平成20(2008)年11月28日
環境・建設委員会
〇吉田委員
本件につきまして質疑をさせていただきます。
まず、この陳情にございます農薬に関してですが、そもそも我が国においてというか、農薬がどのように管理、使用されているかという点であります。
もちろん農薬は、食糧の安定生産や農作業の省力化などのために大切な役割を果たしているわけでございますけれども、さまざまな化学物質が使用されておりますことから、今回、ご陳情にありますように、生活環境に隣接した身近に利用する公共施設の樹木などに使用される場合には、健康や生活環境への影響など非常に不安があることは、これもまたもっともなことであります。
農作物に対する農薬の使用、すなわち食の安全を確保するという視点に限らず、農薬の使用などに当たっては法律で厳しく管理をされていると思うわけでございますが、農薬に係る法的な規制はどのようになっているのか、まずお伺いをいたします。
〇中村参事
直接農薬を対象にしている法律は、農薬取締法でございますけれども、農薬は多くの化学物質を含み、その適正な管理が求められることや、農作物、樹木への散布という開放された環境で使用されるという特性がございますために、その他さまざまな法律がかかわってまいります。
例えば毒物及び劇物取締法、水質汚濁防止法、PRTR法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律などのほか、東京都環境確保条例でも、農薬に使用されております一部の化学物質が排出規制や適正管理の対象となっております。
〇吉田委員
ありがとうございます。
実にさまざまな法律によって規制、管理されているわけでありますが、この農薬を含む化学物質の使用や排出の規制について、環境への排出実態の把握という観点では、前回、原田理事からご質疑もございましたけれども、PRTR制度、それから都の環境確保条例による化学物質の適正管理制度が、これは役に立つというか、今回、議論すべきだと思うんですけれども、これらの制度における排出実態の把握、そして、その安全の確保についてはどのように認識をされているのか、お伺いいたします。
〇中村参事
PRTR制度や条例の適正管理制度では、基本的に工場、事業場における製造、販売等の段階で排出されます化学物質の排出量等を報告する体制になっております。
PRTR制度では、都内の事業所から農薬に分類される物質の使用に伴う排出実績はございません。
また、条例の適正管理制度でございますけれども、最新の平成十八年度統計で見ますと、二種類の使用が報告されております。いずれも農薬としてではなくて工業原料として使用されておりまして、そのうち1・3ジクロロプロペンという物質でございますけれども、これは年間二百キログラム、環境中に排出されているのが唯一の報告事例でございます。
これらの物質につきましては、事業者により適正に管理されていると認識しております。
〇吉田委員
ありがとうございます。
今、ご答弁にありましたけれども、PRTR制度や条例の適正管理制度では、基本的に工場や事業場における製造、販売などの段階で排出される化学物質が対象だということでありますけれども、今回のご陳情にあります都有施設で使用されているような農薬は、このPRTR制度や条例の制度の対象になっているのかどうか、お伺いいたします。
〇中村参事
子どもガイドライン殺虫剤樹木散布編でございますけれども、これを策定する時点で都有施設で使われておりました農薬は、主として有機燐系の殺虫剤であるフェニトロチオン、イソキサチオン、トリクロロフォンの三つでございました。これらはPRTR制度の対象物質ではございますけれども、通常、農薬として使用される場合には、この制度の対象とはなりません。
また、条例でございますけれども、この三つ、いずれの物質も対象とはしておりません。
〇吉田委員
ありがとうございます。
これはPRTR制度でも、あるいは条例でも、都有施設で使用されるような場合には対象となっていないということで、これは我が国のいろいろの科学的知見の中で、危険性が比較的低い物質であるから対象となっていないんだろうというふうに理解するわけでありますけれども、それにいたしましても、私もちょっと勉強させていただきまして、今ご答弁のあった有機燐系の殺虫剤というものを、都のガイドラインの参考資料も読ませていただいたんですが、残留性が一般的には低いとされているものだ、農薬の中でも比較的毒性が低いものを使用しているんだというふうに認識をしております。
それにいたしましても、毒性が低くとも幅広く使用されている化学物質、これの影響をいかに減らしていくかということは、やはり重要だと考えます。
このような観点から、東京都では、ただいま問題となっております、問題というか触れられている化学物質の子どもガイドライン殺虫剤樹木散布編、これを策定し、普及に努めていらっしゃるわけでありますが、このガイドラインの内容とその特徴について、改めてお伺いいたします。
〇中村参事
本ガイドラインでございますけれども、学校、幼稚園、児童遊園など、子どもが多く利用する施設の管理者や害虫防除事業者が害虫防除に当たりまして取り組むべき具体的な内容を示したものでございます。
内容の特徴でございますけれども、総合防除の考え方を取り入れまして、殺虫剤を使わない害虫の駆除方法の採用など、農薬の使用を最小限に抑えること、さらに、やむを得ず使用する場合の事前周知や散布後の立ち入り制限などによりまして暴露を減らすことの二つの面から、化学物質による影響の低減をねらっております。
また、本ガイドラインは、それ以外の施設や家庭での害虫駆除の際にも十分活用できる内容となっております。
〇吉田委員
ありがとうございます。
とにかく危険性が比較的低いものを都有施設では農薬として使っているけれども、さらに、特に子どもなどは、大人よりも、より微量な量でも影響を大きく受けるということも勘案しつつ、都として独自にガイドラインをつくっていらっしゃる。
これは私も一生懸命読みまして、非常に理系の内容が多くて難しいというか、勉強になったんでございますが、都の短いパンフレットの方でも、それ以外の施設や家庭での害虫駆除の際にも参考にしてくださいというふうにあって、また、今、冒頭のご説明でも、幅広く都民、事業者に普及啓発を図っているということでございますので、本当によく勉強できるガイドラインでありますので、引き続き広く普及をする、そして、化学物質対策の一層の推進を図っていただく、そしてまた、常に最新の知見を取り入れてリニューアルを図っていただくということを強くお願いをいたしまして、私からの質問を終えさせていただきます。