平成19(2007)年11月15日
環境・建設委員会
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〇吉田委員
よろしくお願いいたします。
私からは、まずいささか個人的な話から切り出させていただきたいと思います。
私は、平成二年に経団連というところに入局をいたしまして、十一年奉職してまいりました。
最初に、どこに君は配属を希望するといわれて、手を挙げて、地球環境問題と廃棄物対策をやる産業政策部というところにおりました。
当時は、もうすぐ九〇年のリオデジャネイロの地球サミットというものの準備がそろそろ始まるころで、そして、私は当時、二十年ぶりという廃棄物処理、廃掃法の大改正といわれるものに、経団連の立場から携わらせていただきました。
当時、温暖化という現象について、日本の経済界、産業界がいまだ懐疑的であったという時代に、これを、温暖化というのはあるのだ、対策をしなければいけないのだということで、一生懸命に使い走りをして、そして廃棄物対策につきましては、当時実は大変に及び腰であった厚生省に対して、大蔵省等と話し合いながら、ぜひ廃棄物処理に溶融処理というのを入れてくれということを強く働きかけをさせていただいた。
そして、そのバックボーンとして、当時東京都が大田第二清掃工場というところで初めての溶融処理というのを始めていたころ、そういう時代でありました。
そして、その大変先進的な取り組みもしていた東京都が、片や、私が企業の方々を無理やり引っ張っていって、中央防波堤外の処分場に視察をいたしますと、いろいろ鉄パイプに穴があいたものがほとんど死の林のように林立して、そこから煙が処分場じゅうから出ていた。
こういう時代から問題意識を持って、この問題に取り組んでまいりたいと考えていた一人として、本日、委員の皆様から非常にすばらしい質疑が行われていることを、本当に心強く、ありがたく思っているという中で、まず本日最初の質問について、廃棄物対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。
各、高橋委員、大津委員、そして原田理事、そしてこいそ委員から大変にすばらしい廃棄物対策に関するご質疑があった中で、もちろんリデュース、リユース、リサイクル、こういうことをきちんと徹底的にやった上で、しかしその上で終末に近い部分について質疑をさせていただきたいと思います。
この十月から各区では、最終処分量の削減を目的に、プラスチックを資源ごみとして回収しリサイクルを進めている一方で、不燃ごみから可燃ごみに切りかえてサーマルリサイクルを進めることとなりました。このサーマルリサイクルの意義については、あえて重ねては申し上げません。
しかし、さまざまなプラスチック、これが、モノマーだけではなくてポリマーがいろいろある、そしてあるいは汚れている、こういう中で、何を資源ごみに、何を可燃ごみに出したらいいのか、住民は大変に現実問題として混乱をしているという状況にございます。
その区分が各区ばらばらでありまして、あるいは分別区分に関する情報もさまざまでありまして、住民に大変わかりづらい状況になっております。
そして、他方、分別の効率ということを考えますと、分別の区分が多ければ多いほど、住民による分別作業というのが大変になるのは、時間的なコストがかかってしまうわけであります。
各区がプラスチックの分別方法について住民に十分な周知を行うよう、都として区市町村に対して支援を行うべきと考えますが、まずご見解を伺います。
〇森廃棄物対策部長
家庭ごみの分別方法につきましては、一般廃棄物の処理責任に基づきまして、各区が地域の実情を踏まえ、主体的に決めているところでございます。このため、区ごとに相違がございます。
リサイクルを徹底するためには、各区がその区の分別方法を住民にわかりやすく周知することが重要でございます。
都は、今後とも各区に対しまして、住民が明確に分別できるよう、わかりやすいチラシやホームページ等で周知するよう指導してまいります。
また、都といたしましても、各区の分別方法がわかるよう、ホームページ等で情報提供をしてまいります。
〇吉田委員
ありがとうございます。
プラスチックごみは、先ほど省略して申しましたが、サーマルリサイクルによりまして燃料として活用することによって、石油や天然ガスの輸入の削減にもなります。
