2006.03.22 : 平成18年財政委員会
〇吉田委員
ただいまご質問がありましたので、なるべく重ならないように質問してまいりたいと思います。
ただいまもご質問がありましたとおり、日銀の量的緩和政策の解除を受けまして、実際、新聞報道等見ますと、例えば三菱東京UFJ銀行が二十日、一昨日、定期預金金利を五年ぶりに引き上げた、一年物の金利が、これまでの〇・〇三の倍の〇・〇六にしていると。また、本日は、みずほ銀行や三井住友銀行も金利の引き上げというのをするようでございます。実際にこのような影響が起きているということで、先週、先日は財務局さんの方に、調達面で都債への影響について伺ったのでございますが、今回出納長室さんの方には、私からも、公金管理への影響、基金の運用について幾つかお伺いしていきたいと思います。
まず、都が運用の対象としている基金にどのようなものがあるのか、その規模と、これまで三年間の推移についてお伺いをいたします。
〇島田副出納長
運用の対象となります基金の種類は、現在、財政調整基金、それから減債基金、それから社会資本等整備基金などの九基金がございます。十八年度につきましては、ご議決いただきました後には、これらに東京オリンピック開催準備基金、それから離島漁業再生支援基金の二基金が加わりまして、合計で十一基金になる見込みでございます。
規模の推移を申し上げますと、私どもで運用の対象となっているものの平均残高ベースで見ていきますと、平成十四年度は一兆三千五百九十三億円、十五年度は一兆一千七百三十五億円、十六年度は減りまして、七千二百八億円となっております。十七年度は約六千九百億円となる見込みでございます。基金残高の減少といいますのは、基金の廃止や、それから臨時的な財源対策としての基金の取り崩し及び減債基金への積み立ての一部見送りなどが主な要因でございます。
なお、平成十八年度につきましては、十七年度最終補正予算による積み立てが約二千億円ございます。そういう意味で、平均残高は四年ぶりに増加しまして、約九千二百億円になるものというふうに考えております。
〇吉田委員
ありがとうございます。それでは、その基金の運用益と利回りの推移について、また重ねてご質問いたします。
〇島田副出納長
基金の運用収入でございますが、平成十四年度は約二十三億円、十五年度は約十五億円、十六年度は約六億五千万円でございました。
また、運用利回りにつきましては、平成十四年度は〇・一七二%、十五年度は〇・一二八%、十六年度になりますと〇・〇九〇%と低下しております。これは、金利の高かった時期に設定した預金とか債券が満期や償還を迎えたことによりまして、全体の利回りが低下したものでございます。
なお、十七年度につきましては、昨年度に比べて運用収益は増加し、利回りも上昇する見込みというふうに考えております。
〇吉田委員
ありがとうございます。運用益、利回りともに変動しているというご答弁でございましたが、運用に当たりまして、具体的にどのようなジャンルの商品を投資の対象としているのか、また、運用対象に変化があるのかについてお伺いいたします。
〇島田副出納長
投資可能対象の商品につきましては、都の資金運用基準で定めております東京都資金管理方針で規定しておりまして、預金のほかに国債、政府保証債、財投機関債、それから金融債、社債などを運用対象としているところでございます。
預金につきましては、都の定める基準をクリアする金融機関のみに行っております。債券の購入に当たっては、発行体ごとに格付や決算データを分析しまして、経営状況等の判断を加えた上で総合的な信用リスクを判断し、十分信用力が高いと判断される発行体に限定しているところでございます。
これまで、安全性の確保を図りつつ、効率性を追求する観点から、運用の対象商品を順次拡大してまいりました。さらに、以前に購入した利回りの低い国債を売却しまして、利回りの高い金融債、それから政府保証債などを購入し、利回りの向上に努めてまいった、こういうふうに考えているところでございます。
〇吉田委員
いろいろ運用対象商品を順次拡大してきたということでございます。
ただいま、先ほどのご質問で、安定的にということが大変重要だというご答弁があったんですが、一応念のためというか、改めて、運用対象商品を今後拡大していくことを考えておられるかどうか、お伺いします。
〇島田副出納長
現状におきましても、運用商品、先ほど申し上げましたものすべてを対象にするんじゃなくて、十分に信用力が高いと判断されるものに限定して運用を行っているところでございます。
今後さらに、今ご質問がありましたように、対象商品を拡大するかということになりますと、安全性を十分確保するにはリスクを伴う商品、そういった商品が対象とならざるを得ません。これらは、率直に申し上げまして、公金を安全に管理するという観点からはそぐわないのではないかと。特に公金でございますので、しつこいようですが、一円たりとも毀損してはいけない、なくしてはいけないという観点がございますので、現時点では直ちに拡大できるというふうには思っておりません。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇吉田委員
ありがとうございます。全くもっともなご答弁だと思います。
そうしますと、どのように高い金利を付利する機会を得るかということが重要な問題になってくると思います。そこで、現在の運用の方法、具体的なところ、例えば三カ月や六カ月といった期間の定期性預金などについては、どのように預け入れ先を決めているのか、お伺いいたします。
〇島田副出納長
私どもで、都で定めます安全性の判断基準によりまして基準を満たしている金融機関、こういった金融機関のみに対しまして、設定の金額ですとか設定の期間などを示して各行から利回りを提示させる、いわゆる引き合いといわれる方法でございますけれども、そういった引き合いの方法の中で最も条件のよい金融機関に設定する、そういう方法をとっております。
