汚職で1・5兆円の資産。これは氷山の一角であり、凄まじく歪んだ政治と経済です。党政治局常務委員経験者の刑事責任を追及しない長年の不文律が破られた事が、権力闘争にどう影響するのかも不安定材料です。以下、記事抜粋。
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《中国、周永康氏の部下・親族300人も拘束 利権一族、1・5兆円差し押さえ》
胡錦濤政権時代の中国最高指導部(共産党政治局常務委員会)の元メンバーで、汚職の疑いで調べを受けているとされる周永康氏(71)について、ロイター通信は30日、本人に加えて親族や部下ら300人以上がこれまでに拘束され、差し押さえられた資産は総計で900億元(約1兆4900億円)以上に上ると報じた。一部の部下らの逮捕・起訴については昨年来、中国国営メディアでも報じられており、捜査の手が“本丸”である周氏にまで延びるか注目されていた。ロイターは「中国建国以来最大のスキャンダル」と伝えており、事件の余波で中国は大混乱に陥る可能性もある。
■ 破られた不文律
最高指導部に近い複数の消息筋の話としてロイターは、拘束されたのは周氏本人と妻、長男らのほか、副大臣クラスが約10人、ボディーガードや秘書らも20人以上に上ると伝えた。また、差し押さえられた資産のうち銀行預金が370億元(約6100億円)、内外の債券が510億元(約8400億円)。アパートなど不動産300軒以上のほか、金、銀、骨董品、高級酒なども没収されたとしている。
中国では党政治局常務委員の現役と経験者は刑事責任を追及しないとの不文律があった。政治局常務委員は13億の人民を動かす最高指導者たちで、胡錦濤政権時代は9人、現在の習近平政権では7人いる。周氏は2007年から政界を引退する12年まで常務委員(党内序列9位)を務めた。
ただ、習氏が、長年の不文律を破れば、党内で大きな影響力を持つ長老たちの不満を招きかねない。また、党内で汚職疑惑を抱える指導者、元指導者は多く、これらが一斉に反発すれば、政局がかつてないほど不安定になる可能性もある。