日本は北朝鮮関係者の巣窟

国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員、古川勝久氏の指摘。

「日本は法整備が遅れている。日本国内の居住者が海外で国連制裁違反を起こしても取り締まる国内法がない。政府内にも、国連制裁に関する責任部門がない。外務省では安保理決議は国連政策課、履行は北東アジア課、国内法整備担当は安全保障政策課が担う事になっているが、ボールを互いに投げあっている。他国に比べ、縦割り行政の弊害、情報公開の壁、法制度の不備など。」

「取締当局は法律がなければ動けない。安保理決議が”ここまでやれ”と言っても、法律が届かない。さらに省庁間の連携が他国と比べてよくない。他国は”オール国連”と”オールフランス政府”みたいな形で協議ができるが、日本では省庁たらい回し、「通訳は国連の方でお願いします」。司法関係の情報公開も遅れている印象。裁判資料を入手するのも大変で、しかも手で書き写さなければならない」。

CIAの分析官も務めていたという専門家パネルの委員は「日本は北朝鮮関係者の巣窟だ」。

ちなみに、古川勝久氏は大学同窓の友人です。

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《拠点は新橋の雑居ビル「1007号室」 国連制裁の裏で、北朝鮮貿易に暗躍する日本人が!》
2017.12.21 AbemaTIMES

北朝鮮に科せられた国連制裁。しかしその”抜け穴”に日本人が関与しているという事実が明らかになった。

22日発売の『北朝鮮 核の資金源「国連捜査」秘録』(新潮社)でその衝撃の実態を綴ったのは、国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会の専門家パネル元委員・古川勝久氏。

古川氏が昨年春まで務めていた「専門家パネル」とは、5つの常任理事国と日本・韓国・南半球代表の8人で構成され、安保理決議違反事件を捜査し、安保理や加盟国に改善策を勧告するほか、年次報告書を作成するチームだ。

北朝鮮への制裁にあたって実態調査する過程では、東南アジア諸国と北朝鮮の強い結びつきを感じたという。「専門家パネル」安保理に対し制裁対象を推薦することができるが、逮捕権などはなく、関係国に協力を求め、法的措置を促すなどのアプローチをするしかない側面もあるという。

「『この人は北朝鮮の情報機関の人間で、違反行為がある』と指摘すると、みんな黙ってしまう。例えば最初の頃は協力的だったマレーシアは、色々な情報が出るにつれ、非協力的になった。政治家や軍の元高官などの有力者が北朝鮮との貿易を仕切っているということも見えてきた。北朝鮮は石炭、鉄鋼石、金、天然ウランなどの資源が豊富な国。禁止になってもそれまでのビジネス関係があって続けざるを得ない事情や、アフリカ・中東では北朝鮮の安価な武器が重要。取引は手放せない事情もある。国連制裁によって、直接の取引は止めるけれども、今度は迂回させるようになる。仲介御者がマージンを取るようになるので、北朝鮮にとってコストは高まるが、貿易自体は続けられる仕組みだ」。

■ 東京・新橋の雑居ビルにある「1007号室」

「元々、北朝鮮との貿易自体はOK。国連制裁はあくまでも核・ミサイルに絡むヒト・モノ・カネに対する『ターゲット制裁』。ところが北朝鮮は合法取引の中に非合法目的の取引を非常に巧みに潜り込ませている。そこに日本製や米国製の市販品も混じっており、それらをベースにして北朝鮮はシステムを作っている」。

古川氏によると、そのような実態を背景に北朝鮮貿易で暗躍する人々の中には、日本人もいるという。東京・新橋の雑居ビルにある「1007号室」がその拠点で、14の香港企業を取り仕切っているという。2013年7月、北朝鮮による武器密輸事件で貨物手配や海外送金などの関係が疑われ、キューバから北朝鮮に航行中に摘発されたパナマの貨物船からは、兵器は分解され砂糖で隠された旧ソ連製の「ミグ21戦闘機」や地対空ミサイルが見つかった。

