《中国、着々と「他国が支配を覆せない環境作り」》
2015.01.07 読売新聞
【北京=竹腰雅彦】「海洋強国化」を図る中国の習近平(シージンピン)政権が、ベトナムと領有権を争う南シナ海のパラセル(西沙)諸島で実効支配を加速している。
飛行場を持つ拠点・ウッディ島(永興島)の前線基地化や周辺の小島も含めた住民の生活支援など、「他国が支配を覆せない環境作り」(外交筋)を着々と進めている。
新華社電などによると、海南島と永興島を結ぶ最新の大型補給船「三沙1号」(排水量約7800トン)が5日、就航した。「住民の生活改善と往来拡大、南シナ海の管轄能力強化」が目的で、従来の所要時間15時間を5時間短縮、人員や物資の輸送量も大幅に増やす。
面積2・6平方キロ・メートルとされたパラセル最大の永興島は、空撮写真などから、2013年夏以降、これまでより約4割面積が拡大したことが判明。「拡張完了」が伝えられていた飛行場の滑走路は、約300メートル延びて3000メートルに達し、飛行場周辺では将来、駐機場にするための新たな海の埋め立てが行われているという。
中国は永興島に、パラセルとスプラトリー(南沙)諸島を管轄する行政機関として三沙市を設置し、病院、銀行、スーパーなどが開業しているが、新たに金融や物流、メディア、農業など90以上の企業が、同市に「登記」し、経済活動を始めていることも伝えられた。
www.yomiuri.co.jp/world/20150107-OYT1T50045.html