東シナ海、南シナ海、太平洋で傍若無人かつ恫喝的に振舞う中国の艦船が、日本にとっても死活的に重要なシーレーンであるインド洋でのみ平和的に振舞うと考える事はできません。 — 《インド刺激する中国潜水艦 スリランカに寄港 「真珠の首飾り」戦略で南アジアに影響力》 2014.11.02 産経新聞 【ニューデリー=岩田智雄】中国の潜水艦がスリランカに寄港したことが初めて確認され、南アジアでの中国の軍事的台頭を警戒するインドを刺激している。中国は、自国のシーレーン防衛に向けてインド洋沿岸国の港湾整備を支援する「真珠の首飾り戦略」を進め、インドは、この戦略が中国海軍艦船の寄港につながるとみてきた。2日付のタイムズ・オブ・インディア紙は、中国潜水艦が近くスリランカに再び寄港するとの見通しを伝えた。 中国国防省報道官によると、潜水艦が寄港したのは9月15日。通常動力型の宋級潜水艦で、ソマリア沖やアデン湾で海賊に対処している中国海軍に合流する途中、コロンボ港に入った。報道によれば、同7~13日には別の中国艦船も同港に停泊した。習近平国家主席は同16日、国家主席としては28年ぶりにスリランカを訪問しており、この時期の寄港に政治的意図があったことは間違いない。 中国は、スリランカのコロンボ港やハンバントタ港の整備を支援してきた。インド政府は中国潜水艦のインド洋での活発な動きも確認しており、いらだちを募らせている。 インドのジャイトリー国防相らは10月20日、訪印したスリランカのラジャパクサ大統領の弟、ゴトバヤ・ラジャパクサ国防次官と会談し、寄港問題を提起した。インド政府は公式には抗議の意思を表明していないものの、インド政府高官はヒンズー紙に「寄港はインドの安全保障にとり、深刻な懸念だ」と述べた。 習主席はスリランカを訪問後、インドも訪れた。ニューデリーでの演説で「中国と南アジア諸国は重要な協力パートナーだ。地域の国々との協力を楽しみにしている」と述べ、スリランカを含む南アジア諸国への関与を強めていく決意をあらわにした。インドが嫌う南アジアへの影響力行使を堂々とインド側に突きつけ、中国の台頭を認めるよう迫る意図を、演説に色濃くにじませた形だ。 インドのシンクタンク、オブザーバー研究財団のラジャ・モハン研究員は10月29日付のインディアン・エクスプレス紙で、「インドは、(南アジアに)中国の影響力が及ばなければいいと、単に思っているだけではいけない」と指摘。「南アジアで中国の安全保障の範囲と構造を限定する唯一の方法は、すべての近隣国に対し、国防分野を含めたインドの協力を拡大することだ」と提言した。 |