《東芝のデータ漏洩 日本の技術守る法整備を》
「企業に対する罰金は最高で3億円と、米国の3割強にとどまる。個人の罰金も最高1千万円で、上限がない米国などと比べて抑止が働きにくい。」
「とくに問題なのは、現行法では国外への不正持ち出しと国内流出の罰則に差がないことだ。米国やドイツ、韓国では、海外企業に秘密を漏らした場合のほうが罰金や懲役が重い。海外への不正な技術移転を防ぐため、国外流出に対する罰則強化が欠かせない。」
我が国が為すべき事は明らかです。
以下、記事。
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技術立国である日本の将来を左右しかねない。この機に日本企業の先端技術を徹底して守る姿勢を示さねばならない。
東芝の提携企業の元技術者が、韓国企業に半導体データを不正に供与したとして、不正競争防止法違反(営業秘密開示)の疑いで逮捕された。
これまでも、日本企業の先端技術が海外に流出し、国際競争力の低下を招いていることが指摘されてきた。まず再発防止に向けて、関連法の整備、厳罰化に取り組む必要がある。
事件では、韓国SKハイニックスに転職した元技術者が、東芝が独自開発した「NAND型」と呼ばれるフラッシュメモリーの技術を流出させたとされる。
この半導体はスマートフォンなどに幅広く使われ、今や東芝の営業利益の多くを稼ぎ出す主力製品だ。東芝は元技術者の逮捕を受け、SK社に損害賠償請求も起こした。損害の総額は1千億円を下らないという。
経済産業省は日本企業の「虎の子」技術を守るため、不正競争防止法を段階的に強化してきた。しかし、企業に対する罰金は最高で3億円と、米国の3割強にとどまる。個人の罰金も最高1千万円で、上限がない米国などと比べて抑止が働きにくい。
とくに問題なのは、現行法では国外への不正持ち出しと国内流出の罰則に差がないことだ。米国やドイツ、韓国では、海外企業に秘密を漏らした場合のほうが罰金や懲役が重い。海外への不正な技術移転を防ぐため、国外流出に対する罰則強化が欠かせない。
産業界も技術漏洩(ろうえい)に厳しく対峙(たいじ)する姿勢を強めている。新日鉄住金が、韓国鉄鋼最大手ポスコに同社の電磁鋼板技術が不正に渡ったとして、1千億円の賠償請求を起こしたのもこの一環だ。
日本からの技術流出をこのまま放置すれば、国際競争力の低下に加え、産業空洞化の加速にもつながる恐れがある。
こうした技術流出は、日本企業を定年や中途で辞めた元社員が関与する場合が多い。退社時に秘密保持契約を義務づけるなど企業側も自社の技術・情報の管理を徹底しなければならない。
一方で、実績を挙げた技術者への待遇改善も検討すべきだ。そして技術者には、海外への技術流出は、日本そのものの衰退を招くことの自覚を強く促したい。