「船舶を含め全て没収」と定めるべきです。 — 《数千万円荒稼ぎ、中国サンゴ密漁船団 罰金軽く抑止効果なし》 2014.11.02 産経新聞 中国漁船によるサンゴ密漁問題では、逮捕された中国人船長が釈放時に払う担保金(罰金)の低さが問題視されている。中国人船長の中には、過去に別の海域で逮捕されて担保金を払いながら、密漁を繰り返していた人物もいたからだ。取引価格の高騰を背景にサンゴで暴利をむさぼるケースが後を絶たない中、密漁抑止の観点から担保金の引き上げを求める声が関係者の間で高まっている。 海上保安庁は10月以降、領海や排他的経済水域(EEZ)での密漁行為などで5人の中国人船長を逮捕して取り締まりを強化しているが、中国漁船は増え続けている。要因の一つとして指摘されるのは、逮捕された密漁者が釈放時に支払う担保金の低さだ。具体的な金額は非公表だが、違反の類型、程度、回数などを考慮して金額が決まる。関係者によると、EEZでの無許可操業は400万円前後、立ち入り検査拒否は数十万円が相場とされる。 密漁の対象となっている赤サンゴは「宝石サンゴ」と呼ばれ、とりわけ日本産は品質が良く装飾品として中国や台湾の富裕層に人気が高い。日本珊瑚(さんご)商工協同組合によると、卸値はこの10年で約5倍に上昇し、平成24年の平均取引額は1キロ約150万円に上る。密漁を繰り返し、数千万円の荒稼ぎをするケースも珍しくないという。担保金の額が、密漁者が得る違法利益に比べて低すぎるのだ。 「現在の担保金には抑止効果が全くない」と海保幹部も不満を漏らす。実際、横浜海上保安部が10月30日に漁業主権法違反(無許可操業)容疑で逮捕した中国人船長(45)は、昨年3月に沖縄県・宮古島沖で同容疑で現行犯逮捕され、担保金を支払って釈放されていた。この船長を含め、小笠原諸島沖では中国人船長4人が担保金の支払いを保証する書面を提出し釈放されたが、近くで密漁をしている可能性もある。 京都産業大学法務研究科の安冨潔客員教授(刑事法)は「世界自然遺産である小笠原諸島周辺のサンゴは世界的に保護すべき対象であり、根こそぎ奪う中国船団の行為は悪質極まりない。担保金を引き上げるなど、密漁への抑止効果を高めるべきだ」と話す。中国漁船による密漁に手を焼いた韓国は過去に担保金を引き上げたことがある。水産庁は担保金引き上げについて「政府としてやることであり、水産庁だけで決められない」としている。 ◇ 【担保金】 日本のEEZで無許可操業などの違反により逮捕された外国人船長が釈放条件として支払う事実上の罰金。支払いを保証する書面の提供があった場合も釈放される。平成8年に日本が批准した国連海洋法条約に伴い制定された漁業主権法に規定されている。 |