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各会計決算特別委員会 第二分科会 (漫画の振興について)

平成20(2008)年10月24日

各会計決算特別委員会

〇吉田委員
 最後になりますが、漫画ということについて質問をさせていただきます。
 近年、クールジャパンという言葉が欧米を中心に使われるようになりまして、日本の文化というのが今、再評価というか、高く評価されるような、こういう時代になりました。この中で、今や日本で本当に独自の進化を遂げてまいりましたアニメ、漫画を中心としたポップカルチャーというのが世界で高く評価されているわけです。
 アニメにつきましては、産労局中心に、二〇〇二年から東京国際アニメフェアというのを開催され、世界を視野に入れた一大イベントとして定着しつつあると思います。
 今回、十九年度決算を拝見している限り、多くのアニメーションやドラマ、さまざまなコンテンツの原作となっている漫画というものについて、これをクローズアップした振興策や世界に発信する、こういう取り組みが十分に行われるようには、ちょっと読み取れないわけであります。
 欧米でもアジアでも、古くは「ドラえもん」に始まって、最近でも、日本でも人気の高い井上雄彦さんの「スラムダンク」とか、並べ立ててもしようがないんですが、多くの作品が日本発で、世界で楽しまれているわけで、深く浸透し、日本に対する親近感というのを高めているわけであります。
 また、他産業への波及という意味では、鳥山明さんの「ドラゴンボール」がハリウッド映画として公開されるなど、さまざまなテレビドラマ、映画、コンピューターゲームの原作にもなっていて、まさしく日本の漫画というのは、さまざまなエンターテインメントの原点、コアになっているわけであります。
 さらに、東京ビッグサイトで毎年開催されているコミックマーケットでは、延べ入場者数約五十万人の漫画ファンが集まったり、秋葉原、池袋、中野などには大型の漫画専門店が集まっているなど、日本の中でも東京というのは、世界に冠たるというか、漫画文化の発信地となっているわけであります。
 こういうような状況を踏まえまして、東京都としても、世界に発信するべき文化として漫画の振興ということを積極的に検討すべきだと思うわけでありますが、所見を伺います。

〇廣瀬文化振興部長
 平成十八年五月に策定いたしました東京都文化振興指針におきまして、東京都の文化振興の対象を芸術、メディア芸術、伝統芸能などとしております。
 本来、文化の意味するところは極めて多様でございまして、さまざまなあり方があろうかと思います。日常の中にある文化、また、創造性と表現あふれる芸術文化、そして、身近な楽しみとしての娯楽文化というようなさまざまな多様性があるということがあろうかと思います。
 今後、東京が文化都市としてのプレゼンスを高めていくためにも、さまざまな分野を対象とした文化の振興を進めていく必要がございます。
 その中にあって、委員おっしゃるとおり、漫画も文化振興におけるテーマの一つとして検討していくことが必要であろうかというふうに思ってます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 国におきましても、今の麻生総理が外務大臣だった時代に、外務省が我が国のポップカルチャーを文化外交に活用していくという方針を掲げて、漫画文化の普及啓発に貢献する海外の漫画家を対象とした、外務省ですから、国際漫画賞、外国の方を対象にした賞を創設されております。
 我が国の漫画を文化として世界に発信していくには、東京都としてもぜひ、将来の漫画家を志す若者たちを初め、既にこれまで頑張ってこられた方々、今、頑張っている方々を顕彰するなどのインセンティブが必要ではないかと思うわけであります。
 先ほどちょっと申し上げた、例えば東京国際アニメフェアでも、大賞というものを位置づけて、ことしは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序」ですか、これが大賞を受賞しているわけでありますが、こういうことも含めて、顕彰、褒める、別にお金をばらまくということまでいかなくても、すばらしい文化の振興の仕事をしていただいているんだというふうに公に認めてあげる、こういうことが必要なんじゃないかなと思うわけですが、ご見解を伺います。

〇廣瀬文化振興部長
 ただいまの吉田委員のご意見も踏まえながら、漫画は世界から日本特有の文化として高く評価されておりますので、今後、世界に向けて文化を発信するに当たりまして、非常に評価されているコンテンツとしての活用を含めた検討が必要と考えております。
 なお、東京都としては、来月に、東京文化発信プロジェクトの一環といたしまして、江戸東京博物館におきまして、生誕八十周年を迎えます手塚治虫さん、あの方を記念した手塚治虫アカデミーというのを開催しまして、また、手塚治虫さんのご長男でございます手塚眞さんがナビゲーターとなりまして、藤子不二雄○A氏など著名な漫画家の方々にお越しいただきまして漫画文化を語っていただく、そういう試みをしようと思っております。
 また、来年四月には、同じく江戸東京博物館におきまして手塚治虫展を計画しております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。既にいろいろの取り組みもしていただいているということでありますが、かつて東京都現代美術館におきましても、ディズニー・アート展やスタジオジブリ関連の展覧会を開催するなど、アニメーションをアートとしてとらえた取り組みを行っておられます。
 そもそも今の漫画というのは、平安時代の鳥獣戯画に始まって、江戸時代の北斎漫画、あるいは幕末になって外国から非常に評価されるようになった浮世絵、こういうものも、日本というのはなかなか、外国に評価されないと評価しないというきらいがあって残念なんですが、私は、日本人というのは、文化の特質として、三次元のものを二次元に表現する上で、世界で類を見ない、非常に特徴的なというか、価値のある表現の感性と技術を持っている、そういう人たちなのではないかなと思います。
 こういう日本人の文化の特質を表現する文化資産でもあります漫画というものについて、単なる風俗としてとらえるのではなくて、我が国文化の歴史的な背景、蓄積をバックグラウンドとして、今、花開いている文化性の高いものなんだと、また、そういう部分を称揚していくんだということを踏まえて、おっしゃったように都の文化施設でもより一層スポットを当てていただいたり、あるいはさまざまな振興に努めていただくように改めて要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

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