《「イスラム国」掃討に53億ドル 中露への優位維持に装備調達費拡充 米国防予算案、7・8%の増 2年ぶりの増額要求》
2015.02.03 産経新聞
【ワシントン=青木伸行】米国防総省は2日、2016会計年度(15年10月~16年9月)の国防予算案を発表した。戦費を除く人件費や調達費などの基本予算は、要求ベースで前年度比7・8%増の5343億ドル(約63兆円)。
増額要求は14会計年度以来2年ぶり。予算案の柱は(1)アジア太平洋地域での「リバランス」(再均衡)戦略の維持(2)欧州と中東の安定への関与維持(3)イスラム過激主義への対抗(4)技術革新-などとした。
対テロでは、基本予算と別枠の「国外作戦経費」として、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の掃討作戦に総額53億ドルを計上。このうち13億ドルは、イラク軍とシリアの穏健な反体制派に対する装備と訓練に充当される。
ただ、国外作戦経費全体では、アフガニスタン駐留米軍の縮小を踏まえ、前年度比20・7%減の509億ドルとなった。
リバランスの関連では、中国やロシアに対する米軍の優位を維持するため、装備の調達費を同19・1%増の1077億ドルとし、ステルス戦闘機F35の購入数を、前年度の38機から57機に大幅に増やすなど、主要項目を上積みした。
ウクライナ情勢を踏まえ、欧州の同盟国との協力を強化するため約8億ドルを盛り込んだ。
同時に、軍事的な優位性を維持、強化するための技術革新関連予算として、同9・9%増、698億ドル研究開発・試験評価費を計上した。
国防予算案は、議会が課し13年3月に発動された、国防支出の強制削減に基づく支出上限4990億ドルを上回っており、この点をめぐる与野党の調整が今後の焦点となる。
http://www.sankei.com/world/news/150203/wor1502030031-n1.html