《インド軍と中国軍がヒマラヤ山奥で軍事衝突の模様》
2014.11.01 宮崎正弘 杜父魚文庫ブログ
■ 過去十年で最大規模の軍事衝突とウォールストリートジャーナル
カシミヤの名産地として知られるインド最北西部アルナチャル・ブラデッシュ州のラダク地区。遊牧の民、35家族が羊を飼い、カシミヤ原料をつくってほそぼそと暮らしている。信仰するのは山岳特有のシャーマニズムが混ざったチベット仏教で、かれらはチベット語を喋る。立派な仏教寺院もある。
6000メートル級のヒマラヤ山脈の麓、牧草北限とされ、標高2400メートルの高地は荒々しい岩肌が続く。
九月にインドを訪問した習近平は、この機会を狙ったかのように中国人民解放軍がラダク地区に侵入したため、モディ首相から猛烈な抗議を受けた。
この事件を知らなかった習近平は事実確認に手間取って、翌日、遺憾の意を表したという。つまり習近平は、軍を掌握していない実態を晒した。
ウォールストリートジャーナル(11月1日)は、このラダク地区で過去十年来なかった大規模な軍事衝突が起きたと伝えた。武装ヘリを飛ばしあって軍事的緊張がたかまっているという。
インドと中国は、このラダク地区を巡って領土紛争を続行しており、お互いが1000名規模の監視軍を駐屯させている。
極度の緊張のなか、両軍はにらみ合っている。
中国側はブルドーザなどを運び込み、道路建設に余念がなく、インドも54カ所に監視所を設け、2850万ドルを投じて、インフラ整備を行っている。
表面的には中国とインドは友好、貿易拡大、そして中国は巨額の投資を行うとされるが、他方では南シナ海に次々と海洋リグをたてて周辺国を脅かしているように、ヒマラヤ国境では高地からインドの要衝を脅かすという矛盾を示している。
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