「沖ノ鳥島に人員を常駐させよ」 その2

できれば前号も読み直して頂けると幸いです…。

前号では、

1.我が国の南端、沖ノ鳥島について、共産党独裁中国(以下、共中)が「島」でなく「岩」だと主張し、同島が有する、我が国の国土面積約38万平方kmを上回る約40万平方kmの排他的経済水域(EEZ)を認めないと主張し、無断で調査船を送り込み調査をしている、

2.「国連海洋法条約」に基づく「大陸棚限界委員会」は、沖ノ鳥島がEEZを有する事を認めている。

3.共中が南シナ海全域の領有を主張している事と、我が国が沖ノ鳥島について主張している事について、似ている様に間違う人が多いが、異なる。
共中は、南シナ海で「暗礁」まで「島」(岩を含む)である様に主張しているが、沖ノ鳥島は歴然とした「島」(岩を含む)である。

4.条約上、EEZが認められる「島」は、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することができる」もの、「岩」は、そうでないもの。

5.共中に難癖をつけられない様に、沖ノ鳥島で実際に「人間の居住又は独自の経済的生活を維持」するべきである。

という事を説明しました。

今回は、どの様に沖ノ鳥島で「人間の居住又は独自の経済的生活を維持」するかについて、政府の取組みの現状と、私なりの提案を説明します。

実は、私が30年前、学生の頃から沖ノ鳥島について考えていた案(国連海洋法条約は、1982年採択、1994年発効)と、ほぼ同じ事を実際に南シナ海で行ったのが、共中でした。敵ながら天晴です。

どの様な方法であったか。

南シナ海には、南沙諸島のジョンソン南礁(赤瓜礁)等、沖ノ鳥島と同様に、満潮時には殆ど水没し、僅かな岩しか水面上に出ない様な島が、幾つもあります。

中共は、その様な岩の上に、高床式の粗末な四畳半ほどの掘っ立て小屋を建てました。
その掘っ立て小屋に、人民解放軍の兵士を2人、常駐させたのです。過酷な環境ですから、多分交替制でしょう。

そして、その兵士達に「釣り」をさせました。釣れても釣れなくても良い。これで「経済活動をしている」事になります。

共中は、今の様に経済発展する以前の貧しい時代から、この常駐を辛抱強くずっと続けてきました。

これにより、共中は、その岩の上に、「人が居住し、恒常的に経済的生活を維持」している状況を作りだしたのです。
この状態の時に、他国は異議を唱えるべきでしたが、そうした国は殆ど無かった様です。

そして、経済発展が成り、海洋土木技術も獲得した時点で、世界に衝撃を与えながら、岩や暗礁の周りを埋め立て、島を拡張したり人工島を作り出し、軍事拠点を建設していったのです。

我が国の沖ノ鳥島の場合は、共中ほど強引な方法を採る必要はありません。

まず、繰り返し述べている通り、沖ノ鳥島は、「暗礁」ではなく「島」(岩を含む)ですから、「人工島を造り出す」との批判を受ける事はありません。

次に、南シナ海と異なり、領有権の紛争がありません。
南シナ海では、各国の領有権の主張がぶつかり合う中で、中共が軍事力で無理やり島や岩、暗礁を占拠していきましたが、沖ノ鳥島の領有権が日本にある事を認めない国はありません。
共中と韓国だけが、EEZを認めない、と主張しているだけです。

そして、沖ノ鳥島の場合、戦前から気象観測所や灯台の建設の計画と工事がなされ、戦争で中断しましたが、米国から返還後、護岸工事等も少しずつ行われ、1991年には、観測施設が建設されました。

この観測施設は、縦20m、横80mの架台の上に立つ鉄筋3階建ての建物です。気温や波高の観測のほか、カメラやレーダーで不審船の往来を監視し、データは衛星通信で本土に送っています。
また、年2回、本土から派遣された職員が島の点検や岸壁を補修しますが、その際の拠点になっています。

そして、同施設は老朽化が進んでいる為、130億円を投じて2020年度の完成を目指して建て替える計画が進んでいます。
更に、進捗状況が公開されていないのですが、政府は、沖ノ鳥島の経済活動基盤の整備の為、2010年、「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する基本計画」を閣議決定し、国土交通省は、750億円を投じて、沖ノ鳥島の西側に港湾設備、岸壁、泊地、臨港道路などを建設し、輸送や補給等が可能な活動拠点を作ることとしています。

