平成21(2009)年10月29日
厚生委員会
〇吉田委員
皆様、お疲れさまでございます。私は、厚生委員会、初めてでございまして、新政権発足後初めての事務事業の質疑ということですので、ちょっと大まかなことも含めてお聞きをしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
まず、介護の分野についてお伺いをしてまいります。介護人材の確保についてであります。
まず、国によりますと、介護人材が四十三万人ほど不足するというように見込まれているとのことですけれども、この点について、まず、都内における介護従事者の最近のというか、現在の就労人数についてお伺いします。
〇永田生活福祉部長
厚生労働省の介護サービス施設事業所調査によりますと、東京都の介護分野の主要サービスにおける介護職員数は、平成十九年十月一日現在でございますけれども、約十万一千人となってございます。
ちなみに、平成十八年十月一日現在では約九万五千人でございます。残念ながら、二十年度についての調査結果は、十二月に公表予定ということでございますので、現時点ではまだ把握されてございません。
〇吉田委員
十九年の数字が最新だということで、十万一千人ぐらいと。これに対して、必要な介護の従事者の人数というのは、どのくらいと見込んでおられるのか、お伺いをします。
〇永田生活福祉部長
全国の介護労働者数は、平成十八年には百十七万人でございます。厚生労働省の推計によりますと、全国で、平成二十六年には、最大で百六十万人が必要とされておりますけれども、これも残念ながら都道府県別の推計は示されてはございません。
東京都におきましては、平成二十三年度の介護職員の必要数を十四万六千人と推計をいたしておりまして、介護従事者数は十三万八千人と推計しているところでございます。その差の八千四百人の介護人材を、平成二十年度から二十三年度までの間に育成、確保することとしてございます。
平成十九年度につきましては、介護人材不足が見込まれるとの認識のもと、東京都福祉人材センターにおける取り組み内容を検討いたしまして、平成二十年度から、介護人材の確保に向けたさまざまな取り組みを開始したところでございます。
〇吉田委員
二十三年度の推計をご答弁いただいて、二十年度から二十三年度まで八千四百人ふやしていかないといけないんだと。ざっくりいえば、年間二千人ぐらいずつというふうに、乱暴にいってもいいかもしれないんですけれども。これは国の推計から計算すると、ご答弁のとおり、平成十八年、百十七万人、二十六年には最大百六十万人となりますと、全国では一年間に約五万三千人が不足するという計算になるんですね。これが、十八年度の都内の介護職員数、先ほどご答弁で九万五千人と、これは全国の百十七万人に対して八%であります。
今申し上げた、全国で一年間に約五万三千人不足するというものの八%を見ると、約四千二百人となるんですね。都の、二十三年度に八千四百人、毎年二千人ぐらいずつふやしていくというのは、見積もりというか予測として、ちょっと甘いのでないかな、こういう気もするんです。
これはいろいろと細かくお聞きをしていても、なかなか難しく、十九年度はまだ把握をしてなかったとか、いろんなことがありますけれども、これはさくっとご答弁いただけなかったんですが、二〇〇七年八月の厚生労働省告示第二八九号、皆様よく引用されている、社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針によりますと、地方公共団体の役割として、都道府県においては、雇用情勢を踏まえ、従事者の需給状況や就業状況を把握するとともに、従事者に対する研修体制の整備、経営者や関係団体等のネットワークの構築など広域的な視点に立って、市区町村単位で行うことが難しい人材確保の取り組みを進めていくことが重要であると、都道府県の役割を求めているわけで、もちろんお取り組み、一生懸命やっていただいているんですけれども、従事者の需給状況の把握、これをもうちょっと精査をしていただく必要があるんじゃないかな、このように思っておりますが、ご見解をお願いします。
〇永田生活福祉部長
まずは、平成二十三年度までの目標というのがございますので、八千四百人でございますが、この確保に向けて全力を尽くしていく必要があろうかというふうに考えてございます。その上で、今後の社会経済情勢の動向や、国の調査結果なども踏まえまして、必要数や充足数等の数値を把握した上で、必要な介護人材の確保に努めていく必要があろうかというふうに考えてございます。
〇吉田委員
引き続きしっかりと取り組んでいただいて、またいろいろとご議論させていただきたいと思います。
この必要な介護職員の確保に向けて、平成二十年度の取り組み状況と、今後どのように取り組んでいくのか、改めてお伺いをします。
〇永田生活福祉部長
