2010.12.08 : 平成22年_第4回定例会(第17号)
本会議・一般質問
〇副議長(鈴木貫太郎君)
八十番吉田康一郎君。
〔八十番吉田康一郎君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
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〇八十番(吉田康一郎君)
まず初めに、国境離島の保全について伺います。
去る九月の沖縄尖閣諸島をめぐる問題は、多くの日本人に衝撃を与え、厳しい国際社会の現実、特に、我が国の隣に台頭し、成長を続ける共産党一党独裁の中国という国が、どん欲で独善的で暴力的な、今や覇権主義を隠そうともしない異様な国なのだということに目覚めさせてくれたと思います。
中国は、国際社会のルールを無視し、我が国固有の領土である尖閣諸島の領有権を主張し、謝罪と賠償を要求し、レアアースをとめ、民間企業の社員を不当に逮捕、拘留するなど、傍若無人の限りを尽くしました。
この一件から、善意や友好姿勢だけでは、到底、日本の国土と国民を守ることができないことを思い知らされました。思えば、とんでもない考え違いのもとに、長年にわたり一党独裁国家に、ODAや投資や技術や人を注ぎ込んできたものです。
都議会民主党は、九月二十九日、政府に対して申し入れを行いました。
尖閣諸島の民有地を買い上げ、国有地として灯台や警戒監視レーダーなど、構造物を設置すること。
尖閣諸島及び沖ノ鳥島に居住可能な宿舎、設備を建設し、自衛隊員を常駐させること。
レアアースなどの戦略資源の備蓄を進め、輸入先の分散を図ること。
食料に関しても、輸入先の分散を図るとともに、国内自給率の向上に努めること。
国内水源林が外国人の手に渡らないよう法整備を進めることなど、七項目です。
尖閣諸島については長年、知事が憂い、警告を発し、取り組んでこられました。時代が、あるいは中国が、とうとう知事の危惧に追いついてきたのです。
一九七四年、中国は南シナ海の当時南ベトナムが支配していた西沙諸島の永楽諸島を軍事力で占領しました。八八年には、南沙諸島の赤瓜礁に駐留していたベトナム軍を攻撃、全滅させ、六カ所のサンゴ礁を占領しました。九四年には、同じく南沙諸島のフィリピンが領有権を主張していたミスチーフ礁に、漁民の避難所と称して軍事施設を設置し、九九年までに恒久軍事施設を建設しました。
今では中国は、南シナ海はすべて我が海だと主張しています。
東シナ海でも、ガス田の開発を進め、着々と手を打ってきています。尖閣諸島に手をかけつつ、まだ手の届かない沖ノ鳥島を岩だと主張し、我が国の権益を否定しています。
沖ノ鳥島は日本の最南端にあり、海洋国家日本にとって、豊かな漁業資源、鉱物、エネルギー資源が眠る広大な四十二万平方キロメートルの排他的経済水域を有する戦略的要衝です。知事は、その重要性を認識し、周辺での漁業活動を支援するなどしながら国に取り組みを促してきました。
本年六月、いわゆる沖ノ鳥島保全法が国会全会一致で可決成立いたしました。今後は、国が沖ノ鳥島に港湾施設などの整備を進めていくことになります。
国際海洋法条約は、満潮時に海上に露出している岩は領土であり、その周辺十二海里の海域は、その国の領海だと規定しています。さらに、その岩に人が居住しているか、恒常的に経済活動を実施している場合には、島であって、排他的経済水域と大陸棚の権利を主張できると規定しています。
中国は、沖ノ鳥島はその二つの条件のどちらも満たしていないから岩だと主張し、我が国に無断で周辺海域の調査活動を進めてきました。中国自身は、南シナ海でサンゴ礁内の小さな岩に、高床式の掘っ立て小屋をつくって兵士を住まわせ、条約の条件を満たしていると主張し拠点化を進めています。
ちなみに、これらの岩の中には、満潮時には海面下に沈んでしまい、陸地と認められないものもあると指摘されています。つまり国際法無視です。
沖ノ鳥島には、まず自衛隊員が常駐し、港湾施設や海洋温度差発電施設などを早急に建設し、居住と経済活動の実態を整えるべきであります。