もう少し細かくは、「沖ノ鳥島及びその周辺海域で活動する船舶による係留、停泊、荷さばき、北小島等への円滑なアクセス等が可能となるよう、沖ノ鳥島西側に特定離島港湾施設(岸壁(延長 160m 水深 -8m)、泊地(水深 -8m)、臨港道路(附帯施設を含む))を整備する」という内容です。

当初、2016年に完成の予定でしたが、同年に事業再評価が実施され、2021年の完成に計画が変更されました。事業費は、750億円から1270億円に増加しています。

実は、理由は察する事ができますが、この事業の進捗状況は、公表されていません。
私は勿論、この事業の完成を期待していますが、私は2点、懸念しています。

1点目は、計画に「居住施設」の整備が含まれていない事、
2点目は、この計画に引き続く計画が検討されていない事、従って、次の計画に「居住施設」の整備が検討されている訳でもない事、です。

同計画で、岸壁から島内に向けて造られる臨港道路は、北小島へのアクセスとして造られる物であって、建て替えられる観測施設に繋ぐ予定は無い様です。

そして、先に挙げた観測施設の建て替え計画に於いても、恒久的な居住施設の整備は盛り込まれていない様です。

これは随分と消極的な計画ではないでしょうか。
共中は、「人が居住」していなければ、「島」だと認める事はないでしょう。
そして、日本のEEZを否定し続け、日本に無断で調査船等を送り込み続けるでしょう。

私は、もっと積極的な事業が必要だと考えています。

とにかく、人が居住する事が最も重要です。
ですから、港湾機能だけではなく、居住施設が必須です。
そして、居住機能を整備するに当たって、共中に揚げ足を取られない為には、居住施設は、北小島、東小島の上に造らなければならない、と考えます。

島の他の場所、例えば建て替える観測施設に居住機能を持たせるだけでは、共中は必ず、
「それは島に居住している事にならない。人工島を近くに造っただけだ」
と、条約が要求する要件を満たしていない、と主張するでしょう。

従って、港湾整備も必要ですし、観測施設の建て替えも必要ですし、更には、観測施設に居住機能を整備する事も必要ですが、最も重要な事は、満潮時にも海面上に出ている北小島、東小島に居住施設を整備する事だと考えています。

その北小島、東小島と観測施設、港湾施設等を全て臨港道路で繋ぎ、より利便性の高い居住環境を整備する事が、まず必要です。

そして、その北小島、東小島の居住施設に、人に居住して貰い、経済活動をして貰う。漁業、気象観測、インターネット環境を整備してネットビジネスでも、どの様な経済活動でも良いです。
絶海の孤島に居住する人など、いるのか、とのご意見もあるでしょう。

私は、政府が高い報酬と一定の水準以上の生活環境を保証すれば、居住を希望する人は必ずいる、と考えています。

私自身、例えば月収50万円が保証されて、食とネット環境が確保されれば、ひと月交替で、年6カ月、沖ノ鳥島に駐在する様な仕事があれば、喜んで手を挙げます。

都議会議員であった時、私は、国がやらないのであれば東京都がその事業をやるべきだ、と考え、都議会で質疑も行いました。

2010年12月8日 東京都議会本会議一般質問
http://k-yoshida.jp/koichiro/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=90

沖ノ鳥島駐在の仕事は、南極の昭和基地の観測隊の仕事に似ているかもしれません。
借金ができたらマグロ漁船に乗る、等の選択肢の一つに加えられるかもしれません。
自衛隊員に駐留して貰う事も、重要でしょう。
そして、この様にして「人が居住している」状況を維持し、共中も文句を言えない歴とした「島」である、という事になってから、大規模な土木事業を開始すべきです。

「人が住めない『岩』」だ」と共中が文句を言える状況で、島の地形を改変した場合、中共は、それもまた、
「島でなく岩だ」「岩を改変しても島とは認められない」「人工島であり、EEZは認められない」
等と主張する可能性があるからです。

沖ノ鳥島の環礁の大きさは、南北約1.7km、東西約4.5kmと、南鳥島よりも一回り大きく、4000mの滑走路(日本では最長)を納める事ができます。

最終的には、滑走路も整え、我が国の海洋開発と安全保障を担う最前線の拠点として発展させていく必要があると考えます。

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