平成21(2009)年10月29日
厚生委員会
〇吉田委員
次に、障害者自立支援法の関係で、サービス推進費、これについてお聞きをしたいと思います。先ほど山加先生の方から大変有意義な質疑がございまして、私も大変勉強になりまして、また、施設を運営される方も安心されたと思うんですけれども、重複をなるべく避けながら質問をさせていただきたいと思います。
新政権で障害者自立支援法廃止という方針が示されております。この中で、私の地元の障害者福祉の事業者からも、都のサービス推進費も廃止されるんじゃないかという心配の問い合わせが私にも来ているわけです。
先ほど山加先生の質疑がございましたが、この民間社会福祉施設サービス推進費は、国の基準に上乗せする形で、障害者施設など運営費に対して都が独自の加算を行っているもので、平成十二年度にそれまでの制度を再構築する形で創設されて、さらに十六年度に改正が行われていると認識しております。このサービス推進費が、既に平成十八年度に施行されている障害者自立支援法に基づく制度に合わせたものにしていく必要があるとして、今、見直しという方向だと。
その後というか、その次について、ちょっと皆さんも心配をしているわけで、私ども民主党が掲げている自立支援法の廃止という方針は、事業者を困らせるという、予期しない減収や混乱、不安を引き起こそうというものではなくて、利用者にとっては利用しやすく、また事業者にとっては、将来に向けた経営の予見性を高めて、安心して人材の確保、養成、そういうことに取り組めるために制度を変えようということであります。
そうしたことの関連で、今の都が進めておられるサービス推進費の再構築について、ちょっと伺っていきたいわけでありますが、まず、改めて、どのようなものであったのか、位置づけについてお伺いします。
〇芦田障害者施策推進部長
都は、かつて行政の措置により、限られた人が福祉サービスの対象となる措置制度を前提として、処遇費や人件費を都独自に加算するという事業を実施しておりましたけれども、経営者による自主的かつ柔軟な施設運営を促進するため、平成十二年度に、こうした従来の事業を再構築し、民間社会福祉施設サービス推進費を創設いたしました。さらに、平成十六年度には、都として望ましいサービス水準を確保し、施設の努力に対する加算を行う仕組みとして、サービス推進費の見直し、実施をしているところでございます。
〇吉田委員
そうですね。これは本来、国の給付費の水準が必要十分なものであれば、それだけで必要な水準のサービスを確保して、安定的な事業運営ができるはずのものであるわけです。しかし、全国共通の制度でありながら、都が独自にこういう加算制度を設ける。何でそれが必要であるのか、改めてお聞きします。
〇芦田障害者施策推進部長
本来、障害者施設は、国の制度に基づく給付費により運営されることが基本でございます。しかし、障害程度にかかわらず、特に配慮を要する方などに対する適切な支援を確保するためには十分ではないと考えております。
また、国の報酬単価の設定に当たりまして、物価水準や土地取得費、物件費等が高額である大都市の実情が適切に反映されたものとはなっていないといった問題もございます。
〇吉田委員
よくわかりましたというか、全くそのとおりであります。先ほどの介護人材の確保でお伺いをしたことも同じ問題点を抱えているということがございますので、先ほどのご答弁でありますが、いろいろとお考えをご検討いただきたいなと思うわけであります。
それで、都の独自の加算が必要だと。大都市の実情を踏まえて、必要な運営水準を確保しなければいけないということがわかりました。それでは、なぜ今この事業の見直しが必要なのか、改めてお伺いします。
〇芦田障害者施策推進部長
現行のサービス推進費は、支援費制度を前提に制度設計がなされております。しかし、平成十八年度から障害者自立支援法が施行されたことにより三障害共通の制度となり、サービス利用拡大のため、NPO法人等の多様な事業主体が参入し、施設単位から機能別のサービス体系に再編されるなど、制度の仕組みが大きく変化いたしました。現行のサービス推進費の制度設計の前提となった仕組みが大きく変わってずれが生じているため、障害者自立支援法に合わせた見直しが必要となっております。
さらに、ことし四月に、障害者自立支援法施行後三年目の制度見直しの一環として報酬基準が改定され、これらとの整合性を早急に検討することが必要になっております。
〇吉田委員
わかりました。そういう、おっしゃることで見直しが必要だということは理解しました。
ここから、大事な質問なんですけれども、現在の現行法の廃止、そして新法が施行されたというときになって再び見直しが行われて、そのときにこそサービス推進費が廃止されてしまうのではないか、こういう不安があるわけです。そういう不安がある中では、やはり施設は、運営者は、長期的な視点に立って、安定した施設運営というのができないわけであります。
そこで、今、現政権が述べているというか、示している自立支援法の廃止と、それからサービス推進費の見直しとの関連について、都はどのようにお考えになっているのか、特に、自立支援法が廃止されることに伴ってサービス推進費も廃止ということがあるのかどうなのか、お伺いをします。
〇芦田障害者施策推進部長
今回の見直しは、都として望ましいサービス水準を確保し、努力した施設が報われる仕組みとして、現行法に合わせてサービス推進費の再構築を図ろうとするものであり、こうした仕組みは今後も必要であると考えております。今後、国制度の見直しにより再度、制度設計を見直す必要が生ずることはあっても、事業を廃止することにはならないと考えております。
〇吉田委員
私も、そうあってほしいと思っております。ぜひ、事業者が長期的な見通しを持って運営できるように都として施策を進めていただきたいですし、我々もいろいろとご相談させていただきながら、国に対してしっかりと要望をしていきたいと思っております。
次の質問は、山加先生の質疑に重なりますので、これはちょっとやめさせていただいて、個々の事業者が、収入の増減が、これは新しい制度で生じる、これに伴って、大幅なサービスの質の低下を招いたり、事業の運営に混乱が生じることのないよう、経過措置として激変緩和を実施していただくということで、私からもよろしくお願いします。
また、一般、原則としてそうだとしても、事業者は大変心配ですので、十分に情報提供していただきたいと、この点についても、東京都社会福祉協議会を窓口に、各施設経営者と十分に情報提供や意見交換を実施していただくというふうにご答弁をされておられますので、これまた私からもお願いを申し上げて、次に移らせていただきます。
この項の最後に、都として、国に対して、あるべき制度、これがどういうものだということをきちんと要望していただきたいと思うわけですけれども、どういう制度がいいのかということについて、その所見を、ちょっと答えにくいかもしれないんですが、お伺いします。
〇芦田障害者施策推進部長
都は、これまでも障害者にかかわる法制度について、障害者の生活実態に即した効果的な仕組みとしていくことや、良質なサービス提供のためのサービス全体にわたる基本的な報酬の改善など、制度の見直しを国に要望してきたところでございます。国における制度の見直しにおいて、都が考える望ましいサービス水準の確保が実現されるよう、今後とも引き続き国に求めてまいります。
〇吉田委員
とにかく東京都の固有の抱える事情、こういうのもしっかり国の制度でも反映してもらえるように、私どもとしても、しっかりと要望を国にしていきたいと思っております。