沖ノ鳥島の環礁は南北約一・七キロ、東西は約四・五キロ、南鳥島よりも一回り大きく、四千メートルの滑走路をおさめられる大きさの環礁です。速やかに滑走路も整え、我が国の海洋開発と安全保障を担う最前線の拠点として発展させていくべきであります。岩は埋め立てても岩ですが、島を埋め立てれば島なのです。戦略的に施策を打っていかなければ、沖ノ鳥島と経済水域に係る我が国の権益も中国に踏みにじられてしまう、このように危惧されます。
尖閣諸島に匹敵する戦略的要衝である沖ノ鳥島の重要性にかんがみて、島を所管する東京都は、さらに国に取り組みを促し、連携し、あらゆる努力をするべきと考えますが、知事の所見を伺います。
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次に、朝鮮学校への公金補助問題について伺います。
公安調査庁は、「内外情勢の回顧と展望(平成二十二年一月)」の中で、「朝鮮人学校の思想教育について」と題し、次のように記述しています。
「朝鮮総聯は、朝鮮人学校での民族教育を『愛族愛国運動』の生命線と位置付けており、学年に応じた授業や課外活動を通して、北朝鮮・朝鮮総聯に貢献し得る人材の育成に取り組んでいる。」
「朝鮮人学校では、一律に朝鮮総聯傘下事業体『学友書房』が作成した教科書を用いた朝鮮語での授業を行っている。例えば、高級部生徒用教科書『現代朝鮮歴史』では、北朝鮮の発展ぶりや金正日総書記の『先軍政治』の実績を称賛しているほか、朝鮮総聯の活動成果などを詳しく紹介している。」
「朝鮮総聯は、このほか、教職員や初級部四年生以上の生徒をそれぞれ朝鮮総聯の傘下団体である在日本朝鮮人教職員同盟や在日本朝鮮青年同盟に所属させ、折に触れ金総書記の『偉大性』を紹介する課外活動を行うなどの思想教育を行っている。」
また、報道によれば、「朝鮮学校の教員の人事権は金総書記が握っている。朝鮮学校校長は最重要ポストであり、朝鮮総連内の最重要幹部である『中央委員』でなければならない。『中央委員』の人事は、北朝鮮本国の朝鮮労働党の承認のもと、金総書記の決裁が必要とされる。高校の校長は、北朝鮮にとって信じるに足る『教育革命家』だ」ということです。
また、朝鮮労働党の対南工作部署である統一戦線部に所属していた元幹部の張真晟(チャンジンソン)氏は、朝鮮学校で使用されている教科書は、「日本の朝鮮大学校で作成された草案が北朝鮮に送られ、修正された上で、金総書記が目を通してサインして決裁する」と明言しています。
先般の公安調査庁が提出した答弁書が閣議決定されましたが、その答弁書によると、朝鮮総連と朝鮮学校の関係について、「密接な関係にあり、学校の教育内容や財政、人事に影響を及ぼしていると認識している」とされており、もとより朝鮮総連は北朝鮮政府がみずからの出先機関として取り扱っています。
そこで、こうした閣議決定などを踏まえ、治安責任を有する警視庁の北朝鮮、朝鮮総連、朝鮮人学校に対する認識を伺います。
朝鮮学校で行われている教育は、金日成、金正日を極端に神格化し、朝鮮戦争や北朝鮮のテロなどをすべて韓国や米国の責任とするなど、著しい虚偽の偏向教育であり、特に、北朝鮮による拉致問題については、「現代史の教科書」で、「二〇〇二年九月、朝日平壌宣言発表以後、日本当局は拉致問題を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることで、日本社会には極端な民族排他主義的雰囲気が醸成されていった」とだけ記し、金正日が拉致を認めて謝罪したことや、朝鮮総連が拉致はでっち上げだと強弁してきたことに謝罪したことを全く取り上げず、家族らの被害者救出への努力を「反朝鮮人騒動」「民族排他主義」だと非難しています。
このような朝鮮学校の教育が、教育基本法第二条の教育の目標「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」、北朝鮮人権法第二条「国は、北朝鮮当局による国家的犯罪行為である日本国民の拉致の問題を解決するため、最大限の努力をするものとする」、に明白に違反しており、公的補助には適さないという議論が与党民主党内を含め多数出ているのは当然です。
また、朝鮮学校が、実質的に日本の「公の支配」ではなく、北朝鮮の支配に属していることは明白です。
朝鮮学校に対する知事の認識を伺います。