平成二十年度の取り組み内容といたしましては、東京都福祉人材センターにおきまして、福祉の仕事の魅力を広く周知すべく、福祉の仕事就職フォーラム等の大規模な説明会の開催や、地域密着型面接会の採用面接会を実施いたしまして、求職者の開拓を積極的に行っております。
また、有資格者の再就職を支援いたしますために、相談カウンセリングの充実や講義と実技をあわせた再就職支援講座を実施しているところでございます。
こうした東京都福祉人材センターの取り組みを通じた就職者数と、ハローワークを通じた就職者数を合わせますと、若干重複するものはあろうかというふうには思いますけれども、平成二十年度に約五千五百人、各施設、事業者等に就職をしているという状況がございます。
平成二十一年三月には、社会経済情勢の動向を踏まえまして、介護の現場を目指す離職者や一定所得以下の方々に対しまして、介護の資格取得費用の助成や就労支援を開始して取り組みを進めているところでございます。
今年度からは、東京都福祉人材センターの取り組みに加えまして、施設職員等の資格取得に係る経費の補助など新たに実施をいたしまして、介護人材の確保、定着を図り、目標達成に向けて努力をしているところでございます。
〇吉田委員
いろいろな取り組みをしておられるということで、その中で五千五百人が就職しているという実績もお示しいただいたんですが、これはご存じのとおり、介護の分野が離職率も高くて、五千五百人が純増ということじゃないというふうに伺っております。目標の八千四百、これですら、もしかしたら不十分かもしれないという中で、さらなるお取り組みの強化というか、本当にお願いをいたします。
そして、巷間いわれる中に、介護の人材不足、そして離職率の高さ、この中には、一つには、介護従事者の賃金が低くて生活できないことが、この人材不足の理由の一つであるというふうにも指摘をされているところであります。
まず、介護従事者の賃金の傾向、動向について、お伺いをいたします。
〇狩野高齢社会対策部長
厚生労働省の平成二十年賃金構造基本統計調査によれば、超過労働分を含む給与月額につきまして、全産業平均では、男性が三十六万九千三百円、女性が二十四万三千百円なのに対し、福祉施設介護員では、男性が二十三万一千七百円、女性が二十万八千六百円、ホームヘルパーでは、男性が二十四万二千七百円、女性が二十万五千六百円となっております。
〇吉田委員
改めてお聞きをして、確かに本当に低いなと思います。この介護人材の確保のために、本当に従事者の給与を上げていく必要があろうと思います。この他産業との、今おっしゃった賃金の格差を埋めるための現在の都の取り組み、それから、お取り組みがどういうふうにきいてくるのか、影響についてお伺いします。
〇狩野高齢社会対策部長
都は、国に対し、介護報酬における大都市と地方等の地域ごとの報酬単価の差及び人件費比率の見直しや有資格者数に応じた報酬設定など、介護人材の定着、確保に向けた介護報酬のあり方について、これまで再三再四にわたり提案要求を行ってまいりました。
こうした取り組みにより、本年四月の介護報酬改定では、人件費が高い都市部の実態を踏まえた報酬単価の見直しとともに、介護従事者の専門性等のキャリアに着目した加算の創設などが行われたところでございます。
また、国は現在、介護と他の業種との賃金格差をさらに縮小するために、介護職員処遇改善交付金事業を実施しております。この事業は、職員の処遇改善に取り組む介護サービス事業者に対して、介護職員一人当たり月額約、平均一万五千円の賃金引き上げに相当する額を交付するもので、現在、都において申請を受け付けているところでございます。この交付金の積極的な活用が図られるよう、制度周知に努めてまいります。
なお、国におきましては、介護報酬改定及び介護職員処遇改善交付金事業が介護従事者の処遇改善に反映されているかどうかについて検証を行うため調査することとしており、その結果について注視してまいります。
〇吉田委員
介護報酬は国の制度でありますので、国に対して一生懸命に提案要求してきたと。国は、それを受けて今、一生懸命、制度の改善などを行っていると。その影響の検証は、これからお示しいただけるということがわかりました。
ただ、東京においては、介護関係職種の有効求人倍率が、もともと全国でも他の職種に比べて非常に高いわけですけれども、特に東京は四・三四倍と、求人数が求職者数を大幅に上回っている状況であります。いろいろと資料を私も見させていただきましたが、特に東京都では他産業がいろいろあって、他産業との賃金の差が大きいことがありますので、これ、国の施策だけでは不十分なのじゃないかな、こういうような思いも私はあるんです。
