平成19(2007)年10月2日
都市整備委員会
○吉田委員
よろしくお願いいたします。
今回の都市計画法に規定する開発許可等の基準に関する条例の一部改正についてですが、提案理由として、都市計画法が一部改正され、市街化調整区域内の大規模開発についての都市計画法の規定が削除されたためとなっています。まず、この都市計画法の改正の目的と改正内容について伺います。
また、あわせて改正法の公布日と、この開発許可に関する規定の施行日についてお聞かせください。
○座間民間開発担当部長
今回の都市計画法の改正にかかわります三点のご質問ですけれども、まず法改正の目的についてでございます。
都市を取り巻く状況につきましては全国と東京では異なりますけれども、国は、都市計画法の改正についての技術的助言の中で、我が国は人口減少、超高齢化社会を迎える一方、病院や学校等の公共公益施設の郊外転出や大規模な集客施設の郊外立地が進むなど、無秩序な拡散が進行している。これらは、高齢者等の生活利便性の低下や環境負荷の増大、インフラの整備・環境コストの増大など、さまざまな問題を引き起こすことが懸念されるとしております。
このため、広域的に都市構造やインフラに影響を与える大規模な集客施設にかかわる立地制限の強化、あるいは開発許可制度における大規模開発等の見直しが必要であり、そのための措置を講じることが目的であるとしております。
次に改正内容でございますけれども、大規模集客施設の立地規制、都市計画区域外に定めることのできる準都市計画区域制度の拡充、今回の条例改正にかかわります開発許可制度の見直し、大規模集客施設の立地を可能とする地区計画制度の創設、周辺自治体から意見聴取を行う広域調整手続の手続等でございます。
また、改正法の公布日は平成十八年五月三十日でございまして、大規模集客施設の立地規制、開発許可制度の見直し、地区計画制度の創設にかかわる改正部分の施行日は、本年十一月三十日となっております。
○吉田委員
よくわかりました。ご答弁をいただいた都市計画法の改正の内容の中で、開発許可制度の見直しという部分が今回の条例改正に当たるわけですね。
それでは、次に、この開発許可等の基準に関する条例改正の根拠となる法の規定が廃止された、その内容と趣旨についてお伺いいたします。
○座間民間開発担当部長
法の規定が廃止された趣旨と内容でございますが、今回の条例改正にかかわる法の規定の廃止につきましては、先ほどご説明いたしました技術的助言の中でいっておりますが、開発許可制度においては、従来、人口増加等により、必要な市街地面積が増大するという前提のもとで、市街化調整区域においても一定の大規模住宅開発等については、これを許可できることとする条項が置かれております。
しかし、人口減少時代を迎え、増大する人口を受けとめるための大規模開発の必要性が低下する中、大規模な開発行為であれば許可できることとする合理性が失われてきております。
その結果、今回の法改正によりまして、市街化調整区域内の大規模開発を許可できる規定、いわゆる法三十四条第十号のイでございますが、これが廃止になったものでございます。
○吉田委員
ありがとうございます。法の規定が廃止された趣旨についてよくわかりました。
東京都においても、市街化調整区域内で大学などさまざまな大規模開発の施設立地が行われてきたものと思いますけれども、今回改正する条例と開発許可基準に基づいて、これまで、市街化調整区域内でどのような施設の立地を認めてきたのか伺います。
○座間民間開発担当部長
市街化調整区域内で立地を認めていた施設でございます。現行の開発許可等の基準に関連する条例と開発許可基準によりまして、許可対象施設として規定していたものにつきましては、開発面積五ヘクタール以上の大学、工場、研究施設、工業団地と住宅開発でございます。
都におきましては、昭和四十五年の制度創設以来、十五件の大規模開発を許可しております。内訳といたしましては、大学が十件、工業団地二件、研究施設二件、住宅開発一件でございます。ただし、住宅開発につきましては開発許可の取り下げがございまして、実績といたしましては十四件でございます。
○吉田委員
ありがとうございます。そうすると、開発許可制度の運用が昭和四十五年からですから、約四十年間に、大規模開発による立地、十四の施設が立地したわけであります。約三年に一つの施設が立地してきたことになります。
では、これらの大規模開発についてですが、都は現在、今回改正する条例と開発許可基準によりまして、市街化調整区域における大規模開発、どのような手続を経て許可しているのか、お伺いをいたします。