東京都は、昨年度、二千三百五十七万円の補助金を都内の朝鮮学校に支出しています。九月七日、知事は、拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表が朝鮮学校に教育内容を問わないまま補助金が支出されている問題の見直しを要請したことに対し、「家族の心中を察するに余りあることだ。反日教育をやっているのに補助金を出すなんて信じられない。反日教育を今でもやっている学校に日本人の学校並みに手当を出すなど外国じゃ考えられない、都は考え直す。」と明言されました。
他方、政府は、高校無償化事業について、北朝鮮に制裁を行っていることなどを理由に、朝鮮学校への適用を先延ばしにしてきましたが、十一月五日、教育内容を問わずに適用を決めるという理解しがたい基準を文部科学大臣名で公表する一方、公金補助の決定前に、拉致問題に関する部分など明らかにおかしい教科書記述の改善を求めるとしました。
ところが、その手続が始まる直前の十一月二十三日、北朝鮮が韓国への無差別砲撃を行ったことを受け、手続を停止いたしました。この砲撃についても、関係者によれば、朝鮮学校では、「砲撃は南から始めた」「韓国の民間人に死者が出ているというのはでっち上げだ」との教育を行うよう、総連から指示が出ているとのことです。
このような現状を踏まえ、都の来年度予算の中で朝鮮学校への補助を全額削除すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
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次に、青少年健全育成条例の改正案について伺います。
本条例について、知事は記者会見などで、表現の自由の規制ではなく販売規制であると発言をされていますが、正確を期すならば、同種の条例に関する最高裁判例においては、条例の規制は表現の自由にかかわるものであり、表現の自由の制限を伴うものであるとした上で、必要限度の範囲内において販売規制が認められると判示されているのではないか、このように考えますが、都の見解を伺います。
そして、都は、一定改正案に対する閉会中の総務委員会の継続審査において、漫画、アニメ等における青少年の性的描写が、それを見た青少年の健全な性的判断能力の形成を阻害するという学問的知見の有無に関し、現在諸説ある中で確立した学問的見地は承知していないと答弁しています。
今回の改正案についても、青少年が強姦等の性犯罪を描いた漫画を読むと、強姦等の性犯罪を犯すおそれがあるという科学的根拠が存在し、それに基づいて改正をするわけでないと考えてよいのか、その場合、科学的根拠がないにもかかわらず改正案を規定する理由と根拠を伺います。
今回の改正案において、七条の二項で新設される基準は、現行の七条に示されている三つの基準、すなわち、性的感情を刺激、残虐性を助長、自殺または犯罪を誘発、に包含されているのではないか、このように考えますが、両者の関係について明確な説明を求めます。
次に、条文中の不当な誇張とは何を指すのか、また、どのような運用を考えているのか伺います。
次に、この改正案は、刑罰法規に触れる性交等を表現すること自体を否定するものであるとの指摘がありますが、これについて都の見解を伺います。
また、八条中、著しく社会規範に反すると、この文言の指すところは何か。この文言は、七条の刑罰法規に触れる性交等及び婚姻を禁止されている近親者間における性交等以外の第三の対象領域として、倫理や道徳に踏み込み、新たな規制の拡大を企図したものであると懸念する指摘もありますが、都の見解を伺います。
次に、刑罰法規に触れる性交等との規定がありますが、法規の中には、十三歳未満、十八歳未満とした年齢が適用の要件となっているものがあります。この場合、現実の人間でない作品内の登場人物について、十三歳未満あるいは十八歳未満であることをどのようにして判断するのか。図書の指定に当たり、年齢の判断に行政の恣意性が入り、歯どめなく対象が拡大するとの懸念が指摘されていますが、都の見解を伺います。
そして、過去の日本や諸外国においては、現在の日本の法令と異なる範囲での性交や婚姻等が認められていますが、今回の改正が、このような制度、慣習や文化、宗教など、特定の価値観を否定するものであってはならないと考えます。