油は重油を燃やしてタンカーでわざわざ運んでくるということを考えると、発生するものを再生できない場合にはサーマルリサイクルするということは、国の安全保障にも、エネルギー安全保障にも一つ資するというふうに考えます。
このサーマルリサイクルは大変重要でございますが、二十三区の清掃工場を見てみますと、発電効率は最大でも二〇%ほどであるというふうに伺っております。
発電に加えて熱利用を行うコージェネレーションシステムを推進すれば、さらに効率が上がるということもございます。
CO2対策の観点からも、区市町村の清掃工場のトータルエネルギー効率を高めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
〇森廃棄物対策部長
コージェネレーションシステムは、エネルギー効率を高めるために非常に有効な方法であると考えております。都内では、発電だけではなく大規模なコージェネを導入し、地域冷暖房へ熱供給も実施している清掃工場が、光が丘、品川、有明の三工場ございます。
一方、発電設備もない清掃工場が、多摩地域に十二工場ございます。これらの工場の多くが築二十年を超えていることから、今後都は、建てかえ・設備改修時期をとらえまして、各工場に発電設備が整備されるよう、また、熱の利用先などの条件が整えばコージェネを導入するよう、必要な技術支援を行ってまいります。
〇吉田委員
ありがとうございます。
エネルギー効率の点で見ますと、二十三区の清掃工場では、焼却灰を溶融してスラグ化するために、大変残念ですが大量のエネルギーを使っておりまして、結果としてCO2が排出されるということになります。また、灰溶融はコストも高いのが現実でございます。
従来のように焼却灰のまま埋めるのに比較して、スラグ化の意義というのをどう考えているか、改めてお伺いします。
そしてまた、平成十七年度にはそのスラグの四分の三が有効利用されていますが、その他は埋め立てられております。
今後ふえるスラグの積極的な活用が必要と考えますが、都の見解を伺います。
〇森廃棄物対策部長
スラグ化は、焼却灰中のダイオキシンなどを無害化するとともに、焼却灰に比べ埋立容積を二分の一にするという減容効果がございます。さらに、スラグは、埋め立てせず建設資材としてリサイクルすることが可能でございます。
二十三区清掃一部事務組合におきましては、建設資材として利用促進を図るため、重金属の溶出試験を毎月実施することにより安全性を確認するとともに、ストックヤードを整備し、安定的な供給に努めております。
都は、東京都環境物品等調達方針におきまして、スラグを公共工事において優先的に利用する特別品目として位置づけており、引き続き利用促進を図ってまいります。
〇吉田委員
プラスチックのサーマルリサイクル及びスラグ化の目的について、よくわかりました。
安全性を十分に確保しつつ、ぜひ有効利用を進めていただきたいと思います。
さて、今回二十三区のプラスチックごみの分別区分の変更は、埋立処分量の削減ということが目的でございますが、都民にプラスチックごみの分別区分の変更、これは先ほどこいそ委員もご指摘になりましたが、この変更の意義、これを理解し協力してもらうためには、埋立量削減にどれだけ効果があるのか、この情報提供も必要だと考えます。
プラスチックのサーマルリサイクルなどにより、都の埋立処分場はどれだけ延命できるのか、お伺いいたします。
〇森廃棄物対策部長
都の埋立処分場の残余年数につきましては、これまでと同じ量を埋め立て続けると、おおむね三十年程度と見込まれておりました。
廃プラスチックのマテリアルリサイクルやサーマルリサイクル、焼却灰のスラグ化などによりまして、埋立処分場の残余年数はおおむね五十年以上になると推計してございます。
〇吉田委員
ありがとうございます。大幅な延命化が図れるということがわかりました。
一方、多摩地域におきましても、最終処分場の延命化、これが深刻な問題であります。
このため、昨年度から東京たま広域資源循環組合では、焼却灰をエコセメント化して埋立量の削減を図っております。これによりまして、当初平成二十五年で満杯になるといわれておりましたが、平成三十七年までの使用が可能になったと伺っております。
しかし、製造されたエコセメントにつきましては、その安全性、安定的な利用を確保する必要があると考えますが、所見を伺います。
〇森廃棄物対策部長
