2014/04/15 5:55



産業スパイ防止法を。米、独、韓では海外への技術流出に国内より厳しい処罰。罰金も米、独は上限がない。米国では海外企業が不正に流出した技術を使った製品を排除できるとの事。経団連は、技術の保護に特化した新法制定を提言。不正競争防止法は、対象分野が広く、関連法規も多いため。以下、記事抜粋。

《【日曜経済講座】論説委員・井伊重之 東芝の半導体データ不正流出》

 すでに海外諸国は自国企業の技術を守る姿勢を強めている。米国やドイツ、韓国では海外への技術流出に国内よりも厳しい処罰を講じている。これに対し、日本では国内と海外が同じ罰則だ。まずは海外に流出した場合の処罰を重くする必要がある。

 罰金をめぐっても米国やドイツでは上限がないが、日本では1千万円以下にとどまる。これでは海外企業から巨額な報酬を得て、不正に技術を流出させようとする人に対する抑止にはなりにくい。

 こうした不正競争防止法の改正は喫緊の課題だ。現行法では技術を不正に侵害されたとする立証責任は原告側にある。だが、海外企業に自社技術がどのように流れ、それがどう使われているのかを証明するのは難しい。産業界にはこの立証責任の見直しを求める声が強い。

 経団連は今年2月、技術情報などの保護を目的とした新法の制定を提言した。事業活動の公正な競争の確保を目的とする不正競争防止法は、幅広い分野を対象とし、関連法規も多い。このため、技術の保護に特化した新たな法的な枠組みを設けるべきだとの意見だ。そうなれば実態に応じて弾力的な法改正も可能になるため、新法制定は有効な対策だろう。

 日本からの技術の流出先となっている韓国や中国でも、自国企業の技術防衛に乗り出している。とくに韓国では国が中核技術を指定し、中国を念頭に置いて徹底して流出を防ぐ仕組みを設けている。

 また、米国では海外企業が不正に流出した技術を使った製品を排除できる制度を採用しているという。日本ではそうした製品の輸入を差し止めることができないが、今後の検討課題としなければならない。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140413/fnc14041311460002-n1.htm