今、国が調査中の給与への影響について、もし効果が見られないようであれば、あるいは非常に弱いようであれば、介護の人材の供給とか、離職率を下げるということにきかないようであれば、例えば都独自の加算を行うとか、一律に加算するというのはやりにくいということであれば−−介護の施設をやっていらっしゃる方にいろいろお聞きをすると、いろいろこうキャリアアップというか、長年やっていても賃金の上昇率が他産業に比べて低い。スキルが上がった、あるいは、さまざまなことができるということが適切に評価されにくい、こういう賃金の構造だというようなこともございますし、あるいは施設に勤める方の離職率が高い原因にもなっているということですので、都が何かを考えるときには、長年勤続した方に、何か助けてあげるとか、いろいろと高い能力があることが示せる方には何か支援をするとか、そういうこともぜひ考えていただけないかなと思うんですけれども、見解を伺います。
〇狩野高齢社会対策部長
先ほども申し上げましたように、介護報酬の改定や介護職員の処遇改善交付金の交付が介護職員の処遇改善に反映されているかどうか、その効果検証については、国の調査結果などを見守っていく必要があるというふうに考えております。
それから、本年四月の介護報酬改定では、私どもの提案を受けて、一定、報酬単価について見直しが行われたものの、ご案内のように、例えば全国と比較して約二割高いといわれている東京の賃金水準ですとか、全国と比較して一割高いといわれている物価水準の地域差を適正に反映したものとはなっておりません。他産業との賃金差は、こうした介護報酬の制度、仕組みの根本から生じるものであり、こうした問題については、国が責任を持って解決、解消すべきものであるというふうに考えております。
こうしたことから、現時点で介護職員の処遇改善交付金等に都独自の加算を行うことは考えておりませんが、今後とも、大都市の実態を反映した介護報酬水準の設定について、引き続き国に提案要求を行ってまいりたいと考えております。
〇吉田委員
問題意識は共有しているということでありますので、最初の、不足の介護の人材、本当にどれぐらい不足するのかなという数字の問題も含めて、それから処遇も含めてしっかりとやっていただかないと、この高齢化の中で、本当に都民の介護の安心というものが確保できないということであります。
この旨、しっかりと取り組んでいただくということについて、局長の決意をお願いします。
〇安藤福祉保健局長
東京の福祉を語る場合に、今後、急速に進展してきます高齢化への対応が不可欠でありますが、その場合のサービスは、施設サービスにせよ、在宅サービスにせよ、支える人材の確保というのは極めて重要だというふうに思います。
最近の状況を見ますと、雇用の厳しさが背景にあるかと思うんですけれども、離職率は低下をしているようですけれども、介護の現場におけます有効求人倍率は全産業の平均を上回るということでありまして、大変厳しい状況にあるというふうに思います。
都は、介護人材の確保についていえば、かなり独自の対応をしてきているというふうに思います。先ほど部長からご答弁申し上げましたように、東京都福祉人材センターにおけます、介護人材確保に向けたさまざまな取り組みを行っておりますし、介護保険事業というものが創設をされたということは、やはり介護人材の確保についても保険制度の中できっちりと措置をされていくべきものだというのが私どもの立場でございます。その立場から、東京の特殊事情を反映してほしいということで、都内の介護施設等の経営の実態等を踏まえて、かなり詳細に、かつ実証的な分析をした上で、国に東京都の事情を踏まえた介護報酬の設定をしてほしいということを再三、再三申し上げてまいりました。
今回の診療報酬改定で一定の改善は見られたと思いますけれども、先ほど狩野部長から答えたとおりに、東京の賃金水準でありますとか物価水準の地域差というのは、まだまだ適正に反映されてないというふうに思います。東京都独自の取り組みは取り組みとして進めてまいりますが、国においてもぜひとも東京の事情にふさわしい介護報酬の水準を設定していただきたいと思いますし、引き続き国に要求をしていきたいというふうに思います。
一方、東京都独自に、労働政策との連携というのは必要だということで、離職された方々に介護の資格を取るための費用を助成するなど、独自の取り組みを始めました。
一方、国においても、やはり労働政策分野との連携が現在検討されているようですので、ぜひそういう面からも、福祉人材の確保に向けて取り組みが一層進むように期待をしたいと思います。
また、交付金で一万五千円の特別な処遇改善交付金が出ますが、四万円というような声もありますので、こういうものが国の財源のもとにきっちりできれば、かなり効果があるのではないかなというふうに思いますが、国の動向を見守ってまいりたいと思います。都としては、できる範囲のことはしっかりやっていきたいと思います。
〇吉田委員
ありがとうございます。力強くおっしゃっていただいて、また、我々としても、国にというか、しっかりと要求、要望をしてまいりたいと思います。