東京たま広域資源循環組合におきましては、エコセメントについては毎月、エコセメントを使用した製品については年に二回、重金属の溶出試験を行い、安全性を確認してございます。また、エコセメントの製品の利用促進を図るため、同組合では、エコセメントを一〇〇%使用している製品には認証マークを刻印できる制度を導入してございます。
都は、東京都環境物品等調達方針におきまして、エコセメント製品を公共工事において優先的に使用することとしており、今後ともその利用拡大に取り組んでまいります。
〇吉田委員
ありがとうございます。
区部、多摩地域いずれにおいても、まず最終処分場を一日でも長く使用できるように、このエコセメントあるいはスラグの有効利用の拡大、これが喫緊の課題であります。
そして、長期的には廃棄物をすべて有効利用して、埋立処分しないで済むような循環型社会の実現、これが求められる、このように考えます。このため、ごみを排出する都民の協力を得て、わかりやすく効率のよいリサイクルを推進していただきたい。
そして、都は今後とも、一般廃棄物の埋立処分量の削減に向けた区市町村の取り組みをぜひ積極的に推進していただくように、あるいは産業廃棄物につきましてもご指摘がありましたけれども、この有効利用、そして最終処分量の削減に取り組んでいただきたい、このように要望を申し上げまして、次の質問に移ります。
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次に、土壌汚染対策、特に中小事業者による土壌汚染対策についてお聞きをしようと思いまして、準備をしてまいりました。しかし、先ほどともとし委員より大変的確なご質疑が行われましたので、私からは要望のみにとどめさせていただきます。
例えばメッキ業界あるいはクリーニング業界、こういうところが本当にこの土壌汚染対策に困っていらっしゃいます中で、東京都は、土壌調査における費用の低減化と期間の短縮を目指して、平成十七年度から、簡易で迅速な分析技術を、公募実証試験により優良技術を選定している。あるいは、狭い土地でも低コストで処理できる浄化技術の開発促進や技術情報の提供を図るために、十六年度から年に一回、土壌汚染処理技術フォーラムを開催して、ことしでもう四回目になる。あるいは、十六年度から、個別の事業者からの相談に適切に応じるために、総合相談窓口を設置して、業種に応じたきめ細かな指導助言を実施しているということがわかりました。
そして、土壌汚染が、ポリューター・ペイズ・プリンシプルというか、汚染原因者が調査、対策の費用を負担することが原則であるという原則はありますが、中小企業者が大変に財政的に脆弱であるということから、中小事業者が行う調査や対策に対して、都として支援を行うことが重要だという認識を持っておられる。そして、都は、土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会において幅広い支援策を検討している。そして、今後とも国に対して、汚染原因者の負担能力が低い場合には助成対象とすることなど、土壌汚染対策基金の有効活用などを引き続き国に要求していく、こういうこともわかりました。
こういうことを大変に評価をさせていただいた上で、それでもやはり、土壌汚染は大変に大きな費用のかかることであります。
特に中小企業には、なかなかこの資金が出せなくて立ち往生している、あるいは夜逃げまで余儀なくされる、そういう方もいらっしゃる。そして、放置をしていると、その汚染された土壌がいつまでも都内において解消、浄化されない。こういう現実に都としては引き続き真剣に取り組んでいただきたい。
処理費用をだれが負担するのか、こういう原則論の問題はございますが、とにかくどんな形でか、皆様が納得のいく新しい拡大した原理原則、こういうものに踏み出すような形で、ぜひ引き続き国とも連携しつつ、中小事業者に由来する土壌汚染、この対策を促すようなスキームづくりを進めていただきたい。重ねてご要望を申し上げ、次の質問に移ります。
次に、屋上緑化及び壁面緑化の推進について伺います。
都市における緑は、潤いや安らぎを与えるのみならず、美しい都市景観を創出する上で欠くことができないものであります。
そしてまた、温暖化対策やヒートアイランド対策といった観点からも極めて重要であります。