「私たちが捜査をした結果、兵器密輸の隠蔽指示をしていたのが、貨物船の運行指示を行った北朝鮮最大の船舶企業OMM。このOMMのグローバルネットワークを解明していくと、香港にキーとなるフロント企業があることが分かった。さらに調べていくと、実はその新橋の企業だった。香港の企業登記簿を見ると、日本人の名前が出てきて、連絡先の住所が新橋の駅前の住所になっていた」。

このOMMのネットワークには関連企業が海外に187社、北朝鮮に52社あり、海外協力者は40人、北朝鮮人スタッフが119人いるという。これまでに船舶35隻を所有し、金融、商社、海運業、製造業と幅広く手がけている。外国船に偽装した船がアフリカ、ブラジル、日本、中国、ロシア、ギリシアなど、世界各地にいるのだという。

「私たちは分かる限りのフロント企業を叩きまくり、私が国連を退職する時点で、分かる限りほぼなくなった。しかしその後、新しい資料が出てきて、そこには見たこともない日本居住者の名前が書かれ、中東・南アジアにも拠点が残っているらしいということも分かった。今もまだ世界各国で摘発は続いている。制裁をしたつもりになっているが、実際にはいくらでも抜け道がある。そのルートの一つがシンガポールで、京都府警が先日3名摘発した。その一人が、新橋の企業でかつて取締役だった人物だった」。

■ 「日本は北朝鮮関係者の巣窟だ」

国連が2006年に初めて制裁の安保理決議を行って以降も、日本からは様々な贅沢品などが輸出され続けてきた。

・奢侈品不正輸出事件
2008年10月、12月
ピアノ34台、ベンツ4台(約670万円相当)
2008年、09年
中古ノートPC7196台
2009年5月
化粧品673点含む貨物(約270万円相当)
2009年、10年
化粧品含む貨物(約2億4700万円相当)

「北朝鮮の高級デパートなどに行くと、日本や欧米の高級時計や香水、化粧品、日本酒、焼酎など色々なものがある。今年9月の核実験後、厳しい安保理決議ができて安倍首相が”最強の圧力”と言った一方で、岩手県産の醤油や兵庫県産の日本酒などがまとめて北朝鮮に送られ、スーパーに並べられていた」。

こうした実態について古川氏は「日本は法整備が遅れている。日本国内の居住者が海外で国連制裁違反を起こしてもそれを取り締まる国内法がない。政府内にも、国連制裁に関する責任部門がない。外務省で言えば安保理決議は国連政策課、履行は北東アジア課、国内法整備担当は安全保障政策課が担うということになっているが、みんな面倒くさいのでボールをお互いに投げあっている状態が続いているのではないか」と指摘する。他国に比べ、縦割り行政の弊害、情報公開の壁、法制度の不備など様々な課題が解決されないままだというのだ。

「誤解のないように言うと、取締当局の人たちは一生懸命にやっている。ただ法律がなければ彼らも動けない。昔の様々な法律を延長して運用しているので、安保理決議が”ここまでやれ”と言っても、法律が届かない。さらに省庁間の連携が他国と比べてよくない。他国は”オール国連”と”オールフランス政府”みたいな形で協議ができるのだが、日本では省庁をたらい回しにされたり、”通訳は国連の方でお願いします”と言われたりする。また、司法関係の情報公開も遅れている印象だ。裁判資料を入手するのも大変で、しかも手で書き写さなければならない」。

そんな日本の状況に、古川氏の同僚で、かつてCIAの分析官も務めていたという専門家パネルの委員は「日本は北朝鮮関係者の巣窟だ」と話したという。

古川氏も「関与しているのは一握りの方々だが、丁寧に、徹底して法律に基づく執行をしないと、まったく北朝鮮とは関係ない方までもが誤解に基づいた差別を受けてしまう。そうならないためにもより有効な法整備をし、国内では税関、出入国管理などが協力しなければならないし、中国・台湾などとも実務レベルで関係を密にしなければならない」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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