また、SFなど架空の世界の設定の表現などについて、設定自体が反社会的であるとして規制の対象とすることなど、創作者の想像力や創造性を否定するものであってもならないと考えます。これらの点について、都の見解を伺います。
最後に、条例の八条に基づき、個別の図書類を指定図書として指定するに当たっては、青少年健全育成審議会において諮問が行われますが、その図書類の描写や表現の内容を適正に審議するためには、一定の時間をかけ、その内容を吟味する必要があると考えます。
現在の審議会の運用は、審議会の当日に諮問図書が配布され、その場で審査するものでありますが、今回、新たな基準を追加するに当たり、審議会の開催前に諮問図書を配布し、内容の検討の時間を確保するなど、審議会の運用も適切に変更する必要があると考えます。
この点について都の見解を伺いまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
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〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君)
吉田康一郎議員の一般質問にお答えいたします。
まず、沖ノ鳥島についてでありますが、尖閣諸島にまつわる中国政府の振る舞いは言語道断であります。全く国際的なルールを逸脱していると思いますが、一方で、我が国政府の対処も、世界から眺めれば非常に奇異なものでありまして、第三者として、このいきさつを眺めている、さっきご指摘のスプラトリーや西沙諸島で被害を受けているフィリピン、ベトナムといった国々から眺めれば、日本に対する信頼を著しく失いかねないものであったと思います。
尖閣と同じように、中国は日本の領土ではないといい張っている沖ノ鳥島についても、これを本当に守るか守らないかは、やはり政治の決意と覚悟にかかっていると思います。
実は私は、この問題について、友人でありました、今、国連大使になったんですか、前の国務次官補のボルトンと話したことがありますが、彼は、私が沖ノ鳥島に行った映像をどっかで見たらしくて、何であんなちっちゃな岩に固執するんだというから、ばかをいえと、世界地図を見てみろと、太平洋の地図を見せました。これはアメリカの大事な戦略基地でありますグアムと沖縄を結ぶちょうど真ん中にあるラグーン、礁湖であります。その周りに中国の調査船が出没しているわけですけれども、これは海底資源というよりも、あそこは非常に深い海ですから、そんなものは難しいんですが、何をとにかく隠そう、彼らの西太平洋における覇権、つまり海の覇権のための調査であって、これから展開されるでしょう彼らの潜水艦の戦略のための調査でありますが、それを、地図を見せて指摘しましたら、ボルトンが初めて気がつきまして、日本のこれに対する関心が、やっぱり当然だと思うし、それを評価したいということでした。
まあ評価するもしないも、やっているのは東京都だけでありまして、これは私もかねがね関心があったんですが、とにかく何とか、あそこへ出没する、漁業というものを名目にしてやってくる艦船の排除をしなくちゃいかぬということで、小笠原の漁業組合長をしておりましたが、今は東京都全体の組合長をしております菊地組合長、これは非常にしっかりした人物でありますが、彼に依頼しまして、そのための船を東京都はつくりました。彼もそれを指揮して、あそこに海中の魚礁を幾つかつくりまして、そのおかげで漁獲が上がるようになりましたので、日本の漁船が頻繁に行くようになりました。
それが一つの抑止力になって、外国の、漁船と称している うろんな船の出没の回数が減りましたが、いずれにしろ、これは、これからの世界情勢の中で非常に大事な戦略的な拠点になると思います。
ご指摘のように、あそこは非常に浅いラグーンでして、あそこを埋め立てて飛行場をつくるのはとても至難のことでありますが、幸い日本は非常に優秀な、 ジェーン軍事年鑑に唯一載っている対潜哨戒の飛行艇があります。こういったものの発信基地にすればよろしいので、既に金丸時代にあそこにつくった、全然用途不明の建物がありますが、ああいったものを再活用しまして、あそこにやっぱり燃料基地をつくり人員を配備することで、私は対潜哨戒の非常に大事な基地になり得るものと思いますし、ぜひそれを、私からも建言いたしますが、吉田さんからも、民主党政府に建言していただきたいと思います。
