平成23(2011)年11月17日
総務委員会
〇吉田(康)委員 よろしくお願いいたします。私からは、外国人犯罪の防止対策についてお伺いをいたしたいと思います。
都内における刑法犯の認知件数は、八年間連続で減少しておりまして、都内の治安の回復、これは本当に喜ばしい傾向だと思っております。これは、これまでの青治本さんのお取り組みの成果でもありまして、大変評価するところでございます。
しかし、都民生活に関する世論調査、平成二十二年八月実施分におきましては、治安対策への要望はまだまだ強く、また、治安対策の中で力を入れてほしい分野の四番目に来日外国人による犯罪の防止が挙げられるなど、都民の体感治安は改善しておりません。
そこで、外国人の犯罪という切り口から、まず都内の治安状況について、認知件数と検挙件数を含めてお伺いし、そしてその上で、外国人の滞在者数と外国人の犯罪状況についてお伺いします。
〇伊東治安対策担当部長 平成二十二年におけます都内の刑法犯認知件数は、平成十四年の三十万一千九百十三件から十九万五千九百七十件まで減少し、数値的には、世界一安全な国といわれました昭和四十年代を下回るまでに都内の治安は回復しております。
ちなみに、刑法犯の検挙件数につきましては、平成二十二年には五万八千二百二十七件でございます。
外国人の滞在者というご質問をいただきまして、数字的に押さえておりますのが外国人登録者でございますので、外国人の登録者数についてお答えをさせていただきますと、全国的には減少傾向にある中で、都内では増加を続け、平成二十三年一月には約四十二万人となっております。
都内での外国人刑法犯の検挙件数でございますが、平成十九年の八千百四十五件をピークに減少いたしまして、平成二十二年には四千三百六十七件となっております。
〇吉田(康)委員 ただいまのご答弁をお伺いして、件数が減っているということで、大変喜びたいというふうに申し上げたいところなんですが、もうちょっと詳しくお聞きをしていきたいと思うんです。
外国人の登録者数は四十二万人と、三カ月以上滞在する人が四十二万ということで、それよりも少ない滞在期間の方はここには含まれないと。その後、オーバーステイとかいろいろあるんですが、この四十二万人は、都の人口約一千三百十六万人のうちの約三%を占めております。
これに対して、都内の刑法犯検挙件数今、約五万八千件とご答弁いただきました。このうち外国人の検挙件数は四千三百六十七件と、これは約七・五%に当たります。大変荒っぽい計算になりますけれども、今出てきている数字だけで考えますと、外国人については、都民一般の平均の約二・五倍の刑法犯が検挙されているということになるわけであります。
大変残念なことですが、こうあるべきだと、こうあってほしいということと、事実はこうであるということは、乖離することがございまして、この現実をもとに、いろいろと都内の治安を考えていかなければなりません。
青少年・治安対策本部は、治安の維持こそ最大の都民福祉という認識に立って、外国人犯罪対策にも懸命に取り組んでこられたと認識をしております。これは本当に、外国人の犯罪の防止は、我が国の治安を守るために大きな課題であり、そして、これから我が国に入国してくる外国人はどんどんふえていくと、こういう趨勢にございます。また、同じような比率であれば、国内、都内の犯罪数、検挙件数もふえていくと予想せざるを得ないと、私は残念ながらそのように思っております。
そして、外国人の犯罪を防止するためには、警察や入国管理局などと連携した、まずは普及啓発と、そして取り締まりなどの取り組みが不可欠であります。これまでの取り組み内容と成果についてお伺いいたします。
〇伊東治安対策担当部長 平成十五年十月、法務省、東京入国管理局、警視庁と東京都の四者で、首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言を発表し、全国約二十五万人の不法滞在者を五年間で半減することを目標として取り組みを実施いたしました。その結果、各機関との連携のもと目標を達成いたしました。
平成二十一年十二月には、東京入国管理局、東京労働局及び警視庁とともに、外国人滞在適正化連絡会議を設置し、連携した対策に取り組んでおります。
また、平成二十二年六月を外国人適正雇用推進月間と定め、東京入国管理局、警視庁及び区市町村とともに、都内各地で街頭キャンペーンを実施いたしました。
