2014/08/07 20:39



主要国の国防費の対GDP比は、日0.97%、米4.0%、露3.1%、韓2.6%、英2.2%(2012年度)、2014年度、中国の国防費は日本の2.7倍。過去10年間で4倍増。実際の国防費は公表の約1.3~2倍。日本の防衛支出は、対中抑止の観点から少なすぎます。

《【集団的自衛権 第5部 5つの歪曲(5)】
軍事大国のレッテル 中国国防費は10年間で4倍》
2014.08.07 産経新聞

 「抑止力を高めれば平和が保たれると考えるのか。『安全保障のジレンマ』という考え方もある。(防衛力整備を)競争していけば軍拡競争になる」

 民主党の海江田万里代表は7月14日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相に論争を仕掛けた。

 それに先立ち、東京新聞も今年1月1日付の社説で「安倍政権が目指す『強い国』は他国には軍事大国の脅威ともなる。軍拡競争に陥ることが憂慮される」との批判を展開している。

 確かに第2次安倍政権になって防衛関係費(当初予算)は2年連続で増加している。

 平成15年度以降、減少傾向を続け、民主党政権の24年度は4兆6453億円になったが、25年度は実質11年ぶりに増額となった。ただ、25年度の対前年度比の伸び率は0・8%にとどまる。26年度は2・2%だが、公務員給与の復活分を除けば実質0・8%増にすぎないとされる。

 国際的に日本の防衛関係費が多いわけでもない。5日の閣議で了承された26年版防衛白書によると、主要国の国防費(2012年度)の国内総生産(GDP)に対する比率は、日本は0・97%と1%を割っている。米国(4・0%)やロシア(3・1%)、韓国(2・6%)、英国(2・2%)に遠く及ばない。

■ 成立せぬジレンマ論

 隣国の中国はどうか。国防費の伸び率はごく一部の例外を除いて毎年2桁を記録している。

 公表された2014年度の国防予算は前年度比12・2%増の8082億元で、日本の防衛関係費の約2・7倍に上る。「過去26年間で約40倍、過去10年間で約4倍」(防衛白書)に増えているのだ。もちろん、めざましい経済成長に合わせて国防力を増強している側面はあるが、近年の経済成長率は鈍化しており、10%を大幅に下回っている。それでも、国防費の伸び率は2桁に達している。

 しかも、中国が公表する国防費は外国からの兵器調達などの費用が全て含まれておらず、実際の国防費は約1・3~2倍に膨らむとされる。「中身がよく分からず、透明性に欠ける」(防衛省幹部)という。

 緊張関係にある国同士が軍拡の連鎖を引き起こすという「安全保障のジレンマ論」が日中間に当てはまるとは言い難い。中国は日本の防衛関係費の増減にお構いなく軍拡路線を続けているからだ。

■ 日本は抑制的な対抗

 2013年の世界の軍事支出に関して、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が4月に発表した報告書によると、中国の軍事支出は2004年からの10年間の増加幅が170%と世界最大となった。逆に、日本の増加幅はマイナス0・2%だった。

 「東南アジアの軍事支出はインドネシア、フィリピンとベトナムの増加に伴って5%上昇した。後者2国は南シナ海における中国との領土問題の緊張によるものだ」

 報告書は、軍事支出の前年との比較に関して、そう指摘している。

 一方、日本は少子高齢化の影響で社会保障費の増大が見込まれており、防衛費に投じられる額は限られる。南西防衛を強化するため平成30年度までに陸上自衛隊に米海兵隊を模した水陸機動団を新設したり、水陸両用車を導入したりしても、抑制的な対抗措置にとどまる。

 そんな中で、集団的自衛権の行使容認に伴い、アメーバ状に他国との協力関係を強めることは「あまりコストをかけずに抑止力を強化できる」(防衛省幹部)という利点を持つのだ。

 この企画は峯匡孝、小田博士が担当しました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140807/plc14080714350017-n1.htm