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次いで、朝鮮学校に対する認識でありますけれども、北朝鮮は、いまだに解決の道筋が見えない拉致問題を初め、先日の韓国の延坪島への砲撃など、その行動は常軌を逸しているというか、言語道断であります。
それを正当化するような教育も朝鮮学校で行なわれているとすれば、これは本当に看過できない問題でありまして、やはり彼らが過去の歴史のトラウマを抱えているのはわかりますけれども、しかし、この時代になお日本に在住しながら、その子弟に、自分が在住している国に敵意を持つような、そういう教育をもし続けているならば、これは決して好ましい存在とはいえないと思います。
ですから、この朝鮮学校への補助金についても、平成二十三年度予算については、現在まさに編成段階にありまして、補助金の扱いに関してはしかるべき時期 に判断いたしますが、何よりも朝鮮学校への補助金は、都議会の要望を受けてかつて創設された経験がありまして、まず、議会の方でしっかり議論していただきたい。そうした議論を踏まえながら、これからも都として判断をしていきたいと思います。
警視総監並びに青少年・治安対策本部長から、他の問題については回答いたします。
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〔警視総監池田克彦君登壇〕
〇警視総監(池田克彦君)
北朝鮮、朝鮮総連及び朝鮮学校に関する警視庁の認識についてお答えいたします。
初めに、北朝鮮についてでありますが、北朝鮮は過去に、ビルマ・ラングーン事件や大韓航空機爆破事件等の重大な国際テロ事件、あるいは拉致容疑事件を引き起し、さらには依然として「よど号」ハイジャック事件の犯人グループがとどまっていることなどから、十分な警戒が必要であるものと認識しております。
次に、朝鮮総連についてでありますが、朝鮮総連は、北朝鮮を支持する在日朝鮮人等で構成された団体であり、その綱領等から見て、北朝鮮と密接な関係を有する団体であると考えております。
最後に、朝鮮学校についてでありますが、朝鮮総連と密接な関係があり、教育内容、人事及び財政について、朝鮮総連から影響を受けているものと認識しております。
警視庁といたしましては、公共の安全と秩序の維持という観点から、こうした北朝鮮及び朝鮮総連の動向について重大な関心を払っており、具体的な刑罰法令に違反する行為があれば、これに対して厳正に対処してまいります。
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〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(倉田潤君)
八点のご質問にお答えいたします。
まず、改正案と表現の自由の関係についてであります。
条例の図書類に関する規定は、漫画等の創作や出版、十八歳以上の方の閲覧や購入を一切規制するものではなく、青少年への販売が制限されるにとどまるもので、描き手の創作活動を規制するものではありません。
これと同様の仕組みである岐阜県青少年保護育成条例に関する平成元年の最高裁判決においては、このような販売制限は憲法二十一条一項に違反するものではないと、明確に判示しています。その趣旨として、判決の補足意見においては、条例の規定は憲法の保障する表現の自由にかかわるものと述べた上で、本件条例を違憲とするのは相当ではないと述べています。
これは、条例による青少年への販売等の規制は、表現の自由の派生原理として導かれる、読み手である青少年の知る自由を制限するものであることを指摘した上で、それに対する一定の制約は是認される旨を述べているものであり、条例の規制が、描き手の創作の自由や出版の自由の制限に当たるとは述べていないものであります。
都においても、条例による青少年への販売等の規制は、青少年の知る自由を制限するものでありますが、青少年の健全育成の目的に照らし、そのような販売制限は憲法二十一条一項に違反するものではなく、また、描き手の創作活動を規制するものではないと考えます。
次に、改正案を規定する理由とその科学的根拠についてであります。