法務省入国管理局によると、東京都内で不法就労の事実が認められた者は、平成十七年中は一万六千六百十二人でございましたが、平成二十二年中は三千四百六十二人となり、五年間で約八割減少しております。
〇吉田(康)委員 ありがとうございます。
今ご答弁の最後で、平成二十二年、都内で不法就労の事実が認められた方は約三千五百人ぐらいと、五年間で八割減少したというご答弁で、本当にこれは、把握された数字が都内の実態のすべてであれば非常にありがたいんですが、どうも皮膚感覚で、本当に都内で不法就労されている方、そんな数なのかなというふうにも思うわけです。
青少年・治安対策本部は、外国人の犯罪対策として、これまででは都民への普及啓発についてはどのように行ってきたのか、次に伺います。
〇伊東治安対策担当部長 平成二十三年四月に発表された法務省入国管理局の統計によりますと、平成二十二年に退去強制手続をとった出入国及び難民認定法違反者は約二万四千人で、うち不法就労していた者の割合は約八割を占めています。
犯罪の温床にもなりかねない不法滞在外国人を減少させるためには、外国人の不法就労を防止することが重要であると考えております。
そこで、当本部では、平成十八年から、不法就労の多い食品、製造、建設業等の事業者を中心に、外国人の不法就労を防止するための不法就労防止啓発講習を実施しております。また、不法滞在外国人の円滑な出国を促すため、出国命令制度の周知用ポスターを作成し、都内の電車やバスに掲出いたしました。
〇吉田(康)委員 ただいまご答弁で、入管法違反者約二万四千人のうち、不法就労の割合は約八割ということでありました。この違反を見つけられなかった方々については、多分同じような比率で就労されているんじゃないかと思うんです。
ここでちょっとご紹介したい人がいるんですが、坂東忠信さんという方がいらっしゃいます。警視庁に十八年間勤務をされ、そのうち約八年間を北京語を使う刑事通訳捜査官として、中国人犯罪者を延べ一千四百人取り調べた方です。これは普通の通訳捜査官じゃない刑事の方だと、半分ぐらいしか取り調べが、調書を書いたりすることができないようですが、まさしく現場を知り尽くしたプロの方です。
この方の著書の一つに「通訳捜査官」という本がございまして、ここには次のようにあります。
「私が扱った中国人被疑者や参考人」、この参考人というのは、つまり犯罪を犯している人ではなくて、その犯罪の状況を聞くために、普通のかたぎの生活をしているはずの方をお呼びした参考人など「のうち半数近くは、なんと密入国者だった。」と。中略、「また私の接した中国人を見ていると、正規入国者の半分近くは、滞在期間なんてほとんど気に掛けていない。」、オーバーステイするということですね。中略、「私は何度もごくありふれた密航者の部屋にガサ入れに行き、彼らの部屋に散らかっていた、たくさんの開錠練習用ドアノブ」要するにドアのノブが、いろんな種類のノブだけ部屋にいっぱいあるわけですね。要するに空き巣をする練習用にいっぱい持っているわけです。そしてその「開錠用具、偽造テレカ、偽造旅券」、パスポートですね、「各種の偽造回数券などをこの目で見てきた。」、中略、「経験から言って、東京では就学生」、つまり学生さんですね、留学生です。就学生「など正規滞在の中国人ですら、職質(職務質問)を食らってヤバイものを一切持っていないということのほうが珍しかったのである。」、と書かれております。
大変な、現場で地べたをはいずり回って一生懸命やっている方からすると、こういう感覚で、ほら話ではなくて、きちんと本に書かれておられますが、この不法滞在、不法就労、そしてさまざまな犯罪のない安全な東京ということを我々は期待しているわけですけれども、繁華街などにおける不法就労防止対策、これにどのように取り組んでおられるのか、伺います。
〇伊東治安対策担当部長 繁華街等における不法就労防止対策としては、今年度から新たに適正雇用推進宣言事業所づくりに取り組んでおります。
これは、関係機関である東京入国管理局、警視庁、区市町村等と連携し、都内の繁華街等において、飲食店を中心に事業所を訪問の上、直接、事業主等に対し適正雇用を呼びかけ、ステッカーやリーフレット等を配布するものでございます。
