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中国は共産党一党独裁体制で、司法の独立はありません。
最高人民法院は全人代に従属し、院長は全人代において共産党幹部が任命され、罷免されます。
裁判の公正は存在しないのです。

《中国「秘密裏の死刑」の実態 日本人7人目執行…手紙でSOS、無罪主張かなわず》
2017.01.12 産経新聞

 訴えたかったことは何なのか、それすら外部にはほとんど伝わっていない。40代男性は秘密裏に死刑に処された。2016年10月、中国広東省でのこと。日本人への死刑執行は1972年の日中国交正常化以降、7人目となった。関係者の話から、男性が覚醒剤の売買に関与した罪に問われていたこと、一貫して無罪を主張していたことは分かっている。だが審理の中身はベールに包まれたままだ。学識者らでつくるグループは「日本の国民としてこのまま放置はできない」と問題視し、中国の司法手続きについて検証に乗り出した。

■ 「見知らぬ人からかばん」「全てでっち上げ」主張も…

 発端は、中国から日本の弁護士のもとに届いた1通の手紙だった。差出人の男性は覚醒剤を売買したとして2011年に死刑判決を受けた。2審でもその判断は維持され、旧知の弁護士に助けを求めてきた。

 国内外の死刑事例を研究している学識者や法律実務家のグループ「死刑と適正手続プロジェクト」が手紙を受け取った弁護士から聞き取ったところによれば、男性はフィリピンで事業を起こし、10年に取引のため中国を訪れた。その際、知人の日本人と中国人の2人に呼び出されたホテルで見知らぬ人物からかばんを渡され、まもなく乗り込んできた警察当局に拘束されたという。かばんには約4キロの覚醒剤が入っており、男性が購入したものとされた。

 共犯とされた知人2人は罪を認め、男性が主犯だと供述した。男性は「全てでっち上げで2人の取引に巻き込まれた」と無罪を主張したが、国選弁護士からは罪を認めるよう迫られた。

 男性は中国語をほとんど解さなかった。それでも被告人質問以外に通訳はつかず、やりとりを十分に理解できないまま、どんどん審理が進んだ。手紙をもらった弁護士は現地に乗り込んだものの、男性と直接話をする機会は与えられず、もちろん死刑を覆すこともできなかった。

 売買の罪にもかかわらず購入先は摘発されていないという。同プロジェクトメンバーの石塚伸一・龍谷大法科大学院教授は「死刑の存置・廃止の立場を超えて、どこの国であろうと適正な弁護を受ける権利がある」と指摘。今回死刑が執行された男性のケースを、引き続き詳しく検証していくとした。

■ 厳重な秘密のベール…死刑情報は国家機密扱い

 中国では通常2審制が原則で、死刑に関する裁判だけは最高人民法院が最終承認するという事実上の3審制がとられている。しかし、これらの公判は原則として報道機関や一般市民には公開されない。死刑に関する情報は国家機密扱いなのだ。10年に日本人4人の死刑が執行された際も、氏名や年齢のほか起訴内容も非公開で、日本のメディアは関係筋の情報を基に報じていた。

 国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは、2015年に国別で最多となる数千人の死刑が執行されたと推計しているが、その実態は不明だ。同国の刑事司法制度に詳しい一橋大の王雲海教授(比較刑事法)は、中国が非公表としている理由について「あまりに数が多く、国際社会の批判を避けるためだろう」と推察する。中国国内でも情報公開を求める機運は高まっているが「早期に改善されるとは思えない」との見解を示す。

■ 「アヘン戦争の苦い経験」歴史的背景から厳罰維持か

 中国で死刑とされた日本人7人は、いずれも覚醒剤に関する罪に問われた。日米英での薬物犯罪の最高刑は無期懲役だが、中国は厳罰で臨んでいる。王教授は「アヘン戦争の経験から、薬物事件は中華民族を滅ぼしうる重大な行為と捉えられている」と話した。

 王教授が過去の判例を分析したところ、覚醒剤を3キロ以上所持していた場合、「中身を知らなかった」と違法薬物の認識を争っても裁判で認められたケースはなかった。万一、中国渡航時に不審な荷物を渡されたら「その場ですぐに開けて中身を確認することが、自分の身を守ることにつながる」としている。

http://www.sankei.com/west/news/170112/wst1701120099-n1.html

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