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各会計決算特別委員会 第二分科会 (医師・看護師の確保対策、助産師の活用について)

平成20(2008)年10月20日

各会計決算特別委員会

〇吉田委員
 よろしくお願いいたします。
 私からは、まず、一般都民にとっても大変心配する声が大きくなっております医師の確保対策についてお伺いをいたします。
 先ほども病院経営本部さんにお聞きしたんですが、東京都においては、都内の医療施設に従事する医師は人口十万人当たり二百七十人弱と、全国で三番目に多くなっていますけれども、小児科や産婦人科の医師数は減少傾向にあります。産科や小児科などの診療科を有する病院では、医師確保が難しいため、分娩取り扱いを制限している、あるいは小児救急医療に対応できないという事態が生じています。また、救急医療部門などにおいても、長時間勤務による過重労働で疲弊し、病院を立ち去る医師も出てきております。
 このように、医師不足の問題は深刻さを増しており、医師の確保は喫緊の課題となっておりますが、まず、都として医師不足の要因をどのように認識しているのか、改めてお伺いいたします。

〇吉井医療政策部長
 医師不足の要因でございますけれども、一つには、平成十六年度の新医師臨床研修制度の導入によりまして、臨床研修医みずからが進路を決められるようになった反面、大学病院では研修医の確保が難しくなりまして、関連病院に派遣していた医師を引き揚げざるを得ない、こうした状況になったことが挙げられると思っております。
 さらに、夜間、休日における病院への患者集中などによりまして、病院の勤務医、とりわけ産科、小児科、救急部門等の医師が長時間の勤務に及ぶなど、医師の負担が過重になっていることでございますとか、さらには訴訟リスクの増大、また年々増えてございますが、女性医師、そうした方々の出産、育児による離職、こうしたようなことの、さまざまな要因が絡み合って今日の医師の不足という事態になったものと考えてございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 ただいまのご答弁で、医師の不足はさまざまな要因が複合的に絡み合って生じたものであると、こういうご認識をいただきました。小児医療や周産期医療、救急医療などは、都民の安心・安全を確保するための基盤となる医療ともいえますので、そういう医療に携わる医師をいかに確保、養成していくか、これは極めて重要でございます。
 そこで、東京都では平成十九年度に地域医療対策協議会を設置し、医師確保についての検討を行ってきていると伺っております。その検討の内容とその後の取り組みについてお伺いいたします。

〇吉井医療政策部長
 平成十九年六月、都内の医療関係者や学識経験者等から成ります東京都地域医療対策協議会を設置いたしました。産科や小児科など医師確保の現状と課題、病院勤務医の勤務環境の改善などにつきまして検討を行い、二十年二月でございますけれども、協議会として医師の確保に向けた提言が取りまとめられたところでございます。
 東京都といたしましては、この提言に基づきまして、小児、周産期、救急、僻地医療、これらに従事する医師を確保していくため、今年度から、これらの部門における交代制勤務や短時間勤務の導入、女性医師の復職支援研修など、病院勤務医の負担軽減と定着を図る取り組みに対する支援を新たに実施いたします。あわせて、第二回定例会におきまして、医師奨学金制度を創設したところでございます。

〇吉田委員
 国もようやくこの六月に、医師が不足をしていることを認めまして、経済財政改革の基本方針二〇〇八において、医師の養成数を早急に過去最大程度まで増員することなどを打ち出しました。
 都は、この国の動向も踏まえて、十九年度についてはよくわかりましたけれども、今後、医師確保対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

〇吉井医療政策部長
 医療は都民の安心・安全を確保する上でかなめとなるものでございまして、それを担う医療従事者の確保が重要でございます。中でも、小児、周産期、救急、僻地医療を担う医師の不足は顕著でございまして、その養成、確保は急務でございます。
 都は、こうした認識のもと、国に対しまして緊急に医師確保対策を講ずるよう強く要望してまいりました。国は、今お話ございましたように、医師の養成数の抑制方針を転換いたしまして、来年度から医学部の定員をふやすなど、医師不足問題に対してさまざまな取り組みが行われようとしてございます。
 さきの第三回定例会でもお答えをいたしましたが、今後、国の動向も十分踏まえながら、医師奨学金制度の拡充や地域医療を支えるための新たな医師確保策なども含めて、実効性ある施策を検討してまいります。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 引き続き、都民が本当に心配しております、この医師不足の医師確保の問題、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 これに関連して、看護師の確保対策につきましてもお伺いをいたします。
 医師に限らず、看護職員の確保も現在大きな課題となっております。都においてもさまざまな看護師確保対策を実施しておられると思いますが、中でも重要なのは、即戦力というか、効果があるのは、離職して潜在化している看護師の方に再就業していただく、こういうことだと思います。
 都においては、平成十九年度から看護職員地域確保支援事業を実施していますが、その実績についてお伺いをいたします。