今回の条例改正案は、刑罰法規に触れる性交等や、婚姻を禁止されている近親者間の性交を不当に賛美、誇張するような漫画等が一般書棚で販売されている実態があり、これらを閲覧した青少年が、これらの性交等が社会的に許されるものと誤解するなど、これらの性交等に対する抵抗感を弱め、性に関する健全な判断能力の形成を妨げるおそれがあることから、このような漫画等を区分陳列の対象としようとするものであります。
したがって、この改正案は、性犯罪の描写を閲覧した青少年が、当該犯罪を犯すことを防止することを直接の目的とするものではないことから、図書類を閲覧した青少年が当該犯罪を犯すという因果関係の科学的証明の必要性は生じないものと考えます。
なお、さきに述べた最高裁判決の補足意見においても、有害図書の販売規制に当たり、有害図書が青少年の非行を誘発したり、その他の害悪を生ずることの厳密な科学的証明を必要としない旨、述べています。
次に、今回の改正の基準と現行の三つの基準との関係についてであります。
改正案による基準は、刑罰法規に触れる性交等を不当に賛美、誇張するように描いたものでありますが、これは、社会的に許容されていない性交等の描写が、これらの性交等に対する青少年の抵抗感を弱め、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げるおそれがある程度に至っているものが該当します。
しかし、こうした漫画等は、必ずしも読み手の性的感情を刺激する度合いが高いとは限りません。
同様に、読み手の残虐性を具体的に助長する程度が高いとは限らず、また、読み手が具体的に犯罪を実行し得るまで犯罪を誘発する程度が高いとは限りません。
したがって、現行の三つの基準とは別に、新たな基準が必要であります。
次に、不当に誇張の意味などについてであります。
不当に誇張するようには、漫画等において当然に伴う誇張的な描写、いわゆるデフォルメの程度を指すものではなく、刑罰法規に触れる性交等及び婚姻を禁止されている近親者間の性交等について、これらの性交等が特別なものでなく、通常あり得るものとして受けとめられるほど、必要以上に詳細に描写したり、執拗に反復して描写するなどにより、読み手である青少年から見て、こうした性交等に対する抵抗感を弱めるように描写していることを指します。
具体的には、例えば強姦など刑罰法規に触れる性交等について、不当に賛美するように描写してはいなくても、当該性交等の場面が、全編の大部分にわたり必要以上に延々と微に入り細に入り、または執拗に反復して描写されているもので、その結果、読み手である青少年が、そのような性交等が特別なものではなく、 通常あり得るものとして受けとめ、青少年のこれらの性交等に対する抵抗感を弱めるものは、不当に誇張するように描写したものとして区分陳列を検討する対象となり得るものと考えます。
次に、刑罰法規に触れる性交等などについてでありますが、条例改正案の対象は、あくまで刑罰法規に触れる性交等または婚姻を禁止されている近親者間における性交等を不当に賛美し、または誇張するように描写等したもののみであり、刑罰法規に触れる性交等を表現しただけでは、直ちに対象となるものではありません。
したがって、性的虐待を非難し、被害防止を啓発するような漫画等が対象にならないことは、いうまでもありません。
また、不健全図書指定に係る第八条第一項第二号は、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する性交または性交類似行為を、不当に賛美しまたは誇張するように描写または表現したものと規定しています。
つまり、著しく社会規範に反する性交等とは、第七条第二号に規定する刑罰法規に触れる性交等または婚姻を禁止されている近親者間の性交等に該当することを前提とした上で、そのような性交等の中でも著しく社会規範に反する性交等である、という趣旨であります。
具体的には、被害者の意思を抑圧するものとして極めて悪質な類型である強姦や、性交類似行為を伴う強制わいせつ等、また、子どもを対象とする性犯罪の類型として、児童買春、児童ポルノ禁止法における児童買春、児童福祉法における児童に淫行させる行為、東京都青少年健全育成条例における、いわゆる淫行禁止規定違反行為、及び民法により婚姻を禁止されている近親者間の性交及び性交類似行為をいい、これらは東京都規則で明示するものであります。