それから、債券でございますけれども、これも証券会社からのオファーをもとに、市場の金利動向なども勘案し、場合によりましては、私ども出納長室で交渉して、さらによい条件を出していただくなど、その時点で最も利回りの条件がよいと思われる商品を選択しまして購入しているところでございます。
〇吉田委員
いろいろと大変ご苦労されているところだと思うのでございますが、利回り等の条件がいいということの判断をどのようなことに基づいてというか、やっておられるのか、お伺いします。
〇島田副出納長
私どもは、大変微力ではございますけれども、金融市場の状況や金融に関する最新情報をリアルタイムで把握できるというふうなことを目指しまして、例えば証券会社などでは、証券会社や金融機関が活用しておりますブルームバーグ端末というものがございます。こういったもので債券等に関する動向を逐次確認しているほかに、ブルームバーグ社から配信されます金融情報を活用することなどにより、時々刻々と変化する金利動向や金融情勢を把握することによりまして判断をしているところでございます。
それ以外に、公金管理委員会、先ほどもお話ししましたが、そういったもの、あるいは民間の会社から非常に優秀な方を割愛していただきまして東京都で働いていただく、そういった方からのご指導も受けながらやっているところでございます。それからさらに、金融機関さんやそういったものから債券市場や金利動向に関する各種情報の提供を受けるなどいたしまして、的確な情報把握に努めているところでございます。
今後とも、さまざまな形で情報の把握と適切な選定に努力していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
〇吉田委員
ありがとうございます。非常に大変なご努力をされている様子が具体的によくわかりました。
今後、いよいよ量的緩和政策の解除ということで、先ほどもご質問にあったとおり、金利を基本とする本来の金融政策に戻ってくるということで、ゼロ金利政策が当面続くといっても、市場では、ことしの夏には早くも利上げがあると見込んでいる向きもあるようでございます。現在の中短期金利の水準が既に利上げを織り込んだレベルにあるんだというような見方もございます。
そこでお尋ねをいたしますが、この一カ月間ぐらい、量的緩和解除の決定を挟んでどのように金利が推移してきているのか、お伺いいたします。
〇島田副出納長
ここ一カ月間の金利動向でございますが、長期金利として見られます十年物の国債につきましては、約一カ月前でございます二月二十日は一・五三%でございました。三月二十日段階では一・七四%で動きました。それから、中期金利でございます五年国債については、一・〇一%から一・二二%へ、そして私どもは、都の運用対象となっております二年国債につきましては、〇・四二%から〇・五六%へと、いずれも約〇・一から〇・二の間で上昇している状態でございます。
〇吉田委員
ここ一カ月、金利が〇・一から〇・二程度、実際に上昇しているというお話でございました。
それでは、金利の上昇に伴いまして、基金の運用益はどの程度増加が見込まれるのかという点について、例えば〇・一%金利が上昇するとどういう影響が出るのか、〇・一%の重みですね、この面をお聞きしたいと思います。
もちろん、金利の上昇が運用利回りの上昇にどの程度反映されるかということを試算するのは、運用期間や商品の性質等の関係でなかなか困難だとは思われますが、ここではごくごく単純に割り切って、現在の運用利回りが〇・一%上昇した場合ということで運用益はどの程度増加するのか、お伺いいたします。
〇島田副出納長
今委員からもお話しいただきましたように、各基金によりまして、満期の時期ですとか運用期間、それから運用の商品が異なります。大変申しわけないんですが、金利の上昇による具体的な運用収入への影響額の試算というのはなかなか難しゅうございます。
ただ、先ほどお答えしましたように、平成十六年度の基金の平均残高は七千二百八億円でございまして、運用利回りは〇・〇九%であった状態でございます。これで運用収入が約六億五千万円でございました。この数字を前提といたしまして、仮に運用利回りが〇・一%上昇するということで試算させていただきますと、運用利回りのパーセンテージは〇・一九%、運用収入は約十三億七千万円で、約七億二千万円の増収になるというふうに見込んでおります。
〇吉田委員
ありがとうございます。単純には比べられないけれども、利回りが〇・一%上昇すると七億円以上の収入増になるんだという試算をご答弁いただきました。これはやはり大変大きな金額でございます。運用方法の工夫によって、運用益に大きな違いが出てくると思います。今後、金利が上昇していくということは十分具体的になってまいりましたので、これまで以上に金利の変動に敏感になるべきだともちろん思います。
先般、財政委員会で財務局にお聞きしたところでは、金利が〇・一%上昇した場合に、翌年度発行分の都債の利払いは約十一億円増加するというご答弁がございました。調達の金利と運用の金利というのは必ずしも一致するものではございませんが、今後、都債の利払いもふえていく、かさんでいく可能性が高まっているという中で、その分運用をしっかりと頑張っていただいて利益を上げていただきたいということを強く念願するものでございます。
公金の管理を担われる立場として、ぜひ一層金利感覚を研ぎ澄まして、劇的な環境の変化というようなものが起きる局面というのもあろうかと思います。そういう場合にも適切かつ柔軟に対応できるように、お取り組みをさらに進めていただきまして、運用のパフォーマンスを一層上げていただくよう努めていただきますことを改めて最後に要望いたしまして、質問を終わります。