《中国 国防費 2桁の高い伸び続く》
NHKが、とてもまともな報道をしています。
読売新聞、産経新聞さえ「国防予算12%増、4年連続2けた」「中国国防費12・2%増 4年連続2ケタ」と報じている所、NHKは「中国の国防予算は1989年以降、2010年を除き、過去20年以上にわたって毎年2けたの高い伸び」とした上で、「外国からの装備の調達や研究開発にかかる費用は含まれていない」「実際の軍事支出の総額は公表された金額の1.2倍から2倍に上る」「予算案は国防費の内訳について一切、明らかにしていません」と。評価も妥当です。
以下、記事。
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中国政府は、ことしの予算案を5日発表し、このうち国防費はおよそ13兆4000億円で、去年に比べて12.2%増えて、引き続き2けたの高い伸び率となり、急速な軍備増強に対する国際社会の懸念が一層強まりそうです。
これは中国政府が5日、全人代=全国人民代表大会に提出した予算案で明らかにしたものです。
それによりますと、このうち国防費は中央政府分だけで8082億人民元余り(日本円でおよそ13兆4000億円)で、去年の執行額に比べ、12.2%増えました。
中国の国防予算は1989年以降、2010年を除き、過去20年以上にわたって毎年2けたの高い伸びを記録しており、急速な軍備増強に対する国際社会の懸念が一層強まりそうです。
また、予算案には外国からの装備の調達や研究開発にかかる費用は含まれていないとみられ、アメリカ国防総省は去年発表した中国の軍事力に関する年次報告書で、実際の軍事支出の総額は公表された金額の1.2倍から2倍に上ると推計しています。さらに、予算案は国防費の内訳について一切、明らかにしていません。
中国政府は、2年に一度発表する国防白書で人件費や装備費などおおまかな予算の内訳を公表してきましたが、去年、発表した最新の白書からは国防費に関する記述がなくなるなど、透明性が十分に確保されていないと指摘されています。
軍事力で優位に立ちたい思惑も
中国政府は去年4月に発表した国防白書で、軍備増強の目的について、「国家の主権と安全を守り、国の平和的な発展を保障するためだ」と説明しています。沖縄県の尖閣諸島や南シナ海の島々の領有権を巡って日本やフィリピンなどとの対立が続くなか、軍事力で優位に立ちたいという思惑がうかがえます。
また、習近平指導部が「海洋強国の建設」をスローガンとして掲げるなか、経済発展とともに拡大する海洋権益やシーレーンの確保に向けて、とりわけ海軍力の増強を図っています。
このうち、ウクライナから購入し、おととし中国海軍に配備された空母「遼寧」は、去年12月、ミサイル駆逐艦などと共に南シナ海での訓練航行を行うなど、実戦配備に向けた動きを加速させています。さらに、中国国防省は国産空母の建造を進める方針を示していて、香港メディアは、中国の高官がことし1月、中国初の国産空母の建造が始まったことを明らかにしたと伝えています。
また、海や空での活動範囲を広げるなかで、去年11月には尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したほか、中国海軍の艦隊が日本列島から沖縄、そしてフィリピンを結ぶ、いわゆる「第一列島線」を越えて西太平洋で軍事演習を行うことも増えています。
このほか、装備のハイテク化も急ピッチで進めていて、中国メディアは、去年11月、開発中のレーダーに捉えられにくいステルス無人攻撃機が初めての試験飛行に成功したと伝えたほか、ことし1月には音速の5倍以上の速さで飛行し、敵のミサイル防衛システムをすり抜ける超高速のミサイルの発射実験を行っています。
「国防政策の透明性が欠如」
菅官房長官は午前の記者会見で「中国の国防政策や軍事力の透明性の欠如が、わが国を含む国際社会の懸念事項になっており、政府として留意すると同時に、今後の動向も注視していきたい。中国に対しては、国際社会と連携しながら国防政策の透明性の向上を働きかけていきたい」と述べました。
また、菅官房長官は、李克強首相が政府活動報告で、「歴史の流れを逆行させることは決して許さない」などとして日本を強くけん制したことについて、「わが国が歴史を逆行することはありえない。まさに戦後から今日に至るまで一貫して、自由と平和と民主主義の道を歩んできているのが、わが国の基本方針だ。安倍政権はいろいろ言われているが、防衛費はたった0.8%の増額で、それも含めてご理解いただけると思う」と述べました。