これに該当しないものについては、一切、不健全図書指定の対象に該当することはないことから、不当な規制の拡大を企図しているとのご懸念は当たらないものと考えます。
次に、年齢の判断についてでありますが、今回の改正案におきましては、刑罰法規に触れる性交等を不当に賛美または誇張するように描写等することにより、 読み手である青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げるおそれがあるものを区分陳列の対象とすることとし、これに該当する限り、性交等に係る登場人物の年齢設定を問わないこととしました。
ただし、性交等に係る刑罰法規の中には、性交等の対象者が十三歳未満または十八歳未満であることが当該法規の適用の要件となっているものがあります。その場合には、当該刑罰法規に触れる性交等の描写等であるか否かの判断に当たり、登場人物の年齢設定の判断が必要になります。
その際には、年齢を初めとする服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を客観的に推定させる事項の描写から判断することとなると考えています。
なお、当該性交等を不当に賛美、誇張するように描いた漫画等の一部において、服装、所持品、背景その他の人の年齢を客観的に推定させる事項の描写等からは、読み手である青少年が、明らかに十三歳未満である、または明らかに十八歳未満であると受けとめてしまう描き方をされているにもかかわらず、作品の設定上は、一言だけ、これは成人であると断り書きをつけているようなものがあります。
このようなものは、読み手である青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げるおそれがあるものとして、区分陳列を検討する対象になり得るものであります。
不健全図書の指定に当たりましては、自主規制関係団体の意見を聴取した上で、青少年健全育成審議会に諮問をし、その結果を踏まえて、都が不健全指定するという慎重な手続を経ることとしており、行政の恣意的な判断の入る余地があるとのご懸念は当たらないものと考えます。
次に、過去の制度、慣習や諸外国の文化などとの関係についてでありますが、今回の条例改正案は、今の日本で生活する青少年が、今の日本の刑罰法規に触れる性交等や、婚姻を禁止されている近親者間の性交等を社会的に許されるものと受けとめ、これらの性交等に対する抵抗感を弱め、性に関する健全な判断能力の形成を妨げられることにならないようにするための改正であり、過去の我が国の制度、慣習や諸外国の文化等を否定しようとするものではないことはいうまでもありません。
過去の制度、慣習や諸外国の文化等として性交等の場面を描いた作品が、直ちに今回の基準の対象となるわけではないことはもちろんであります。
また、SFやファンタジー作品等における架空の設定や、そこにおける性交等の描写自体を否定しようとするものではありません。
他方、過去の制度、慣習や諸外国の文化等、架空の設定にかこつけて、テーマに照らし必要以上に、今の日本では刑罰法規に触れる性交等について、特別なものではなく通常あり得ることとして青少年が受けとめてしまう程度まで、こうした性交等の場面を殊さらに描いたものは、区分陳列を検討する対象になり得ます。
これは、例えば古典文学の漫画化の体裁や、幼児との性交が合法的に許されている架空の世界の出来事であるとの体裁をとりながら、これにかこつけて、全編の大部分が、幼い子どもとの性交等の執拗な描写に費やされているようなものであります。
しかし、このことは、過去の制度、慣習や諸外国の文化等、創作者の想像力や創造性を否定することとは全く異なることであると考えます。
最後に、青少年健全育成審議会の運用についてでありますが、青少年健全育成審議会の運用につきましては、これまでも委員の方々が適切に審議できるよう努めてきたところであります。
改正条例の運用に当たりましては、委員の方々が、改正の趣旨を踏まえた判断ができるようにすることが重要であります。
委員の方々のご意見も伺いながら、諮問図書の事前配布の検討も含め、審議に必要な時間を十分に確保するようにしてまいります。