平成21(2009)年10月29日
厚生委員会
〇吉田委員
最後に、今までざっくりとしたお話ばかりお伺いしてまいりましたが、食品の安全性という問題で、輸入食品の問題についてお伺いします。
輸入食品の安全対策についてやりますが、我が国の食料自給率はカロリーベースでは四〇%といわれて、今や食生活は輸入食品に頼らざるを得ない状況にあります。それだけに、輸入食品の安全性について都民の関心が非常に高いという状況です。
昨年の中国産の冷凍ギョーザへの高濃度の農薬の混入や工業用原料であるメラミンの食品への意図的混入など、食品の安全性あるいは安心を脅かす大きな事件がありました。
この輸入食品の安全性というのは、一義的には国が確保すべき責務があります。そして、検疫体制の強化など、さまざまな対策が講じられてきたわけですが、相変わらず問題は起きているというか、都民の食に対する不安も依然解消されていない。そして特に、大変な量を輸入していますので、中国を初めとする輸入食品に対する不信感というのは非常に強く残っています。
国は、検疫所において年間約十九万件の輸入食品の検査を実施しております。ここ数年の違反状況を見ますと、毎年一千件を超える違反が発見されており、多い順に、中国、アメリカ、タイ、ベトナム、台湾と、こういうところからの食品に違反が多い。このような検疫所で発見された違反にはどういう傾向があるのか、これについてお伺いします。
〇奥澤食品医薬品安全担当部長
輸入食品については、国や地域によって違反となる食品の種類や内容に一定の傾向が見られます。ここ数年の違反傾向としては、例えば平成十八年度に残留農薬などの基準にポジティブリスト制度が導入され、規制が強化された結果、中国、台湾等の野菜、果実の農薬や、東南アジアから輸入される養殖エビの合成抗菌剤の残留基準に違反するものが増加いたしました。
また、食品添加物につきましては、国によって使用できる添加物の種類や量などの基準が異なっており、日本で認められていない添加物が使用された食品が誤って輸入されるといった違反が見られます。
〇吉田委員
ポジティブリストにして規制が強化された結果、違反が増加した面もあると。あるいは、日本で認められていない添加物を使っている違反もあると。いろいろ、違反の種類、対応はさまざまなんですが、検疫体制は強化が図られたとはいえ、やはり、これをくぐり抜けて都内に流通してしまうものがあるわけであります。
都では、輸入食品対策を重点事項と位置づけておられて、計画的に検査を実施しておられますが、都に流通する、この膨大な、多様な輸入食品に対して、具体的にどのように検査を行っているのか、お伺いします。
〇奥澤食品医薬品安全担当部長
輸入食品の検査に当たりましては、これまでの輸入実績や検疫所の検査結果などを活用し、国や地域によって違反の蓋然性が高いと推定される農薬や添加物を重点的に検査するなど、効率的な検査に努めております。
平成二十年度は、特別区及び八王子市と連携し、都内に流通する輸入食品、約二万三千件の検査を行いました。その結果、輸入検疫をすり抜けてしまった農薬や添加物の違反を三件、また、表示の違反を十四件発見いたしました。これらにつきましては、販売禁止等の措置を行うとともに、輸入業者に対して再発防止の指導を行いました。
また、有害な食品が広く流通しているなどの情報を探知した場合には、緊急的な監視、検査を実施することとしており、大きな社会問題にもなりました、昨年の冷凍ギョーザ事件の際には、冷凍食品について集中的な監視、検査を行いました。
〇吉田委員
本当にしっかり取り組んでいただいていると思います。これは二万三千件の検査を行って、食品添加物や残留農薬の違反は三件、表示違反は十四件、本当に砂の、大海の中から何か拾っていくのは、すごい大変な、これを一生懸命やっていただいていると。
それだけやっていただいておりますが、輸入食品は年間百七十万件を超えるわけで、このすべてを検査することは本当に実質的に不可能であります。また、冷凍ギョーザ事件の際には、自治体間の情報共有に課題があって問題が非常に深刻になったという指摘もあります。国や都が輸入食品に対する監視検査体制強化を図ったというのはよくわかっているんですけれども、今後もしっかり頑張っていただきたい、こういう思いで、都の健康を守り、食に対する不安を解消するために、今後さらにというか、輸入食品に対して都がどのように取り組んでいくのか伺います。
〇奥澤食品医薬品安全担当部長
輸入食品の安全を確保するためには、流通する食品等の検査だけではなく、海外の現地工場における衛生管理状況の確認や、輸入しようとする食品の自主検査を輸入業者がみずからの責任で行うなど、輸入前の段階で対策を講じることが効率的かつ有効な手段でございます。
そのため都は、これまで行ってきた、検査を主体とした輸入食品の安全確保対策に加え、輸入業者の本社が多いという東京都の地域特性を踏まえ、約千軒ある輸入業者に対する自主的衛生管理の支援を強化するために、今年度、輸入監視班を二班四名から三班六名体制に増強いたしました。
また、首都圏の自治体で構成する連絡会議を通じて情報の共有を図るなど、自治体間の連携を強化しております。
今後とも、輸入食品の安全と都民の安心を確保するため、輸入食品対策に取り組んでまいります。
〇吉田委員
今回、今ご答弁いただいた、都が輸入食品を検査するのみならず、輸入業者自身が自主管理をする、この支援を進めて、輸入前の段階から安全対策が届くようにする、こういう施策に踏み込んでいただいたということを評価いたします。こういう取り組みが都民の不安の軽減、払拭につながっていくと思います。
今後とも、国内品は前、産労局で聞いたんですけど、輸入食品に対する都民の安全・安心を確保するための対策、引き続き強力に推進していただくことをお願いします。