「世界ウイグル会議」総裁ラビア・カーディル氏「中国ははじめ、ウイグル族に対し、『あなたたちを帝国主義から解放する』『立派な自治権を与える』『教育、宗教など基本的人権を与える』『地下資源の発掘権も与える』などと夢のような話をしていたが、嘘八百だった。同胞は今、家や土地、自分たちの言葉を使う権利すら奪われ、恐怖の中にいる。中国の自治区になれば、沖縄の人々は私たちと同じ運命をたどることになる。すべてを失う」。
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《「イスラム国」は人類に対する犯罪だ 習主席体制下で激化する弾圧の実態 「世界ウイグル会議」総裁ラビア・カーディル氏》
2015.02.05 ZAKZAK
亡命ウイグル族組織「世界ウイグル会議」総裁で、人権活動家であるラビア・カーディル氏(68)が、夕刊フジの単独インタビューに応じた。イスラム教徒であるウイグル族のリーダーとして、過激組織「イスラム国」が日本人2人を殺害したとされる事件について、「人類に対する犯罪だ」と猛烈に批判した。中国の習近平国家主席のもとで激化する弾圧実態を明らかにし、中国の魔の手が迫る沖縄県民にも警鐘を鳴らした。
カーディル氏はかつて、中国で実業家として成功し、人民政治協商会議委員を務めた。だが、少数民族の人権擁護をめぐって政権を批判したことで失脚し、政治犯として6年間投獄された。2005年の米国亡命後は、ウイグル族の人権擁護活動に取り組み、ノーベル平和賞候補にもなった。
まず、イスラム国が、ジャーナリストの後藤健二さん(47)らを殺害したとされる映像を公開したことに、強い憤りを示した。
「恐ろしいことだ。人類に対する犯罪だ。イスラム教徒がやることではない。世界中のイスラム教徒が彼らの主張に反対している。彼らはイスラム教徒を代表することなど断じてできない」
さらに、自らの息子が中国当局によって投獄されていることと重ね合わせ、「後藤さんの無事をアラーに祈ってきた。同じ母親として、後藤さんの母に哀悼の意を表したい」と語った。
故郷である中国・新疆ウイグル自治区の現状については、「ウイグル族への弾圧は『人権侵害』といったレベルではない。1つの民族の存亡がかかっている。家や土地をただ同然で中国に奪われ、異議を唱えれば殺されるか刑務所行きだ。難民として世界各国を逃げ回っている同胞も多い」と訴えた。
習氏が13年に国家主席に就任し、弾圧は凄惨の一途をたどったという。
「江沢民元国家主席や、胡錦濤前国家主席の時代に比べて、習政権はやりたい放題だ。多くのウイグル族が簡単に命を奪われている。想像を絶する過酷さで『歴史上最も厳しい弾圧』と言っても過言ではない。アジアを代表する大国で、民主主義国家である日本には声を上げてほしい」
中国の領土拡張主義の矛先は、沖縄に向きつつあるとされる。中国共産党機関紙・人民日報は13年5月、沖縄を「明・清両朝の時期には中国の藩属国」「(帰属が)未解決の問題」とする論文を掲載。中国メディアは沖縄での「琉球独立論」にエールを送っている。
「中国ははじめ、ウイグル族に対し、『あなたたちを帝国主義から解放する』『立派な自治権を与える』『教育、宗教など基本的人権を与える』『地下資源の発掘権も与える』などと夢のような話をしていたが、嘘八百だった。同胞は今、家や土地、自分たちの言葉を使う権利すら奪われ、恐怖の中にいる。中国の自治区になれば、沖縄の人々は私たちと同じ運命をたどることになる。すべてを失う」
小さな体から、あふれ出る気迫。日本人は、この訴えをどう聞くのか。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150205/frn1502051527006-n1.htm