《【春闘】集中回答 ベア、過去最高相次ぐ 大手、円安で輸出改善》
2015.03.19 産経新聞
平成27年春闘は18日、自動車や電機などの主要企業の集中回答日を迎えた。基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)で、月額3千円以上が目立ち過去最高水準での妥結が相次いだ。主要企業のベアは2年連続。高水準のベア妥結による賃上げの動きを今後、中堅・中小企業に波及できるかが、「経済の好循環」を実現するうえでの焦点となる。
◇
集中回答の結果について、安倍晋三首相は同日の参院予算委員会で「過去15年で最高だった昨年の水準をさらに上回る勢いだ。こうした流れがしっかりと広がっていくことを期待したい」と述べた。
トヨタ自動車の回答はベア4千円と、過去最高だった。日産自動車はトヨタを上回る5千円、ホンダは3400円。日立製作所やパナソニック、東芝などの電機大手各社も、前年の2千円の1・5倍に相当する3千円と、過去最高で足並みをそろえた。
年間の一時金(賞与)も高水準の回答が相次いだ。トヨタが6・8カ月の要求に満額回答したほか、三菱電機が6・03カ月、ホンダが5・9カ月などだ。
自動車や電機などの産業別労働組合でつくる「金属労協」の集計によると、回答した31組合の賃上げ額の平均は2978円。27組合の一時金の平均は5・39カ月だった。相原康伸議長(自動車総連会長)は同日の会見で、「デフレ脱却と経済成長に向けて、昨年より歩幅の大きい2歩目を踏み出すことができた」と話した。連合の古賀伸明会長も、「デフレ脱却に一定の道筋をつけた回答」と評価した。経団連の榊原定征会長は、「中小企業も賃上げで対応すれば、消費の拡大につながっていく」と、大手の賃上げが波及していくことに期待を示した。
今春闘では、連合が2%以上の統一ベア要求方針を掲げたのを受け、主要企業の労組が6千円を求め、スタートした。
労使交渉は前年に続き、経済の好循環実現を求める政府の意向を背景に進んだ。大手自動車・電機は円安で輸出の採算が改善し、業績が堅調に推移していることもあり、経営側が高水準のベアを容認する流れとなった。
http://www.sankei.com/economy/news/150319/ecn1503190014-n1.html