中国(この呼び方は1912年以降しか該当せずおかしいのですが)の本質的な思考法が「謀略」を正統とする事を、善悪ではなく事実として日本人は理解し、なおかつその長期性・戦略性・非情性に打ち倒されないよう思考・行動しなければなりません。
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《中国の本質的思考法は「謀略」、歴史認識攻撃はますます先鋭化してくる 「友好」にごまかされるな、日本は戦略を練り事実をして語らしめよ》
眉に唾すべき言葉の1つは、中国政府のいう日中ないし中日の「友好」である。それにごまかされる日本人は、もうそれほど多くはないと思っておきたい。
今月初め、日中友好議員連盟の議員団が訪中し、唐家●(=王へんに旋)・中日友好協会会長らと会談した。「友好」などというもののこの唐氏。昨秋、日中問題を話し合うシンポジウムで「日本政府による(尖閣諸島)国有化で両国関係が最も厳しい局面に陥った」などと、日本を一方的に非難した人物である。
■ 「謀略」は中国の正統
日本人は「謀略」を正統とする中国の思考法を、冷静に見なければならない。
先月明るみに出た、中国での商船三井の貨物船差し押さえに関してもしかり。商船三井側が40億円もの事実上の和解金を支払うことで解除され、菅義偉官房長官は今回の差し押さえを「特異な事例」としたが、果たしてそうか。
北京、河北省、山東省と、中国各地で戦時中に「強制連行」されたとする元労働者の賠償請求訴訟が起こっている。一連の報道によれば商船三井の訴訟を支援していたのは反日活動家として知られる童増氏であり、この人物は「強制連行」訴訟にも関与している。中国民間保釣連合会の会長として尖閣諸島の領有を強硬に主張してもきた。船舶差し押さえは、どう見ても中国による歴史認識戦争の一環なのである。天津でも別の船会社を促して訴訟を起こす動きがあるという。
日本に圧力をかけるための布石を中国が着々と敷いてきていることを、日本人はもっと自覚しておきたい。日本ではあまり大きく報じられていないが、南京事件の辞典が6月から中国で刊行される。全3巻という大部のものだ。おそらく事実と異なることがふんだんに盛り込まれた、中国に都合のよいものになるだろう。南京で「慰安婦記念館」が計画されていることも明らかになっている。
さまざまな準備をしつつ3月末、習近平国家主席はベルリンで、南京事件の犠牲者が30万人などといって日本を非難した。中国との歴史認識戦争はこれから本格化すると、腹をくくっておかねばならない。
日本人はひるんではならない。30万人という数字が過大であることは、秦郁彦氏「南京事件」、北村稔氏「『南京事件』の探究」など、日本の実証的な研究が明らかにしている。そもそも全人口が20万人台とみられる南京で、犠牲者30万人などあるはずがない。
■ 現代に生きる古典的兵法
北村前掲書は、南京事件を世界に伝えたマンチェスター・ガーディアン特派員のティンパーリが、当時の中国国民党中央宣伝部の意向を受けていたという事実も明らかにしている。中国の謀略は70年以上前から張り巡らされているのである。
謀略をはじめとする古典的兵法の論理は、中国の正統的な思考方法になっているとみなしておいたほうがよい。現代の中国の指導者の行動からも、「孫子」をはじめとする古代兵法書の思考が読み取れるのである。
「孫子」に即して見てみる。「敵に対しては強くても弱く、勇敢でも臆病に見せかける」(大意)。●(=登におおざと)小平のいわゆる「韜光養晦(とうこうようかい)」-能力を隠し力を蓄える-などまさにそれであろう。微笑外交で日本から経済支援を引き出した●(=登におおざと)は、いわゆる南京大虐殺記念館を建設させた指導者でもある。また「孫子」の次のようなくだり、「外国の諸侯を使役するには魅力的な事業をしむけ、諸侯を奔走させるには利益になることを強調する」。愛国主義教育実施綱要の制定(1994年)で国民を反日へとコントロールする一方、胡錦濤・前国家主席ら指導者はなにをいっていたか。「政冷経熱」。この言葉につられるように多くの日本企業が中国に出ていった。
あるいは「六韜(りくとう)」という古典は、武ではなく文をもって人を伐(う)つための方法を述べている。敵に順応し驕慢(きょうまん)を生じさせる、敵の臣下に親しんで権力を二分させる、敵の信用を得たら徐々に懐柔しつつ謀略を巡らせて待つ、など。昭和47(1972)年に日中国交正常化がなされて以降、日本の親中ムードがいかに大きいものだったか思い起こしておきたい。大陸では文化大革命という粛正によっておびただしい人々が犠牲になっていたにもかかわらず、である。
つい近年に至るまで日本の左派政治家や左傾メディアは中国礼賛を続け、また歴史認識で過剰な自己卑下を続けてきた。この傾向はいまだに残る。まさに、わが国の力が二分されているといっても過言ではない。日本のなかに、文によって伐たれかねない状況ができてしまっているのである。「六韜」は文をもって人を伐つ方法を並べ、「そうすれば(敵は)自ずと滅びる」といっている。
■ ひるまず、したたかに戦略を練れ
「武経七書」と総称されるこうした兵法書がいまも中国指導部の思考法に影響を与えていることは、米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)上級アドバイザーのエドワード・ルトワックが指摘している。いずれにしても中国が伝統的に、長い時間をかけ戦術的にはかりごとをめぐらす国であることは、日本人として知っておく必要があるだろう。間者、すなわちスパイを積極活用することなども、すでに「孫子」に書かれているのだ。
歴史認識をめぐり、中国は今後もさまざまな策謀を続けるだろう。日本も長期的な視野で対抗策を考えておかないといけない。「強制連行」や慰安婦、南京事件などのテーマについて、予想される中国の動きに対する具体的な対応マニュアルや想定問答を、政府レベルで作って共有しておくべきである。今回の商船三井の件では、この案件があるという情報が官邸に上がっていなかったことが明らかになった。省庁の縦割り意識や事なかれ主義は許されないと、心すべきである。
ひるまないこと、事実をして語らせることが大切である。日本はその戦略をしたたかに練り上げるべきだろう。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140510/waf14051012000002-n1.htm