当ページを破った上で参加者に配布させた。孔子学院が中国政府の価値観を押しつける象徴的な一幕といえ、両大学の方針決定に影響を与えた可能性がある。
■ 「運営は北京政府だ」
言論や学問の自由擁護の観点から孔子学院を批判する米国内の声に、中国側も反論する。中国共産党機関紙、人民日報系の国際情報紙、環球時報(電子版)は6日、王徳華特約評論員の論評を掲載。王氏は「米国の学問の自由は口先だけだ。米国の大学が孔子学院を封鎖するのは、米国の一部エリートの文化や制度に対する自信のなさの表れだ」「中華文明は5000年にわたって連綿と続くが、米国は200年余りしかない。文化の奥深さは中国に遠く及ばない。彼らは恥ずかしく、怖いのだ」と主張した。だが、論評は、米国側が学問の自由の侵害の具体例として示す「天安門事件」や「チベット問題」に触れていないため(触れられないため)、議論はかみ合わない。
カナダでも1日、トロントの教育委員会が孔子学院との関係解消を決めた。「教育委員会の方針転換は、まったくもって正しく、大賛成だ」。カナダの有力紙グローブ・アンド・メール(電子版)は2日付の社説で、教育委員会の決定を称賛。次のように指摘して、孔子学院への不信をあらわにした。
「孔子学院を運営しているのは孔子ではない。北京の政府だ。25年前に天安門広場の学生たちを武力弾圧し、今日、香港での民主化の動きを違法だと呼んでいる政府が管理しているのだ」(国際アナリスト EX)
http://www.sankei.com/premium/news/141023/prm1410230004-n1.html