平成21(2009)年3月18日
環境・建設委員会
〇吉田委員
次に、また別の問題で、東京湾の水質汚濁の問題についてお伺いをいたします。
閉鎖性水域でございます東京湾の水質は、昭和四十年代ごろと比較をすれば大変に改善されてはおりますけれども、いまだに夏季を中心に赤潮が多発するなど、今後一層の水質の改善の取り組みが必要な状況にあると私は認識しております。
まず初めに、都内の東京湾における赤潮、そして青潮の発生件数についてお伺いいたします。
〇中島自然環境部長
赤潮の発生件数でございますけれども、これは以前にも当委員会でご答弁をさせていただきましたが、年によって変動はありますけれども、ここ数年は年間約八十日前後で推移しております。一方、青潮は都内ではほとんど発生しておらず、最近では平成十六年に一件発生したのみでございます。
なお、千葉県内におきましては、青潮が毎年数件程度発生をしております。
〇吉田委員
東京都内でも年間八十日はコンスタントに赤潮が起きていると。そして、東京では十六年に一件起きただけだけど、青潮は千葉県などで年間二件から六件ぐらい、やっぱりゼロ件という年はないと。必ず毎年青潮も東京湾においては起きてしまっているという状況でありまして、改善が必要なわけであります。
東京湾の赤潮の発生件数は減っていないわけですから、この発生抑制を目指して東京都はどのような取り組みを進めているのか、お伺いをいたします。
〇中島自然環境部長
赤潮の発生を抑制するためには窒素及び燐の削減が必要でございます。こうしたことから、第六次の総量削減計画に基づきまして総量規制基準の強化を図り、平成十九年九月からは新規の施設に適用いたしまして、指導を行っているところでございます。
また、来月からは、既設の事業場に対しましても厳しい基準を適用し、規制指導を開始いたします。
さらに、第六次総量削減計画におきましては、水再生センターにおいて高度処理施設の整備の促進を図るほか、雨水を一時貯留する施設の整備など合流式下水道の改善やしゅんせつ等の底質対策をあわせて進めていくこととしております。
〇吉田委員
東京都の現在の取り組み、わかりました。まだいろいろ課題が残っているということがわかります。そして、東京湾の全体の水質改善ということがなければ赤潮、青潮というのは減らせないわけで、都の取り組みだけでは効果がないと。東京湾岸の他の自治体においても取り組みが必要なわけですが、この総量削減計画の策定など他の自治体における取り組みについてお伺いいたします。
〇中島自然環境部長
東京湾に流入する河川の流域に当たります神奈川県、千葉県、埼玉県におきましても、第六次総量削減計画を策定いたしまして、窒素及び燐の削減目標を定めて計画の推進を図っているところでございます。
〇吉田委員
各県で計画を策定していることはわかりましたが、各自治体が連携して水質改善を進めることが必要と考えます。どのような連携の取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
〇中島自然環境部長
東京都は、東京湾岸の県、それから政令指定都市とともに構成しております八都県市首脳会議水質改善専門部会におきまして、第六次総量削減計画の円滑な推進手法などの情報交換を定期的に行っております。
また、東京湾の水質改善に関する一斉行動といたしまして、啓発活動を行うとともに、国、大学、企業などと協働いたしまして、昨年七月に初めて東京湾水質一斉調査を実施いたしまして、汚濁メカニズムの解明に努めております。
〇吉田委員
連携の取り組みについてもわかりました。
第六次総量規制、都あるいは近県で連携して取り組んでいる。この取り組み自身が絶対に必要であります。ただ、一次、昭和五十四年から六次まで営々とこういう取り組みをやってきて、しかし残念ながら赤潮の発生件数は減っていないということでございます。抜本的な水質改善、このアプローチだけで本当に赤潮ゼロ、青潮ゼロという日が来るのかというふうに心配するわけでございます。
今までのこういう施策、総量規制などの施策に加えて、新しいアプローチも考える必要があるのではないか。私は、その一つとして干潟による水質改善というものを評価しているんですけれども、都として干潟の機能についてどういうふうに認識していらっしゃるのか、お伺いいたします。
〇中島自然環境部長
干潟におきましては、潮の満ち引きによりまして酸素が供給されて、生物の生息の場として重要でございます。ゴカイ、それからカニ、貝などの干潟の生物は、陸上の方から流れ込みます有機物、それからプランクトンなどをえさとして取り込みまして、それがまた魚、鳥に食べられることによりまして、有機物や窒素、燐が海側から外に運ばれております。一般的に干潟の生態系は海を浄化する、いわば自然のフィルターでございまして、水質浄化に一定の役割を果たしております。
〇吉田委員
今ご答弁あったとおり、干潟には水質浄化の機能、役割があるということで、私もいろんな本を読んでいて、干潟の浄化能力というのは大きな下水処理施設に匹敵するんだということをよく目にするわけでございます。
この干潟について、現在の第六次総量削減計画の中に干潟に関連した記載というのはあるのかどうか、お伺いをいたします。
〇中島自然環境部長
第六次総量削減計画の中では、水辺の自然環境の保全、再生、この事項の中で、海浜や浅場等の整備を実施し、自然の浄化機能を生かして水環境を保全、改善すること、それからまた多様な生態系の維持に配慮した護岸整備の実施を行うこと、これが挙げられております。例えば、港湾局が行っている中央防波堤沖での磯浜の造成ですとか、運河部での緩傾斜護岸、ここの整備がございます。
〇吉田委員
この六次の計画においても若干記載もあって取り組みも行われていると。
都内の湾岸地域におきましては、都市機能の多くのいろんな機能を維持するためのさまざまな施設が必要でございますので、干潟をふやしていくという上では多くの困難があろうかと思いますけれども、東京都のみならず東京湾沿岸のすべての自治体の中で可能な限り、東京都も含めて、東京都でも干潟を初め水辺の自然環境の保全、再生について全庁で推進していただくことに加えて、先ほどのような枠組みを活用して湾岸の自治体と協力をして、東京湾全体として昔あったような東京湾の姿を再生するというか、東京湾全体の干潟など水辺の自然環境の保全、再生の取り組みを、これは大変困難なというか、長期的な課題でございますけれども、ぜひ進めていただきたいと思います。
この委員会の視察で北海道の釧路に行きましたときにも、直線にした釧路川を再蛇行させるような自然の景観に戻すと、こういうような事業も私も視察に加えさせていただいて、ヨーロッパなどの例を見ても、コンクリートで覆い尽くした自然をもとの姿に戻して、自然の浄化機能というのはメンテフリーですから、これからどんどん財政が圧迫されて、人口も厳しい状況になっていく日本において、自然を生かして人間と自然の共存というか、そういうことを東京湾でも少しずつ回復していく、こういうことが必要だと思います。
東京湾も非常に海底がいじられて、昔、埋め立てのために深い穴を掘って、何十メートルもの深い穴が突然あいているので、そこが貧酸素水塊ができる発生源になって青潮が生まれるとか、自然をおかしくいじったために人間の環境にもいろいろな不便を来す状況、赤潮、青潮、いろんなことが起きますので、こういうことを含めて、東京湾の再生ということを一つのアプローチとして取り組んでいただくようにお願いいたしまして、そして最後に、例の排出量の取引を初めとして非常に精力的な東京都の環境問題に関するさまざまな施策に敬意を表して、私の質問を終わらせていただきます。