2014/11/10 22:59

ベトナム側の要請に応じ、準同盟関係を視野に連携を深めていくべきです。

《ベトナム経済界トップ、ロック氏緊急来日 対中国で共闘呼びかけ 脱中国依存へ》
2014.11.10 ZAKZAK

 沖縄県・尖閣諸島沖での中国公船による領海侵犯に続き、東京都の小笠原・伊豆諸島沖に200隻以上のサンゴ密漁船が出現するなど、改めて中国の覇権主義への懸念が高まっている。そんななか、南シナ海で中国との領土問題を抱えるベトナム経済界のトップが緊急来日。迫り来る脅威について、「日越政府間の戦略的パートナーシップが必要だ」と共闘を呼びかけた。

 「日本とベトナムとの戦略的な協力関係を強化していくことで、南シナ海での問題は自然と減退していくだろう」

 「ベトナム商工会議所(VCCI)」会頭で国会議員のブ・ティン・ロック氏(55)は6日、夕刊フジの取材にこう話した。VCCIは日本の経団連に相当する。

 日越共同で進める大学創設事業とベトナムへの投資促進のため、グエン・タン・ズン首相の代理として訪日。そのロック氏が強い危機感を示すのが、南シナ海での中国との争いだ。

 中国は、ベトナム領西沙(パラセル)諸島、南沙(スプラトリー)諸島の領有権を一方的に主張し、西沙沖で石油の無断掘削を強行するなど国際法を無視する行為を繰り返している。グエン首相も、この問題について、現地メディアの取材に「国家の領土、主権、独立に反した行為に強く抵抗する」と怒りをあらわにし、領有権争いで一歩も引かない姿勢を示している。

 日本では、小笠原・伊豆諸島沖に中国漁船が200隻以上押し寄せ、国境の島を脅かしている。目的はサンゴの密漁だが、「動員には、中国共産党が関わっている疑いがある」(防衛関係者)との懸念もある。尖閣周辺での中国公船による領海侵犯も相次ぎ、予断を許さない状況だ。

 ロック氏は「わが国は経済面で中国への依存度がいまだに高い。機械設備も中国からの輸入に大きく頼っているが、性能面に難があり、生産性の向上がなかなか進まない。日本との関係強化を図ることで、中国依存度を下げてベトナム経済を強くすれば、領土問題解決への道筋ができるはずだ」と語る。

 日本貿易振興機構(JETRO)によれば、2013年のベトナムの対中貿易収支は236億9500万ドル(約2兆7249億円)の赤字で、赤字幅は前年比で44・5%増など年々拡大。中国市場への依存度の高さが、中国の横暴を許す遠因にもなっている。

 「『脱中国』を進める日本企業の受け皿になるために、大規模な工業団地の建設を計画している。ベトナムでの現地生産体制を整備していくためには、インフラ整備と人材育成が急務。(日本に)技術、投資、人材面での協力を求めていきたい」と力を込めたロック氏。

 海上警備能力の増強を目的に、ベトナムに対し政府開発援助(ODA)を介して新造の巡視船の供与を約束している安倍政権。日越関係の強化は赤い大国へのくさびとなるか。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141110/dms1411101532005-n1.htm