〇吉井医療政策部長
 地域確保支援事業でございますけれども、十九年度の新規事業として開始したところですが、離職した看護師の復職支援研修や再就業支援相談を実施する、こういう意味で、その病院として地域就業支援病院二十四カ所を指定いたしました。研修の受講者は三百七十九名でございまして、この二十年三月末現在で就業者は百四十七名、受講者の約四割が就業したところでございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 百四十七名が就業していただけたというのは、これは本当に大きな効果というか、成果があったんではないかなと、このように認識をいたします。
 離職をした看護職の方が、自宅から近い病院で復職支援研修や再就業支援相談を受けられることは、大変有効なことだと思うわけであります。このような、今ご答弁いただいたような成果を上げることができた要因は、これは何であったのだろうかと、これについてお伺いをいたします。

〇吉井医療政策部長
 地域確保支援事業におきましては、病院が離職看護師の復職支援研修を単に行うだけではございませんで、東京都ナースプラザというものがございますけれども、そこに設置をいたしました看護師等就業協力員、これによりますきめ細やかな支援を行っております。その働きが大きかったものと認識しております。その就業協力員は、看護の豊富な経験を生かしまして、研修受講者に対しまして、再就業に向けたきめ細やかな相談、助言を行っております。さらに、受け入れ病院に対しましても、その立場を尊重した上で研修プログラムの作成の的確な支援を実施しております。
 こうした取り組みが、看護管理者等病院職員の協力意思の向上と受講生の職場復帰への意欲の喚起につながったものと考えております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 東京都としては、今のようなお取り組みの成果も踏まえ、確保が困難であります看護師について、さらに総合的で積極的な確保対策を行っていただくべきだと考えますが、ご見解を伺います。

〇吉井医療政策部長
 都は、都内看護職員の安定的な確保に向けまして、平成十九年から二十三年までの看護職員需給見通しを策定いたしました。
 この見通しを踏まえまして、例えば東京都といたしまして、将来を担う優秀な看護師の養成対策、離職防止のための定着対策、先ほど申し上げました地域確保支援事業など、一たん離職した看護師の復職を支援する再就業対策など、総合的な看護師確保対策に着実に取り組んでまいります。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 この看護師さんの確保の問題も、しっかりと引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 さらに、関連して、助産師さんの活用についてお伺いをいたしたいと思います。
 産科の医師不足が深刻化している中、都内におけるお産の場を確保していくために、助産師の活用が重要であると思います。都内の開業助産所においては、助産師が正常分娩を取り扱っており、年間約千七百人の子どもたちが産まれています。都内の出生数は約十万人でありますので、全体に占める割合は、今、一・七%と必ずしも多くはありませんが、自然な形での分娩を希望する妊婦さんもたくさんおられる中、助産所における安全・安心のお産を確保することは重要であります。
 一方、お産には常にリスクがつきものでありますが、助産師は医療行為を行えないため、助産所における安全・安心のお産を確保するためには、医療との連携が欠かせません。しかし、開業助産所の助産師さんにお話をお伺いしますと、緊急帝王切開など、医療的処置が必要な場合、妊婦の受け入れ先病院を探すのに苦労することがあるということであります。
 そして、平成十九年度東京都一般会計決算書を見ますと、都では約三億六千万円をかけて周産期医療対策を実施していますが、こうした周産期医療体制について検討するのが、周産期医療機関や助産師の代表等で構成されている東京都周産期医療協議会であります。
 この協議会におきまして、平成十九年度、どのような検討が行われたのかお伺いします。

〇吉井医療政策部長
 周産期医療協議会における検討でございますけれども、晩婚、遅く結婚する、それから晩産化や不妊治療の増加等により周産期医療ニーズが増大する一方で、産科、小児科の医師や分娩取扱機関が急速に減少するという厳しい状況の中で、安全・安心のお産の確保に向けた周産期医療機関の連携方策等について検討をしてきたところでございます。
 その検討成果を二十年三月、東京都における周産期医療体制についてという報告書に取りまとめるとともに、医療連携を進めるツールとして周産期医療機関連携ガイドラインを作成したところでございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 こういう周産期医療協議会の成果を踏まえまして、今後、都として開業助産所と医療機関との連携をどのように進めていくのか、お伺いします。

〇吉井医療政策部長
 今後、周産期医療機関連携ガイドラインを基本にいたしまして、周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所がそれぞれの機能に応じた役割分担と連携を進め、協力して周産期医療を提供する体制を構築していくため、都内各地域で周産期医療ネットワークグループを立ち上げてまいります。

〇吉田委員
 ぜひ、しっかりとこの周産期医療ネットワークグループ、体制を整備していただいて、本当に安全・安心なお産、東京都内でしっかりと、都民が本当に安心できるように整備を進めていただきたい、そして助産師さんの活用を図っていただきたい、このようにお願いをいたします。

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