本年六月に都が策定した緑の東京十年プロジェクト基本方針では、屋上、壁面などあらゆる都市空間を活用して緑化を進めるとしており、今後の取り組みに大いに期待をいたしております。
都は、既に平成十三年から建築物の屋上や壁面等に対する緑化を義務づけておりますが、これまでの屋上緑化の成果について伺います。
〇大野都市地球環境部長
東京都は、平成十三年から全国に先駆けまして屋上緑化制度を導入いたしました。この結果、新たな建築物に屋上緑化の義務づけを行う緑化計画制度の運用によりまして、屋上緑化面積は年々着実にふえております。これまでに約七十三ヘクタール、日比谷公園四・五個分の屋上等の緑化が行われてまいりました。
さらに、こうした都の制度によりまして屋上緑化が普及するのに伴いまして、屋上の緑化に関する技術開発が進みまして、この結果、既存の建築物へも屋上緑化を施工する例も数多く見られるというふうに広がってきております。
〇吉田委員
ありがとうございます。
屋上緑化が着実に進んでいるということがわかりました。
そして同様に、都市における身近な緑として、壁面緑化も重要だと考えます。
例えば、私は地元で西中野小学校というところを視察してまいったのでございますが、小学校等において、ヘチマやゴーヤなどで壁面に緑のカーテンをつくり、教室の高温化を防ぐとともに、植物を育て、実を収穫することなどを通じた環境教育にも使われる例がございます。
壁面緑化は、目で見て緑を実感しやすい場所に設置されるということから、身近に感じられる緑として、事によったら屋上緑化よりも効果があるという部分もあろうかと思います。
今後重点的に推進すべきであると考えますが、都の壁面緑化に対する認識と今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇大野都市地球環境部長
ヒートアイランド現象の緩和という観点から申し上げますと、建物の表面温度を低減する効果を比較しますと、屋上緑化の方が壁面緑化よりも大きいという効果がございます。一方、壁面緑化は、建物の窓など開口部を覆う場合には断熱効果がございまして、温暖化対策に資するともいえます。また、壁面緑化には、人の目に触れやすい場所に設置されるというメリットもございます。
しかしながら、壁面緑化の施工事例はいまだ少なく、施工方法、緑化技術に関する情報も不足していることから、都民、事業者の皆さんが取り組みやすくなるように、昨年、壁面緑化ガイドラインを作成し、ホームページ等により公表するとともに、緑化計画書の提出事業者等に対する緑化指導において活用しております。今後とも、こうした取り組みを通じまして、壁面緑化についても普及に取り組んでまいります。
〇吉田委員 ありがとうございます。
それでは次に、交通量対策についてお伺いをいたします。
東京の道路渋滞は、依然として深刻な問題であります。
いうまでもなく、自動車が過大に使われることは、環境に負荷を与え、交通事故の原因となり、渋滞による時間のロスが国民生活と経済に多大な損失を及ぼすなど、さまざまな問題を引き起こします。
都は、渋滞を解消するため、さまざまな取り組みを進めてきました。
三環状道路を初めとする道路の整備、来月には中央環状新宿線が新宿まで開通することになっており、特に都心部の自動車の流れがスムーズになり、渋滞緩和に役立つことが期待をされます。
また、自動車の交通量を抑制するいわゆる交通需要マネジメント、TDMにも取り組んでいます。パーク・アンド・ライドなどマイカーから電車への転換を進めること、共通ICカード、駅エレベーターやノンステップバスの導入により、公共交通機関の利便性向上にも取り組んできました。
来年には日暮里・舎人ライナーや地下鉄副都心線も開通予定であり、ますます公共交通機関が便利になり、電車やバスで移動できる環境がさらに充実されます。
こうした中、自動車の利用状況がどうなっているかを見ますと、若者の自動車離れなどもあり、自動車販売の動向は低迷が続いており、都内のマイカー保有台数も横ばい傾向にあるとのことであります。
しかし、現実に皮膚感覚で、東京はいまだにマイカー利用が非常に多いというのが私の実感であります。確かに、休日にマイカーに乗って買い物やレジャーに行くという人は多いでしょうし、平日の昼間には仕事で車を利用されている方がたくさん見られます。マイカーはドア・ツー・ドアの利便性があり、電車やバスが便利な東京でも、マイカー利用を好む人もまた大変多いという状況だと思います。
