米加州桑港市で、中国系住民が中華街に慰安婦像の設置計画を始動。これまで米国内の慰安婦像や碑は韓国系が推進しており、中国系による設置計画は初。慰安婦問題での中韓連携が強化され、「海外抗日戦争記念館」と共に、反日宣伝工作が進む。シンポジウムには日本側発言者なし。無為無策でいて良い訳がありません。 — 《【歴史戦 第6部「主戦場」米国】 サンフランシスコ市に新たな慰安婦像計画 中国系が準備委設置》 2014.08.30 産経新聞 【ロサンゼルス=中村将】米カリフォルニア州サンフランシスコ市で中国系住民らが慰安婦像の設置計画を始動したことが29日までに、明らかになった。すでに準備委員会を設立し、公共スペースでの設置を目指している。これまで米国内の慰安婦像や碑は韓国系が推進しており、計画が実現すれば中国系による初の設置となる。米国における慰安婦問題で中韓連携が一層強化される恐れもある。 関係者によると、中国系の準備委が像の設置場所として選んだのは観光名所の一つ、チャイナタウン(中華街)の中心にある「ポーツマス広場」。市が進める広場の再開発事業に合わせて像を設置しようとしている。 像のデザインは慰安婦を連想させる女性の胸像で、その下に「日本軍によって強制的に性奴隷にさせられた数十万人のアジア女性の痛みを忘れない」との趣旨の碑も設置するという。 市は12月まで広場のデザインなどの再開発案を一般から募集。準備委は署名を集めた上で、市側に像設置の計画案を提出する。準備委は中国系のエド・リー市長にも直接、像設置の計画案を送付するとしている。 中国メディアによると、準備委関係者は「韓国系団体とも連携を取り、支持を求めていく」としている。関係者によれば、同州を拠点に反日宣伝活動を行う中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会(抗日連合会)」が準備委を支援しており、中国系のサンフランシスコ市議も像設置案への支持を表明している。 米国で最も古く、最大規模を誇るサンフランシスコの中華街。屋台が歩道を埋め尽くし、所狭しと並ぶ中華料理店や土産物店から中国語でかけ声があがる。米国でありながら、そこは異国。その一角にある「ポーツマス広場」。中国系住民は慰安婦像を設置する場所として、この広場に目をつけた。 1848年には米国人男性がここで「金をみつけたぞ」と叫び、ゴールドラッシュが始まった、という記録も残っている。1980年代後半にサンフランシスコ市が手を入れて以降、未整備のため殺風景な感じがただよう。 ■ 人気高い観光名所 「再開発で見違えるようになれば、観光客も頻繁に出入りするだろう。慰安婦像があれば、『これは何』と立ち止まる。市長が中国系米国人ということもあり、市当局も中華街人脈の意見を無視するわけにはいかないかもしれない」。サンフランシスコ近郊に住む日本人はそう話す。 米西海岸でも人気のサンフランシスコの観光名所に慰安婦像が設置されれば、その衝撃は韓国系団体の強い意向で像が設置された同州グレンデール市の比ではない。 一般からの再開発案を受け付ける市関係者は「年末までに集まった案について、パブリックミーティングを開き、広く意見を聞いてみたい」とし、決定までにはまだ時間を要すると説明するが、慰安婦像を設置しようとする中国系の声は署名などを通じて急速に広がることが懸念される。 ■ 抗日戦争記念館も 「ポーツマス広場」から中華街を歩くこと5分。中華料理店などが並ぶ路地にベージュの2階建ての建物が見えた。この建物は間もなく改修工事が行われ、日中戦争での対日抗戦を顕彰する「海外抗日戦争記念館」が戦後70年となる来年9月にオープンする。 「戦時中の日本軍の残虐行為を示す歴史的な写真と記録を公開、展示していく」という触れ込みの記念館だが、中国系が所有する土地・建物に日本側が抗議するわけにもいかない。中華街を舞台にした反日拠点構想が着々と進んでいる。 ◇ 慰安婦問題は今や米国が主戦場になっている。この問題を長く追及していたワシントン駐在客員特派員、古森義久と、カリフォルニア州などでの動きを追っているロサンゼルス支局長、中村将が報告する。 海外初の「抗日戦争記念館」の設置は、盧溝橋事件(1937年)から77年に当たる今年7月7日のレセプションで発表された。 