○座間民間開発担当部長
現行の許可手続でございますけれども、開発許可を受けようとする事業者は、あらかじめ大規模開発に関連する公共施設の管理者と協議をし、同意を得た上で都に開発許可を申請することになっております。
都は、この開発計画が技術基準に適合しているかどうか審査の上、開発審査会に付議をすることとなっております。
この開発審査会では、当該開発行為の立地にかかわる開発許可基準に基づきまして審査を行い、了承された案件に対し都知事が開発行為を許可することになっております。
○吉田委員
ありがとうございます。
それでは、本法改正後、この法の趣旨から、市街化調整区域内の大規模開発については、開発審査会に付議して開発許可を行う今のやり方ができなくなるわけですが、今後、市街化調整区域内の大規模開発、こういう案件についてはどのように対応するのかお伺いいたします。
○座間民間開発担当部長
今後の対応についてでございますが、旧法第三十四条第十号のイの基準の廃止に伴いまして、今後、市街化調整区域におけます大規模開発につきましては、都市計画マスタープランに位置づけがあるなどの条件を満たすもので地元市町が定める地区計画に定められました内容に適合するものに限って開発許可をしていくことになります。
○吉田委員
そういたしますと、今後、市街化調整区域内における大規模開発は、地区計画を遵守するということで、一定条件、厳しい審査をした上で開発許可ができるというふうに理解をいたしました。
さらに、地域とのかかわり合いの視点から見ますと、地区計画を遵守することによりまして開発許可を行っていくと。これは、住民の意向がこれまでよりも一層反映されることになるのか、こういう理解をしてよろしいのか、お伺いをいたします。
○座間民間開発担当部長
住民の意向の反映についてでございますが、これまでの開発許可基準では、事業者が関係する市長や町長から、当該開発行為が基本構想等に適合するかなどの意見を受けることとしておりました。
今後は、地区計画を決定する際、都市計画案の縦覧に供するなどの手続を経ることによりまして、住民の意向は反映されることになると考えております。
○吉田委員
最後の質問でございます。
冒頭、都市計画法の改正の目的と内容についてご答弁をいただきました。
今回の法改正の趣旨は、人口減少社会を迎えて大規模開発の必要性が低下し、都市における市街化のあり方について転換が必要であるということにあるというふうに理解をいたしました。
そこで、この法改正の趣旨を踏まえて、今回の条例改正の対象となる市街化調整区域、そして対象とならない市街化区域、この設定そのものについてもこの考え方が反映されていくのか。例えば、これまでよりも緑地保全に係る逆線引きがふえていくとか、そういうことが起きてくるのか、あるいはその必要があるのではないかと考えますが、今後の区域区分の変更、この考え方についてお伺いをいたします。
○野本都市づくり政策部長
今回の法改正は、市街化調整区域内における大規模開発の許可の仕組みなどの見直しを目的として行われたものでございます。
市街化区域及び市街化調整区域、いわゆる区域区分につきましては、都市計画区域全体の視点から見まして計画的な市街化を図ること、あるいは市街地の無秩序な拡大を抑制するために設定するものでございます。
都は、これまでも、計画的な市街化が見込まれる区域につきましては市街化区域への編入、また都市緑地などの区域につきましては市街化調整区域へ編入するなど、適切な時期に区域区分の変更を行ってきました。
今後とも、市街化区域及び市街化調整区域の設定方針等に基づき、周辺の土地利用の状況、人口動向などの社会経済情勢の変化を踏まえながら適切に運用してまいります。
○吉田委員
ただいまのいろいろご答弁いただきました内容によりまして、これは大変時代の趨勢にかなった条例の改正だということを理解いたしまして、賛成をさせていただきます。
そして、ちょうど昨日、開発許可制度の対象範囲を拡大し土地の質の変更を開発許可の対象としていく、これはまた十一月三十日からということでございますが、これが報道発表されました。
この施策も、市街化調整区域において公共公益施設の適切な誘導、緑地の保全等、無秩序な市街化の進展を抑制して、良好な環境の保全が図られていくものと歓迎をいたしております。
引き続き適切な施策を打ち出して運用していただきたい、このようにお願い申し上げまして質問を終わります。