貴重な証言です。 — 《米・元捕虜:「収容所長は暴力許さなかった」 遺族と対面》 2015.10.15 毎日新聞 ◇POWのワーナーさん、45年5月から釜石市に 米国の元戦争捕虜(POW)のジャック・ワーナーさん(93)が日本政府の招待で来日し、大戦中に収容された岩手県釜石市の収容所所長の遺族と対面した。POWを巡っては、戦後70年を経て子や孫の世代が和解へ乗り出す動きが出ている。 ワーナーさんと長女パメラ・エスリンガーさん(66)が12日、収容所所長だった稲木誠さん(故人)の長男実さん(59)と長女の小暮はるみさん(60)ら遺族8人と横浜市の英連邦戦死者墓地で対面した。海兵隊員だったワーナーさんは、1942年にフィリピン戦線で捕虜となり、45年5月から釜石市に移されていた。 「お父さんより君の方がハンサムだな」。ワーナーさんが実さんに冗談を飛ばす。ワーナーさんは、誠さんについて「捕虜への暴力を許さなかった人だ」と敬意を払った。 出会いを実現させたのは誠さんの孫で米国在住の小暮聡子(さとこ)さん(34)。誠さんが出版していた手記を読んだ聡子さんは「祖父の収容所」で過酷な体験をした人を捜し始め、2013年に米西部オクラホマ州に住むワーナーさんを見つけた。 日本の「POW研究会」によると、近年は米国の捕虜体験者の子供や孫の世代が、積極的に問題に関わるようになっている。日本でも聡子さんのように、祖父母世代の問題に向き合う「3世」も現れているという。 研究会の笹本妙子事務局長は「当事者は体験を客観視できない傾向があるが、2世や3世は広い視野から考えられる」と話す。 日本軍は第二次大戦中に約14万人の連合軍兵士を捕虜とし、3万6000人近くを日本へ移送して強制労働を課した。終戦までに国内外で3万人以上が亡くなったとみられている。日本政府は90年代から、元捕虜らとの和解を進めるために当事者や家族を招いている。【大前仁】 写真:日本軍の捕虜となった元米兵ジャック・ワーナーさん(右から2人目)と対面した故稲木誠さんの一家。左から長女の小暮はるみさん、孫の聡子さん、長男の稲木実さん(右端)=横浜市の英連邦戦死者墓地で2015年10月12日、大前仁撮影 http://mainichi.jp/select/news/20151015k0000e040241000c.html |