衆議院解散後の内閣総理大臣は国会議員か
衆議院議長が「衆議院を解散する」と言った瞬間に、言った議長も含め、すべての衆議院議員は失職し、「前」衆議院議員となる。議長の「これにて閉会します」という一言もない。それを言う議長も既に失職したから。議員が議場からの退出する時は、もう衛視(警備員)は敬礼しなくなる。「前」議員であって、もはや一般人だからである。
首相と国務大臣の過半数は国会議員であることが求められる(憲法第67条第1項、第68条第1項)。首相や国務大臣が衆議院議員の場合、衆議院の解散により国会議員(衆議院議員)を失職した訳であるから、その資格を失う。
ただし、内閣そのものは、総選挙後の臨時国会で新しい首相が指名され、天皇により任命されるまで、引き続きその職務を行う(憲法第71条)。この間、衆議院議員ではなくなった首相や閣僚が内閣としての仕事を続ける変則的な状況となる。
総選挙が終わって最初の国会が召集されると、内閣は総辞職する。新しい首相が指名され組閣するまでの間は、直前までの内閣が職務を代行する。これを「職務執行内閣」といい、一時的にせよ行政が停滞することを防ぐ為の規定である。総辞職後の内閣は、新たな内閣総理大臣の任命とともに消滅するものであり、専ら行政の継続性を確保する為に必要な事務処理を行うにとどまるべきものであって、それを超えて新規政策の実現に積極的に取り組むようなことは差し控えるべきもの、とされている。
現在の我が国の場合、衆議院が解散しても参議院議員がおり、衆参同時選挙でも参議院は半数改選である為、参議院議員の半数が常に国会議員として存在し続けている。
一院制において、解散(総数を改選)した場合、内閣が存在しても、それは「前」議員による「職務執行内閣」であり、国会議員が存在している訳ではない。
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