そこで、都として、自動車交通の現状、自動車利用の抑制を進める上での課題をどのようにとらえているのかを伺います。
〇井戸自動車公害対策部長
都内の自動車交通の状況でございますけれども、平成十年度に行われました道路交通センサスの調査によりますれば、区部の混雑時の平均速度は、時速十八・八キロメーター、前回六年前の調査よりも若干改善しております。また、都内全域におきます車の延べの走行量も約三%ほど減少しております。ただ、改善の兆しも見えますけれども、不十分だというふうに認識しております。また、走行量に占めます乗用車と貨物車の割合でございますけれども、乗用車が約六割を占めるようになってきております。
先ほど委員お話しのとおり、日暮里・舎人ライナーですとか、あるいは地下鉄副都心線の開通も予定されておりますので、世界最高水準といわれております東京における公共交通機関網も充実してまいります。こうした機会をとらえまして、公共交通の移動の利便性や回遊性を活用することによりまして、自動車に過度に依存しないライフスタイルや企業活動の仕組み、こういったものを定着させることが重要でございます。こうした観点から、今後とも他局と連携を図りまして、交通需要マネジメント対策を進めてまいります。
〇吉田委員
ありがとうございます。
これまでの都の取り組みによりましていろいろと効果が上がっているけれども、まだまだ不十分であり、これからさらに進めていかなければいけない、こういうことがわかりました。
この対策の中で、私は、マイカーの利用を抑制するために自転車の利用促進ということにもっと力を入れるべきではないだろうかと考えております。
自転車を利用することは、マイカーの抑制につながり、交通渋滞の緩和に効果があります。さらに、都内のCO2の約二割は自動車部門から排出されており、これから都が全力を挙げて取り組んでいくCO2の大幅な削減にも有効な手段であると考えます。
確かに、今でも自転車は通勤や通学の手段として、また商店街まで買い物に行く場合など、日常生活でよく使われていますが、自転車を安全かつより便利に活用できる環境が整えば、通勤で駅まで自転車を使うだけでなく、仕事の中でも会社から打ち合わせ先まで外出するときに自転車が使われるなど、自転車が活用される範囲がもっと広がっていく可能性があるのではないか、このように考えます。
九州の熊本電鉄では、電車に自転車をそのまま持ち込めるようになっていて、買い物に行く人や旅行者の移動手段としてすっかり定着しているということを聞きます。自転車利用の可能性を大きく広げる利用方法として、私は注目をしてまいりました。
東京では、この熊本のような自転車の利用は、現状では確かに難しいと思います。
しかし、都は一方で、本年一月に策定した自転車の安全利用推進総合プランで、自転車は鉄道、自動車、徒歩などと並ぶ都市における主要な交通手段の一つであると位置づけております。
都は今後、自転車の利用促進についてどのように取り組んでいくのか。また、自転車の利用を効率的、効果的に進めるために、取り組みの進捗状況について定期的にフォローアップをしていくことが必要であると考えますが、お伺いをいたします。
〇井戸自動車公害対策部長
自転車につきましては、近距離の移動に適しました環境に優しい交通手段でございまして、都はこれまでも、交通需要マネジメント、TDM東京行動プランに基づきまして、自転車道の整備など自転車の活用対策を実施してまいりました。
日常生活や企業活動で自転車の利用拡大をしますことは、自動車交通量の緩和につながりまして、CO2の削減に大きな効果がございます。今後、道路状況など地域の特性に応じて自転車利用を促進するため、他局と連携して検討してまいります。また、自転車利用の促進にかかわる取り組みの進捗状況などを適宜取りまとめ、周知に努めてまいります。
〇吉田委員
ありがとうございます。
本年十月からは世田谷区で、狭い道路でも自転車走行空間をどうやって確保していくかという社会実験が行われるなど、自転車を安心して使えるような試みが各地で行われております。自転車は環境に優しい交通手段として注目すべきものであり、CO2削減につながります。今後は、まちづくりにおいても自転車が安心して使えるような視点を盛り込んでいくことが必要であります。環境局には、関係各局との連携を強めて、さまざまな場面でより一層の自転車の安全な利用促進に取り組まれるように要望をいたしまして、次の質問に移ります。
