平成17(2005)年12月9日
財政委員会
〇吉田委員 私、この都税調の答申を読ませていただきまして、大変妥当なというか、あるべき方向性をきちんと示しておられる答申だと思いまして、都税調の活動に敬意を表する次第でございます。
いろいろと外形標準課税の拡大ですとか、あるいは資産評価機構の設立とか、大変重要なご指摘、あるいはご提案があるんでございますが、この中で、今後の固定資産税制のあるべき方向についてということで、特に土地の価格ということに論点を置きまして、お尋ねを申し上げます。
答申でも指摘されておられますように、現在の固定資産税制は非常に複雑でわかりにくい。多少税に詳しい人でも、自宅の固定資産税の額を計算できるという方はまずないだろうと思います。毎年、我が家にも送られてきます固定資産税の納税通知書には、細かい数字の並んだ計算書がついてまいりますが、これを見ても、どうしてこの税額なのかというのがわかりません。もちろん、課税庁である都や市町村のご担当者は、納税者の理解を少しでも得ようと、さまざまな努力をされておられると思いますが、そのご努力もなかなか報われないのではないかなという感があります。
とりわけ、固定資産税の評価額が地価公示価格の水準と一致していないということは、固定資産税をわかりにくくしている最大の原因であると考えます。答申にありますとおり、土地の価格は一物四価といわれまして、売り買いするときの取引価格、実勢価格のほかに、地価公示価格、相続税路線価があり、固定資産税評価額はさらにこれとも異なるものでございます。私も学生時代、地価、土地税制を勉強しているときに、怒りを覚えながら勉強していた覚えがあります。
このそれぞれの価格にはそれぞれの目的があって、いろいろの経緯があって存在するということは理解できます。しかし、物の値段というのは、本来、一つであるべきであろうというのが世間一般の常識ではないかと思います。いい方をかえますれば、一物四価というのは、課税や価格指導を行うお役所の論理であって、すべてそのまま世間一般に受け入れられるというものではないというふうに考える次第であります。
そこでお尋ねをいたしますが、都税調において一物四価についてどのようなご議論があったのか、差し支えのない範囲でお教えをいただきたいと思います。
〇宮下税制調査担当部長 都税調の小委員会におきまして、種々議論があったわけでございますが、住民感情からすれば、土地の価格が幾つもあるということはわかりにくいという意見がある一方で、地価公示、相続税、固定資産税、それぞれ目的が違うのであるから、目的が違えば価格が違ってもよいのだという考え方があって、現に諸外国でもそのような例があるという主張もございました。
しかしながら、固定資産税における評価は、地価公示価格の水準の七割を目途に行うという、いわゆる七割評価が導入されておりまして、評価額は地価公示価格と連動することになってございます。そういうことから、固定資産税の価格は、地価公示価格等の水準と一致させる方向で検討すべきであるという提言となった次第でございます。
〇吉田委員 税金のプロというか、専門家でいらっしゃいますお役所の論理よりも、世間一般の人の一般常識を重視したという点、一般の納税者がわからない税制度というのはおかしいという至極当たり前の意見が述べられているということは、都税調の面目躍如といったところじゃないかと思います。
今回の答申で、固定資産税の価格を地価公示価格などの水準と一致させていく方向で検討すべきであるということを提言しておられます。これを推し進めていけば、将来的には一物四価の解消ということも不可能ではないと思います。そうなれば、固定資産税だけではなく、相続税や地価公示価格など、公的機関が行う土地の評価に対する信頼をもたらすことになる、そのように理解というか、認識しております。
そこでお伺いしますが、都は、一物四価の解消も含めて、今回の答申の提言をぜひとも実現するように国に強く働きかけていただきたい、いただくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
〇宮下税制調査担当部長 今回の答申につきましては、既に総務省にも届けているところでございます。総務省といたしましても、現行の固定資産税制度にさまざまな問題があることは認識しておりまして、このままでよいと考えているわけではないと聞いてございます。
都としては、納税者にとってわかりやすい固定資産税制の実現に向けまして、今後とも国に働きかけていく所存でございます。