《“漁民”上陸の可能性も捜査権発動のチャンス サンゴ密漁中国船“台風直撃”》 2014.11.05 小笠原・伊豆諸島(東京)周辺で200隻以上の中国漁船がわが物顔でサンゴを密漁している。目的は密漁だが、背後に中国共産党の影が見え隠れし、日本領海を脅かすのが真のねらいとの指摘もある。その船団に大型の台風20号が接近し、6日にも直撃する見通しだ。台風を避けて日本の領土に上陸する事態も予想され、緊迫した状況が続いている。 中国漁船は3日現在、小笠原諸島周辺に103隻、伊豆諸島周辺に102隻の計205隻が確認され、日本領海内に侵入を繰り返している。 奇しくも大型で強い勢力の台風20号(中心気圧945ヘクトパスカル)が日本の南海上を北上中で、6日には両諸島に接近する見通し。周辺海域は猛烈な暴風雨と高波に襲われるとみられる。 台風を避けるように中国漁船も南下しつつあり、小笠原諸島の領海内を航行する船が激増。海上保安庁などによると、10月末と比べて、3日時点で約6倍の59隻に上ったという。 問題を憂慮する太田昭宏国土交通相は、4日の閣議後会見で「台風20号の接近で中国漁船が小笠原諸島に避難してきた場合でも上陸させない」と断言。避難目的での乗組員の上陸を認めない方針を示し、海保は小笠原周辺に大型巡視船や航空機などを投入した。 東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は産経新聞の取材に対し、「乗組員の上陸に備え、島民への注意喚起を徹底するとともに、警視庁から派遣されている機動隊員らと連携して速やかに身柄を確保できる態勢を整えるべきだ」と指摘。点在する無人島にも上陸する可能性があるため、「大型巡視船を周辺に配備し、可能なら自衛隊の投入も検討すべきだ」と話す。 江渡聡徳防衛相は自衛隊の投入について現段階で「一切ない」としてはいるが、「今後の検討課題になる」としている。 中国情勢に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「漁船が台風の影響で入り江に避難してきたら、国際慣習上、受け入れざるを得ないが、絶対に上陸させてはいけない。強固な防衛線を張るために東京から警察や消防隊の応援部隊を増派させるべきだ」とし、こう続ける。 「ただ、入り江に入ったときは捜査権を発動させられるため逆にチャンス。密漁の疑いがあることで、海保が船内の臨検を実施することができる。船の装備や船団の指揮系統がどこにあるかなどを調べあげることだ」 漁船の襲来には、中国政府や中国軍の組織的関与が疑われている。船内捜査によって、その決定的証拠をつかめる可能性もある。 宮崎氏は「漁船には中国軍の海上民兵が漁民のふりをして乗り込んでいるとみられる。そこで、臨検の際に乗組員の写真を撮影する。その写真を尖閣にやってくる漁船の乗組員の顔写真と照合すれば、海上民兵かどうか判定する材料になりうる。今後の取り締まりに生かせるし、中国軍が違法行為に加担している証明にもなる」。台風が1つのカギを握っている。 |