平成19(2007)年6月21日
都市整備委員会
〇吉田委員
私からは、六月十一日公表の環境軸ガイドライン、先ほど川井理事から、地元の同じ中野区の選出のお立場から大変に意義のある質疑をしていただきましたので、なるべく重複を避けるよう努力しながら、若干ご質問をさせていただきたいと思います。とにかく、まずこの環境軸ガイドラインを策定、公表されたことを大変に大歓迎をさせていただくという立場から幾つかご質問申し上げます。
まず最初に、私の地元の中野区あるいは周辺の豊島区等、木造住宅密集地域等が多く、緑やオープンスペース等の確保が大変困難な地域でございます。こういう状況を客観的に把握をできるかと思うんですけれども、二十三区におきます−−というのは、多摩はもっと緑が多いと思いますので、二十三区におきます緑被率等、緑に関する指標についてどのような状況にあるのか。そして、特に私もおります中野区周辺等において、経年の緑の変化、例えば五年ごととか、緑被率あるいはその他の指標でどのように緑が推移しているのかお伺いをいたします。
〇升都市基盤部長
緑に関する緑被率など、二十三区でどういう状況かということと、中野区周辺での経年変化はどうなっているかという二つのご質問でございますが、一般的に緑の指標には緑被率ですとかみどり率というものがございます。東京都の環境局では、東京都の緑の状況を全体的に把握するという立場から調査を行っておりまして、各区別のデータは持っていないというふうに聞いてございます。
また、地域ごとの特性に配慮した調査というものは、各区がそれぞれ独自に調査を行っておりまして、調査の時期、これは何年にやるかとか何月にやるかという、そういう時期でございますとか、方法、それから制度、これは何メートルメッシュ、何キロメッシュでやっているかなどいろいろ異なってございまして、それを一律に比較するということは適切ではないというふうに考えてございます。そのため、公表されているデータで比較するという観点から、緑の都市公園の、区域面積に占める割合というものでご説明をさせていただけたらというふうに思います。
この公園の率によりますと、平成十八年度で、特に下位に位置するところは、今お話のありました豊島区、中野区、杉並区などがございます。また、上位では、河川沿い等がございますので、江戸川区でございますとか、大きな緑を持つ千代田区とか渋谷区が行政面積に占める公園面積では非常に上位になってございます。
それから、五年ごとというお話もございましたが、中野区周辺のその推移ということで、この公園の率で見ますと、先ほどの下位三区、中野、杉並、豊島の三区ですが、十四年度と十八年度の比較を行いますと、中野と杉並は若干増加してございます。豊島区ではほぼ横ばいだということでございます。
〇吉田委員
ありがとうございます。
ただいま都市公園の公園の率ということでご説明をいただいたわけでございますけれども、それによりますと、下位に当たる豊島区、中野区、杉並区というところにおいても、中野、杉並でも若干の公園率の向上が見られる、豊島区は横ばいというお話でございましたけれども、これは、確かに公園というものに限りますと、もちろん公の立場からご努力をいただいているんだろう、このように思います。
しかし、例えば相続に伴って、これまで大きな庭のあったようなお宅が、次に行ってみたら六軒ぐらいの小さな分譲というか家が建ち並んでいて、あそこにあった木々は全部なくなってしまったんだなというようなところがたくさんある。こういうような状況でございまして、緑被率というものが各区別には、方法、年度、制度等、それぞれ各区の調査のやり方が違うので比較はできないとおっしゃいますけれども、東京都全体で、例えば区部、そして多摩、こういうふうにランドサットの衛星等で分析をいただいて東京都で発表されている数字を見ますと、それぞれ五ポイント以上緑被率が下がっている。
平成十年と十五年で比べて、みどり率の変化というものは公表されているわけで、やはり公園ということだけでなくて、民間も含めて緑被率全体を客観的に各区市町村の上部団体でございます東京都として、緑は大切だと、全都を挙げて取り組みをされる今日において、きちんとした客観的な比較ができる状況をきちんと把握できるようにする、こういうことが必要であろうと思います。
先般、私どもの党の松下副委員長からも、みどり率あるいは緑被率、いろいろな用語あるいは指標を統一したらどうかというお話を申し上げましたけれども、一歩踏み込んで、それをきちんと二十三区あるいは多摩の市町村も含めて比較できるような情報の整理をぜひされてはいかがかと、これは要望を申し上げたいと思います。
そして、先ほども申し上げたとおり、今回の環境軸ガイドラインを出すことの目的、意義につきましては、先ほど川井理事から大変わかりやすい有意義な質疑がございましたので、これは省略をさせていただきまして、中野区のように、オープンスペースの確保が大変困難な、木密地域がたくさんあるようなそういうような場所において、環境軸を実現していくためにどのような手法が考えられるのかお聞かせをいただきたいと思います。
〇升都市基盤部長
ご指摘の木密などの地域で環境軸をどのような手法で実現していくかということでございますが、木密地域などにおいては、木密の事業の区域で整備される道路における緑とその沿道のまちづくりの中で生み出される民間の緑の連携が考えられます。