館長に就任する米カリフォルニア州在住の女性実業家、フローレンス・ファン(中国名・方李邦琴)と、中国の駐サンフランシスコ総領事、袁南生、反日団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)のイグナシアス・ディン(丁元)らは手を握り合った。 ファンは記念館設置の目的について「日本に対する中国と米国の同盟の歴史を人々に思いださせるためだ。中国は日本の侵略者と一対一で戦ったのではなく、米国の友人とともに戦った」と語り、米国社会で“反日”の浸透を図っていく姿勢を示した。 ■ 地元老舗紙を買収 関係者によると、ファンは35年、中国河南省生まれ。国共内戦によって49年に台湾に逃れ、60年に米国に移住した。幅広い事業で成功し、2000年には地元老舗紙「サンフランシスコ・エグザミナー」の買収で一躍有名になった。 カリフォルニア大バークレー校や北京大学に日本円で数億円単位の寄付をしてきたことでも知られ、前国務長官ヒラリー・クリントンら民主党の大物との親交もあるとされる。ファンは今年1月以降、中国を3度訪れ、北京市郊外にある盧溝橋近くの「中国人民抗日戦争記念館」や、江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」を訪れた。 ディンが率いる抗日連合会は、中華街を舞台にした反日拠点化に水面下で大きな役割を果たしている。 中国系と韓国系を結びつける存在でもある。同州グレンデール市の慰安婦像をめぐっても、在米日本人らが撤去を求める訴訟を起こすと、抗日連合会は「提訴不当」を訴える意見書を裁判所に提出。韓国系の要望を受けて像を設置した市を擁護した。提訴が棄却されるとディンは喜々として語った。 「慰安婦像や碑は今後もたくさんできるだろう」 同州での慰安婦像や碑の設置に反対する在米日本人は危機感を募らせる。 「同時多発的に像や碑が設置され始めた。すべての街の情報をわれわれが細かく把握することは不可能だ。後手後手どころか、対応が追いつかなくなる」 ■ 朝日の訂正無視 慰安婦問題は地方にとどまらない。首都ワシントンでも8月中旬、大手研究機関で日韓の歴史問題を論じるシンポジウムが相次いで開かれた。 慰安婦問題をめぐり、朝日新聞が朝鮮半島での「強制連行」の報道を撤回してから2週間が過ぎた8月19日、「ヘリテージ財団」が開いた「歴史が北東アジアの将来の前進を阻む」と題するシンポジウムで、基調演説者の駐米韓国大使、安豪栄(アン・ホヨン)は、日韓関係の悪化の原因は「日本側指導者の慰安婦問題など過去の事実の否定」だと述べた。 安は記者(古森)の朝日の「強制連行」報道撤回に関する質問にも「強制連行の証拠は多数ある。(平成5年の官房長官、河野洋平による)河野談話自体も強制を認めている」と答え、朝日の訂正を無視した。 在米韓国人学者でタフツ大学教授の李晟允(イ・ソンユン)も慰安婦問題での日本の動きを非難し「日本軍の強制連行」を前提とする「性的奴隷」との言葉を繰り返した。 ヘリテージ財団の上級研究員であるブルース・クリングナーやウォルター・ローマンらからも「日本軍による女性の強制連行は事実」という趣旨の主張が出て、米韓による「強制連行」糾弾の合唱となった。 ワシントンのもう一つの大手研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」でも8月13日、「米韓日3国関係」と題するシンポジウムが開かれた。基調演説者の元韓国国会外交通商統一委員長、朴振(パク・ジン)は日本の歴史認識を非難し、とくに慰安婦問題での河野談話検証などを日韓関係の正常化を阻む要因として批判した。 朴は慰安婦問題について「日本軍による強制連行」だと強調し、安倍晋三政権にその受け入れを求めた。 朝日による記事訂正後の米国での2つの討論集会では、日本側代表の発言は皆無だった。ヘリテージ財団では、参加者から「日本の駐米大使はなぜいないのか」との質問が出たほどで、議論は韓国側の日本非難ばかりが目立った。(敬称略) 写真:海外抗日戦争記念館に改装される2階建ての建物(右)=米カリフォルニア州サンフランシスコのチャイナタウン(中村将撮影) |