同ステッカーは、事業主が当該事業所において不法就労者を雇用していない旨の記載があるもので、そのステッカーを事業所の入り口など都民の目にとまる場所に貼付することで、事業主の適正雇用への意識の向上と都民に対する適正雇用のアピールになっております。
これまでの取り組みを実施した地域は、新宿、渋谷、池袋、六本木等九カ所で、十二月には、さらに新大久保等三カ所で実施する予定でございます。
〇吉田(康)委員 いろいろとご苦労されているというご答弁であります。
これに関連して、国の警察庁では、平成二十三年三月に犯罪インフラ対策プランというものを策定しまして、同プランにおいては、全国の都道府県警察が犯罪インフラ対策を総合的に推進するための体制を構築し、関係行政機関、東京都ですね、と情報の共有化を図り、組織を挙げた対策を推進するものとしております。
都としては、犯罪インフラ対策についてどのような連携を行っているのか、これから行うのか、お伺いをします。
〇伊東治安対策担当部長 警察庁は、国内の組織犯罪、詐欺、窃盗、サイバー犯罪等のあらゆる犯罪の分野で巧妙に張りめぐらされている犯罪を助長し、または容易にする基盤を犯罪インフラとし、都道府県警察に対し、関係行政機関と協議会を設けるなどして、犯罪インフラ対策に対する連携強化を通達により指示しております。
都としては、犯罪インフラ対策について、外国人滞在適正化連絡会議を通じて警視庁と連携し、情報の共有化を図ってまいります。
〇吉田(康)委員 これはぜひ連携を強めていただきたいわけであります。
特に、池袋などの繁華街には中華料理屋さんもいっぱいあって、中国語等のフリーペーパーがたくさん置かれています。このフリーペーパーは中国語なので、我々なんか余り読む気もしないし、読んでもよくわからないと。余り我々の意識に入らないものなんですが、これを頑張って読んでみると、例えば、発音はわかりませんけれども、黒を白にするというような広告がどおんとあるわけです。黒を白にするというのは、中国語の定型の言葉で違法を合法にでっち上げるということで、違法なものを合法にでっち上げるために私のところに電話してくださいと。そしたら、例えばにせの旅券を一万円で売ってあげますよとか、にせの免許証をつくってあげますよとか、あるいは偽装結婚をしたい人はこちらとか、こういうものであります。
日本人は、これが中国語だからわからないのですけれども、こういうものが我が国内、都内において、堂々と犯罪行為を助長するような広告が掲載されて出回っていると、これは許されざる事態であります。
このようなフリーペーパーに関してどのような対策を行うのか、お伺いします。
〇伊東治安対策担当部長 来日外国人を対象としたいわゆるフリーペーパーは、日本での生活全般に有用な情報源とされている一方、一部では不正な広告を掲載している例もあると認識しております。
警視庁及び東京入国管理局と連携し、繁華街等の事業所訪問の際、直接、事業主に対し、不正な広告を掲載しているフリーペーパーを置かないよう注意を促すなどの対応を検討してまいります。
〇吉田(康)委員 これは本当にぜひやってください。
去る九月十四日に警察庁が発表した対策プラン策定後半年を経過した犯罪インフラ対策の推進状況等についてによりますと、今ご答弁もいただいた不法滞在者等向けのフリーペーパーに掲載されている広告、これは以下のようなものがあると。資格・身分の偽装の仲介、不法就労のあっせん等求人関係、地下営業、地下銀行とか、不正な住居のあっせん、その他と。こういうものを警察庁で調べたら総計七百三十六件あって、国別にいいますと、中国が五百三十一件、韓国が百五十三件、あとはちょぼちょぼちょぼと、こういうような感じでございます。
フリーペーパー上に犯罪を助長する広告記事が掲載されていることが判明した場合には、当該フリーペーパーの発行者に対し、広告掲載の打ち切り等の措置を講ずるよう要請をしているし、これからもするということですが、これにあわせて、今ご答弁あったように、都から、そういうものを自分のお店の近くに置かないようにということを、ぜひやっていただかなければいけないと思います。
都の取り組みも大事でございますけれども、入国管理政策そのもの、あるいはさまざまな書類、申請その他の事務もあります。犯罪防止に関して国へ働きかけを行うことが極めて根本的に重要だと考えますけれども、どのような働きかけを都は行っているのか伺います。
