《【沖縄が危ない】結果に困惑の沖縄メディアは論点すり替え 与那国島の「自衛隊誘致」住民投票》
2015.03.04 ZAKZAK
日本最西端の島、与那国島(沖縄県与那国町)で2月22日、陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の是非を問う住民投票が行われ、「賛成」が約6割の得票で「反対」を下した。島に配備される沿岸監視部隊は、中国の軍用機や艦船の動向を早期に察知する上で重要な役割を果たす。配備は日本の安全保障に不可欠だ。
そもそも、一自治体の住民投票で国の安全保障を問うのは地方自治の枠を超え、妥当ではない。住民投票は配備反対派が主導したのだ。
過去の町長選では、配備推進派が連勝した。「現状では勝てない」と判断した反対派は、強引に条例を制定し、中学生と永住外国人にまで投票権者の枠を広げた。
さらに、島に設置予定の沿岸監視レーダーが出す電磁波が「住民の健康をむしばむ」などと科学的裏付けがない主張も展開し、町民の不安をあおった。
それでも結果は、町民の良識が勝利した。困惑したのは、米軍や自衛隊に批判的な報道で知られる沖縄のマスコミだった。投票結果を報じた記事や社説は「町民にとって生き残りを賭けた窮余の一策」(沖縄タイムス)、「結果をもって、計画が町民の全面的な信認を得たとまでは言えないだろう」(琉球新報)などと強調した。
深刻な過疎化に悩む町民が経済的に追い詰められ、やむを得ず配備に賛成したかのようなイメージづくりに腐心した。
確かに、自衛隊員の移住は、町で経済活性化のカンフル剤として期待されている側面がある。しかし、与那国島は、中国が虎視眈々と狙う尖閣諸島とは約150キロしか離れていない。日本の国境線を実力行使で変更しようとする横暴な隣国の姿に、多くの町民が身の危険を感じている。決して経済だけを考慮して配備に賛成したわけではない。
町議会の糸数健一議長は「自衛隊で島おこしなんて、みじんも考えていない。国防が第一だ」と、マスコミの一面的な見方を否定する。
与那国町議会は沖縄が日本に復帰した翌年(1973年)の時点で、すでに自衛隊誘致を決議していた。島からわずか約110キロ先にある台湾と中国の有事を懸念したためだった。
決議では「住民の不安動揺」を訴えており「島の活性化のため配備をお願いします」などとは一言も書いていない。町が自衛隊誘致に踏み切った根本的な理由は40年前から「中国の脅威」だった。
住民投票の結果を経済だけで説明しようとする沖縄マスコミの論調は、巧妙な論点のすり替えだ。反基地の大義名分のもと、沖縄に迫る中国の野望から県民の目をそらそうという意図が感じられ、要警戒である。
■ 仲新城誠(なかあらしろ・まこと) 1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に石垣島を拠点する地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県の大手メディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(産経新聞出版)など。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150304/dms1503041550006-n1.htm