2014/07/18 11:57

豪国、炭素税を廃止。先進国で初。豪国は国民1人当たり温室効果ガス排出量が世界最大級で、世界平均の4倍。世界の温室効果ガス排出削減の取組みに逆行する、大変残念な動きです。

《オーストラリア、炭素税を廃止 先進国で初》

 オーストラリアは16日、二酸化炭素の排出に課税する炭素税の廃止を決めた。炭素税の廃止は世界の先進国で初めて。

 オーストラリア連邦議会上院は同日、賛成39、反対32で炭素税の廃止を可決した。炭素税は2007年に初めて提案されて以来、政治的対立を生み、3人の同国首相が失脚する一因となった。今回の可決を受けて、来年パリで開催される国連気候変動枠組条約締結国会議(COP21)の前に、オーストラリアが新たな二酸化炭素(CO2)排出削減措置を実施するのは難しくなりそうだ。

 世界で12番目の経済規模を持つオーストラリアは、家庭と産業の電力を石炭火力発電所に依存しているため、国民1人当たりの温室効果ガス排出量が世界で最も多い国の1つとなっている。11年時点で国民1人の1日当たり排出量は49.3キログラムと、世界平均の12.8キロの4倍近くに達し、米国の48.2キロもやや上回っていた。

 炭素税を導入した前労働党政権は、これにより20年までに温室効果ガス排出量が1億6000万トン減るとの見通しを示していた。また、過去最大規模の改革に伴うコスト増加分の補償として、税優遇措置や福祉支出を通じて有権者に数十億ドルを支給した。

 しかし08年に世界金融危機が起き、12年には10年続いた資源ブームが終わって経済成長と雇用が悪化すると、有権者は炭素税が光熱費と生活費の増加を招いているとして反対し始めた。

 世界銀行が5月に発表した報告書「炭素市場の現状と傾向2014」によると、39カ国と23の自治体が、炭素価格制度の各種手法を導入済み、または導入する予定で、世界全体の排出権取引制度の規模は約300億ドルという。世銀はさらにオーストラリアの炭素税廃止案について、他国で同様の税を導入する上での最大の国際的な脅威の一つと指摘していた。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303768704580034462399476590