〇伊東治安対策担当部長 当本部から国への提案要求に関しましては、偽装滞在対策強化のための審査、調査の入国管理関係職員の人員体制の増強、留学生受け入れ教育機関への指導強化、さらに不法就労防止対策強化を要求しているところでございます。
〇吉田(康)委員 ありがとうございます。
外国人による犯罪を防止するための方策の一つとして、外国人登録証明書や旅券のコピーで、各種サービスあるいは手続、こういうことをしてしまう、受けてしまうということが多いんですが、コピーによる同定、これで大丈夫だよという認定をしないように、周知徹底、注意喚起を行う必要があると思っております。
都民への啓発事業についてはどのように行っているのか、お伺いをします。
〇伊東治安対策担当部長 一般都民に対しましては、六月及び十二月に外国人適正雇用推進月間を設定し、都内各地で街頭キャンペーンを実施し、適正雇用の呼びかけを行っております。
事業主に対しては、不法就労防止啓発講習において、外国人の採用に関して必要な身分確認を外国人登録証明書の原本で行うよう指導しております。
〇吉田(康)委員 ありがとうございます。本当にこれは大事です。
それで、外国人登録証、この制度も来年七月にちょっと変わるようでありますけれども、現状、例えば先ほどの広告の一つに「求む、真厨師」と、こういう代表的なものがあります。厨師というのはつまりコックさんです。単純労働はだめで、きちんと技術、技能を持った人でないと入れないと。それを彼らはどうするかというと、とにかく皿も洗えないような方でも、コックさんだといって日本に入国させるんです。それで手数料を取るわけです。入ってきて、その後はどこかへ行っていなくなってしまう。そういうことを続けていた中華料理屋さんは、にせのコックさんしか来ないわけですから、本当のコックさんがいなくなっちゃうわけです。店の事業ができなくなっちゃうので、今度は本当のコックさんを求むと。「求む、真厨師」と、こういう広告があること自身、にせコックさんの入国が横行しているということなんですけれども、とにかくそれも、入管の制度が若干変わるようでございますので、その辺も含めて、外国人による犯罪の防止に向けた今後の青治本のお取り組みについて伺います。
〇伊東治安対策担当部長 来年七月に改正入管法が施行され、外国人登録法に基づいて区市町村が行っている外国人登録証明書の交付にかわり、国が一元的に行う在留カードが導入されます。
在留カードは、適法に我が国に中長期間在留する外国人に交付されます。具体的には、在留資格、短期滞在の者や、三カ月以下の在留期間の者並びに在留資格を有しない者などには交付されません。この在留資格を有しない者には交付されないという点については、不法滞在者を含む外国人すべてが交付対象である外国人登録証明書とは異なるものでございます。在留カードには偽変造防止のためのICチップが搭載されます。
都では、改正入管法による在留カードの導入について、外国人労働者雇用マニュアルの改訂版の作成や不法就労防止啓発講習、街頭キャンペーン等で周知を行うとともに、今後とも、東京入国管理局、東京労働局、警視庁、区市町村等各関係機関と連携し、事業主に対し、適正な雇用に関する注意喚起及び普及啓発活動を推進してまいります。
〇吉田(康)委員 この新しい改正入管法で、若干、外登証にかわって在留カードということで、期待できることがある反面、三年までという期限が五年に延びる、あるいは一年間のうちの短期の出入りについては自動的に認めるなど、緩和された部分もあるわけであります。
世の中では、お札についてすらにせ札というものがあるわけで、せっかくICチップを入れても、上に政策あれば下に対策ありで、いかなる手を使っても偽造を図ろうという手合いも当然出てくるわけでございます。国と、そして警察と、しっかりと東京都は連携をしていただいて、せっかくICチップで確認できるといっても、それを使う都民の、事業者の側が、そういうものを読み込む装置がなかったりすると、何の意味もないわけでございますが、そういうことも含めて、新しく進んだ制度に、東京都民がきちんと対応できて、不正あるいはそこで泣き寝入りとか被害を受ける、こういうことが本当になくなるように、取り組んでいただきたいと思います。
きょうは、外国人の犯罪防止ということに特化してご質問しましたけれども、青少年の健全育成あるいは交通安全、治安の安全を含めて、全般について、ぜひ引き続き頑張っていただきますようにお願い申し上げて、質問を終わります。