平成21(2009)年10月16日
各会計決算特別委員会
〇吉田委員
私からは、まず、港湾経営についてお伺いをしてまいります。
東京港は、よく皆さんもご存じのとおり、IT機器や自動車部品を輸出するとともに、日用雑貨や食料など都民の日々の暮らしに必要な物資を海外や国内から受け入れる大変重要な海上輸送の拠点であります。例えば紙類ですね。企業や家庭などで使う紙は、全国の輸入量の約四割を東京港で受け入れておりますし、また、食べ物でもエビ、サケ、マスなどは全国の六割を東京港を通じて日本全体で輸入しているということであり、まさしく首都圏経済、都民生活になくてはならない、あるいは日本全体にとっても大事な港だといえます。
しかし、ただいま資料要求のご説明にもありましたけれども、平成二十年で、東京と国際的な世界の主要港との比較、コンテナ貨物取扱量、こういうものを比較すると東京の順位は二十六位と。東京が最もコンテナの取扱個数の順位、世界の中で高かったのは平成七年、八年、このころは十二位と。さらにいえば日本全体が、経済が世界の中で非常に重要な、地位が最も高かったころ、例えば神戸港とか、昭和五十五年には取扱額が世界で四位とか、こういう時代もあったんですが、昨今よく指摘されるように、日本全体の経済的な地位の相対的な低下ですね。東アジア諸国の経済拡大とか、あるいは諸外国の大規模な港湾整備など、いろいろな観点から日本の、そして東京港の国際競争力が落ちているというように非常に危惧されて、国も東京都も一生懸命取り組んでいただいていると思うんです。
そこでまず、東京港が抱えている課題について、当局はどのように認識しているのか、お聞かせください。
〇小宮港湾経営部長
東京港は、世界の基幹航路のコンテナ船が多数寄港するメーンポートとして、また国内海上輸送の拠点の港として、首都圏四千万人の生活と産業に欠くことのできない役割を果たしております。
しかしながら、今日、アジア諸港が躍進する中で、東京港に寄港する基幹航路の数は減少傾向にございます。仮に、東京港が基幹航路から外れることとなれば、輸送時間やコストの増加など、安全、安定、安価な輸送へ悪影響を及ぼし、都民生活や首都圏経済への影響ははかり知れないものがございます。
したがいまして、国際競争力を強化し、基幹航路の維持拡大が東京港の大きな課題であると認識しております。
〇吉田委員
全くおっしゃるとおり、基幹航路の維持拡大というのは本当に大きな課題だと思います。その認識のもとで、東京都はどのような港湾経営を行おうとしているのか、まず基本的な考え方について伺います。
〇小宮港湾経営部長
東京港の港湾経営の基本的な考え方は、我が国経済の生命線であります基幹航路の維持拡大に向けまして、港湾サービスや貨物集荷力の強化を図る取り組みを進めることでございます。
このため、東京港の港湾機能についてハード、ソフトの両面から充実強化を図り、船会社や荷主にとって使いやすい港づくりを推進することが必要と認識しております。
〇吉田委員
ありがとうございます。
実際に東京港を利用するのは、船会社、荷主などでございますので、そうした民間事業者の意見を十分に踏まえて、利用者の視点に立った使いやすい港づくりを進めていくことが本当に大切で、その使いやすさ競争というか、これはもう国際的に必死に、各国、各港がやっているわけであります。
船会社など東京港を利用する民間事業者にとって使いやすい港にしていくために、平成二十年度、東京都が新たに取り組んだ内容はどんなものであったのか、お伺いします。
〇河内参事
東京港では、船会社、荷主、港湾運送事業者、さらに税関を初めとする行政機関など、東京港の関係者で構成する東京港振興促進協議会を平成九年に設置いたしまして、これまでも東京港の国際競争力の向上と、利用者にとって使いやすい港づくりのために、さまざまな取り組みをしてまいりました。
本年二月には、東京港が直面する課題への対応と解決に向けた指針として第三次アクションプランを取りまとめたところでございます。このアクションプランでは、貨物量の増加と基幹航路の維持拡大、港湾物流の効率化、東京港の安全の確保、危機管理、環境に配慮した港づくりを四本の柱といたしまして、計三十四の取り組み事項を定めてございます。
具体的には、新規に外航コンテナ船の航路を開設した場合に、初回の入港料を減免するインセンティブ制度や、渋滞解消のため、コンテナターミナルに出入りする車両の動線を貨物の荷おろしの実態に合わせて改善するなど、貨物量の増加や物流の効率化に向けた取り組みを進めることとしているところでございます。
〇吉田委員
ありがとうございます。
東京都の課題解決に向けて、港を利用する民間の事業者とも連携して、プランを練って対策を講じているということはよくわかりました。この第三次アクションプランは、ことし二月に取りまとめたとのことでありまして、今後貨物量の増加など、プランの成果が上がることを期待しております。
これ東京港、二〇〇四年の七月ですか、スーパー中枢港湾と国交省から位置づけを得て、国と東京と連携して取り組みを進めると、来年度その取りまとめの時期になるんでしょうか。日本、東京、経済を牽引していく、そして、港湾機能、世界の中でおくれをとらないようにしていく、本当に取り組みも進めていただきたいと思っております。
使いやすい港づくり、官民挙げた取り組みを今後とも進めていただきたいわけでございますが、これについてご見解を伺います。
〇小宮港湾経営部長
都では、これまでも官民が一体となりまして、それぞれの時代に直面する課題の解決に対応してまいりました。東京港の外貿コンテナ貨物の取扱個数は、平成二十年に三百七十三万個と、十一年連続日本一となりましたが、これも平成九年以降、官民で協力して取り組んできた努力の成果であると考えております。
最近の極めて厳しい経済状況や国際間の競争の中で、利用者のニーズをより一層的確にとらえ、互いに知恵を出し合い、迅速に対応していくことが必要と考えております。
今後とも、東京港振興促進協議会を通じまして、第三次アクションプランに着実に取り組み、使いやすい港づくりを推進してまいります。
〇吉田委員
ぜひお願いします。東京港が海上輸送の拠点として、この役割を今後とも諸外国の港に引けをとらずに果たしていけるようにお取り組みをいただきたいわけであります。
この私も素人ながら、皆様にいろいろお仕事を教えていただきながら、あるいはいろいろ有識者の資料等を読ませていただいて、ちょっと懸念というか、心配しておりますのは、輸入に係るメーンポートとしての位置づけ、まず、もちろん関東の経済圏を控えた東京港の一番重要な機能でありまして、大切にきちんと機能を果たしていけるように頑張っていただくとともに、ちょっとトランシップ港として頑張っていかないと、なかなかコンテナなどの取扱量も含めて単価の切り下げとか、国際競争に打ち勝っていく、こういうことにおいてなかなか難しいんじゃないかなと。
しかし、このトランシップ港としての位置づけについて、決定力のあるというか、そういう施策がなかなか見出せない、こういう懸念もあるのじゃないか、このようにも思いますので、そういう点においては、本日は取り上げませんでしたけれども、今度の川崎港、横浜港と進めている広域連携の取り組み、私も京浜港広域連携推進議員連盟の一人に加えていただいておりまして、我が国の国際競争力の強化を目指した三港の取り組みを応援する立場でありますけれども、私の申し上げたようなこともちょっと頭の片隅に入れていただきながら、引き続き東京港の発展についてご努力をいただきたい、このようにお願いを申し上げます。