2014/06/19 20:37

平和なイメージの強い永世中立国スイスの知られざる真実。徴兵制で国民の1割が軍人。全国民が避難できる核シェルターを保持。なお、スイス政府が国民に配布した『民間防衛 あらゆる危険から身をまもる』(スイス政府編)は必読です。(末尾に紹介)

《「永世中立国」スイス軍の真実》

1803年から1815年の期間に行われたナポレオン戦争時、スイスが周囲の列強国に支配されることなく自国の独立を守るために選んだのが中立主義で、これが戦後のウィーン会議にて承認され永世中立国であるスイスが誕生しました。そんな平和なイメージの強いスイスですが、John A. McPhee著の「LA Place De LA Concorde Suisse」にはスイスの文化やビジネスが軍事と深く結びついているという事実が書かれており、このことに非常に驚いたソフトウェアエンジニアのPhilip I. Thomasさんが、スイスの軍事に関する7つの知られざる真実をまとめています。

◆1:軍人がとにかく多い
スイスでは徴兵制度が採用されており、男子には兵役の義務があります。また、現役軍人以外は予備役軍人となり30年間務める必要もあります。これらを全て合わせるとスイス国民の約10%が軍人であることとなる、とのこと。

また、ビジネスと軍部は深く関わっており、主要なスイス銀行の頭取は通常スイス軍の高官であるようです。

スイスの人口は世界銀行のデータによると、2012年の段階で約799万人。つまり、約80万人が軍人ということ。なお、人口約1億2760万人の日本の自衛官の数は2013年の段階で約22万人。

◆2:国境沿いの橋とトンネル
急な通達でも軍がスイス国外からのアクセスを完全に封鎖できるように、スイスの国中の橋とトンネルには「取り壊しのためのプラン」が準備されています。また、橋を設計する技師はこの「取り壊しのためのプラン」を立案する必要もあるとのことです。

◆3:有事の際への備え
スイスの予備役兵は動員令の後48時間、いつでも軍に動員されることが可能。また、全てのスイス軍人は小銃を家に保管していますが、2007年以降は予備役兵の弾薬は国が管理し、有事の際に国から配布される予定となっています。

◆4:将軍
スイスにはここ500年の間で4人の将軍(最高司令官)しかいませんでした。これは、将軍が何かしらの非常事態にのみ特別に任命される役職だからです。スイス最後の将軍はアンリ・ギザン将軍で、第二次世界大戦中にスイスの「武装中立」路線を貫き、ナチスドイツ側にも連合国軍側にも肩入れしない方針をとり、戦時中のスイスを守った国民的英雄として知られています。

◆5:スイス人傭兵
スイス人傭兵は、これまで多くの戦争で戦果を挙げてきており、スイス銀行の多くは「戦争で得た資金」からスタートしているとのこと。屈強なスイス人傭兵の名残として、現在もバチカンの警護はスイス人衛兵135人が担当しています。

◆6(略)

◆7:シェルター
スイスは核攻撃にあっても全国民が避難するのに十分な数の核シェルターを保持しています。なお、世界で最も大きな核シェルターはSonnenbergトンネルとのことです。
http://news.livedoor.com/article/detail/8916215/

(関連)
『民間防衛 あらゆる危険から身をまもる』スイス政府/編 原書房編集部/訳
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031159277&Action_id=121&Sza_id=B0