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最後の質問であります。生物種多様性の保全についてお伺いをいたします。
都は、平成十年三月に、都内の希少野生動植物のリストである東京都における保護上重要な野生動植物種、一般的に東京都版レッドデータブックといわれるものでございますが、これを発表しております。
国においてはこれを種の分類ごとに策定しており、例えば哺乳類では平成十年に策定したものを平成十八年に改訂し、昆虫類については平成十二年に策定したものを平成十八年に、植物については平成九年に策定したものを平成十九年にそれぞれ改訂しております。
自然環境もさまざまな要因で変化をしている中、都は平成十年三月にこれを発表して以来、十年間改訂していない状況にありますが、これはぜひ、そろそろ改訂をしなければいけないのではなかろうか。東京都における希少種、これをきちんと都として把握する、こういうことがバイオダイバーシティー、保全ということから必要ではないか、このように考えますが、見解を伺います。
〇中島自然環境部長
東京都版のレッドデータブックでございますけれども、前回の策定から一定の年数が経過しておりまして、希少動植物の状況も変化していると思われます。したがいまして、レッドデータブックの改訂について、現在検討しているところでございます。
〇吉田委員
ありがとうございます。
そして、この東京には、低地から台地、山地や島しょなど地域特性に応じて多種多様な動植物が生息しています。こうした動植物についてきめ細かく調べることが、希少動植物の保護、種の保全を図る上で大変重要であります。レッドデータブックを改訂する際には、文献調査だけでなくて現地調査も必要だと思いますけれども、ご見解を伺います。
〇中島自然環境部長
レッドデータブックでございますけれども、広く一般に絶滅が危惧されております野生動植物種を周知したり、あるいは、開発許可制度ですとか環境アセス等の基礎資料とすることによりまして、希少野生動植物の保護に役立てるということを目的にしております。
都内の希少野生動植物種は約二千二百種ございまして、これをすべての種レベルでその生息位置とかあるいは生息数を把握することは、かなり調査にかかる労力ですとか費用も膨大になるわけでございまして、そうしたことから、全数をくまなくということはなかなか困難というふうに考えております。そこで、費用対効果の観点から、我々は文献調査を中心に行いますが、その結果を踏まえまして、必要に応じて現地での確認調査も行っていくことを検討してございます。
〇吉田委員
ありがとうございます。
確かに、費用対効果を考えながら、最適な調査を検討していくことが必要だと思います。しかし、これを都がひとりですべて行うということでなくて、都民あるいは世界じゅうのというか、協力を得て取り組んでいくことが必要でありますし、今後は、現地調査を行った団体、研究者、さまざまな方々から希少野生動植物の生息情報が都に提供される仕組みをつくっていく、それをきちんと都が反映させていくということが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇中島自然環境部長
レッドデータブックを改訂する際に、独自に現地調査を行った団体ですとか、あるいは研究者等が持つ希少野生動植物種の情報でございますけれども、これはレッドデータブックの精度を高めていく上で極めて有益なものであると考えております。また、このような情報の提供を広く都民の方にも呼びかけまして、協力していただくということは、野生動植物保護の機運を高めることにもつながると考えております。
そこで、次回の改訂に向けまして、都民等からの情報提供の仕組みについても検討しているところでございます。
〇吉田委員
これまでるる質問をさせていただきました。いずれも、いろいろとご苦労、ご困難の中で一生懸命取り組んでいただけるということで、あるいは、他の委員の皆様からの質問も本当にすばらしいものでありました。
ぜひ環境局におかれては、これまで以上に力強い環境対策を進めていただくことを最後にお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。