例えば、本編でございますが、資料4の四二ページをお開きいただきますと、イメージパースが小さくて申しわけございませんが、これは豊島区の補助八一号線の道路整備と、沿道まちづくりのイメージパースといって、これは東池袋の木造密集地域で行っている事業でございますが、それの完成形のイメージパースでございます。
こういうような木密を通過するような道路の整備に合わせて民間活力を誘導した沿道まちづくりを進めておるところでございます。
延焼遮断帯形成と避難路の確保など、防災性の向上を図る都市施設整備に合わせまして、都と区、また地元のまちづくり協議会が連携しながら、建物の共同化などまちづくりを進めているところでございます。このようなまちづくりの中で、民間の緑を誘導し、緑豊かな都市空間のネットワーク形成を図っていくということが考えられるところでございます。
〇吉田委員
ありがとうございます。
そして、また中野は、私は昨年の十一月二日でしたでしょうか申し上げたんですけれども、都立公園とか海上公園とか、あるいは都立の霊園とか、この都立の緑がない二十三区での唯一の区で寂しい限りだということを申し上げたのでございますが、こういうなかなか都有地の少ない中野のようなところも含めて、数少ないとはいえ、都有地を活用した緑化の推進、それによる環境軸の形成ということに本当に期待を寄せているところでございます。
この都有地を生かした緑化の推進、この環境軸の形成ということについて、もう少しご説明をいただきたいと思います。
〇升都市基盤部長
学校でございますとか、都営住宅など都有地がございますが、そういう都有地の緑化を進めるということは環境軸形成の一助とすることも可能ではないかというふうに思われます。
しかし、環境軸というものは、るるご説明しておりますが、道路でございますとか河川など、都市施設と組み合わせて厚みと広がりを持たせるというものでございまして、そういうものと組み合わせて緑豊かな都市空間を形成していくというふうに考えてございます。
〇吉田委員
ありがとうございます。
東京都が緑をふやす、そして、環境軸、これをつなげるそして広げる、こういうようなことについて、今現在、緑被率あるいは公園率でも結構でございます。こういうものが少ない自治体においてこそ、この効果が最も期待をされますし住んでいる住民も本当に切望している、こういう状況でございます。
先ほど質疑もございましたけれども、新たな仕組み、新たなやり方、こういうものを進めていただいて、一段と緑がふえていくように進めていただきたいと思うわけでございますけれども、今後、環境軸ガイドラインに基づく検討、これがどのようになされていくのか、私からもお伺いをいたしたいと思います。
〇升都市基盤部長
環境軸とは、先ほどもご説明いたしましたが、道路や河川の都市施設の整備を契機に、その中で生み出される緑と沿道のまちづくりによる緑を組み合わせて、広がりと厚みのある緑空間を創出していくものでございます。そういう意味では、直接的には緑被率とは無関係な事業でございますが、大きな意味で緑化を進めるということにつながっていくということなのかもしれません。
このために、環境軸ガイドラインを策定いたしまして、環境軸の展開に必要なまちづくりにおける配慮すべき事項などを示しておるところでございます。
今後、民有地における緑のさらなる誘導促進を図る新たな仕組みについて検討していくというふうにしておりますし、また、推進体制を構築いたしまして、具体的な検討を進めていきたいというふうに考えております。
〇吉田委員
ただいまおっしゃった推進体制を構築して具体的な検討を行っていただく、本当に期待を寄せるところでございます。
昨年十一月二日に私が申し上げましたのは、木密事業におきまして、公共施設の防災性を備えた建築物の共同化と、道路、公園などの公共施設の一体的整備が可能な防災街区事業を新たな事業手法として木密対策をやっていかれるということに関連して、河川にも着目をして、いわば防災親水街区整備事業のようなこともぜひご検討いただきたい。
そして、妙正寺川にも、善福寺公園とか和田堀公園とか、こういうものに匹敵とはいわなくても、こういうものに近づけるような親水公園をつくっていただけるような将来像を描いていただけるとありがたいなということも申し上げましたけれども、例えばそのほかにも、緑の空間を創出する新たな手法といたしまして、例えばでございますが、都市計画道路の沿道の一定区域、中野にも都計道がなかなかきちんと整備が進んでいないところがあるのでございますが、この沿道の一定区域に、土地区画整理事業の予定区域とかあるいはそれに類似した制度をつくっていただいて、類似した事業の予定区域を設定していただいて、その区域の中で、土地を売却する意思がある地権者があらわれた場合に、この事業の実施に先行して、地元の区市町村やあるいは都自身が当該の用地を取得して、その後取得用地がまとまって事業の具体化が図れるような状況になれば、その用地を活用して、土地の交換分合を行って、道路沿いとか、あるいは河川沿いとか、こういうところにまとまった緑を集約する、そういうような方法も考えられるのではないかなと、素人ながら思うわけでございます。
そういうことも含めて、検討の一端にぜひお加えいただきながら新たな仕組みをつくっていただきたい、このように要望を申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。