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財政委員会 (人口減少社会における都財政運営のあり方について)

2006.09.29 : 平成18年財政委員会


〇吉田委員 
 まず冒頭に、都財政の再建に果敢に取り組んでこられて、財源不足の解消を初めとして大きな成果を達成してこられました都庁の皆様のご努力に心より敬意を表しまして質問に入ります。
 
 我が国は既に人口減少社会に突入をいたしました。昨年十一月に都の研究会が出された「人口減少社会における都財政運営のあり方」でも提言されておりますとおり、人口減少社会における財政運営は、これまでの右肩上がりの経済を期待する発想から脱却して、財政のスリム化、施策の重点化をより一層進めることを基調としなければならないと私は考えております。
 
 そこでまず、人口減少社会に対する基本的な認識についてお伺いをいたします。


〇安藤主計部長
 ご指摘のように、既に我が国は人口減少社会に入ったといわれておりますけれども、こうした社会の到来は、単なる人口構成の変化というものを意味するだけではございませんで、長い目で見れば、労働力の減少でありますとか消費需要の停滞など、経済にとってマイナスの負荷がかかってくるという影響があり、これがより深刻な問題であるというふうに受けとめてございます。
 
私どもが担っております財政運営におきましても、納税者の減少など、長期的なトレンドとして税収の大幅な伸びを期待することが困難という状況の中で、社会保障関係費がふえていく、さらには、都市の活力を維持向上させるための施策にも取り組まなければならないといった、いわばお金がない中で施策がふえていくという二重に厳しい時代に直面しつつあるというふうに思っておりまして、そういう意味では、財政構造改革は待ったなしであるというふうに思っております。


〇吉田委員
 都のご認識のとおりだと思います。
 しかし、都が七月に今回示しました「今後の財政運営の指針」を見ますと、例えば、今後三年間の中期財政フレームにおいて、都税等が平成十九年度から二十一年度まで毎年度二%ふえることを想定しております。私はこれは少し楽観的な見通しではないのかなと思うわけであります。

  五、六社の主要シンクタンクの経済見通し等も私は見ておりますけれども、十九年度についてはおおむね妥当かなと思いますけれども、二十年度以降についてはちょっとわからない点がございます。都税収入が毎年二%増加するということを見込むこととされた根拠をお示しいただければと思います。


〇安藤主計部長
 今般は、財政再建推進プランにかわります新しい指針をつくるに当たりまして、中長期的な視点を出すことが大切だという観点から、これまでにはない三カ年間のフレームを示すというふうに決めたわけですが、収入の根幹は都税でございますので、その都税をどう見込むかというのは、私どもも一つのポイントであろうというふうに思っております。

 経済状況の予測というのは、民間のシンクタンク等でも、単年度で翌年度を見込むというのが大方でございまして、二年、三年というのはそうないわけでございますが、そういう中で私どもは、都税収入の見込み、いわゆる自然増につきましては、今後三年間の名目経済成長率を二%と見込んで、それ見合いの伸び率があるというふうにしたわけでございますが、三年間見込むに当たってのよすがとしたものは二%という成長率でございますけれども、これは、ことしの一月に閣議決定されましたいわゆる国の中期展望の中の、二〇〇六年度以降、名目成長率は二%程度あるいはそれ以上の成長経路をたどるという記述に基づき設定をしたところでございます。

 なお、この七月に決定したいわゆる骨太の方針では、前提となります今後の名目経済成長率につきましては三%と見込んでおりまして、二%という設定はこれと比べても手がたいものであって、私どもといたしましては楽観的というふうには認識をしてございませんが、いずれにしても、経済は生き物でございますので、その動向については十分注視をしていく必要があるというふうに思っております。


〇吉田委員
 わかりました。
 人口が減少していく中での経済運営というものはもちろん未曾有のことでございます。人口の減少に伴う経済の下押し圧力というのは、年を追って強まりこそすれ、弱まることはないわけでありまして、あるシンクタンクは、二〇一五年くらいまでは年率二から、だんだん下がっても一%台の成長ができると推計しているところもございますけれども、短期的にはともかく、中長期的には、際限なく外需依存度を高めていけるということでもない限りは、いずれかの時点で経済も縮小に転じて税収も減っていくという可能性を考える必要がございます。

 先ほどの神林先生との質疑で安藤主計部長おっしゃっていたとおり、いずれ税収減という時代がやってくることを想定しなければいけないということでございまして、短期的にもそうした将来の、これまでにない予見に基づいてのいろいろ経済、市場の動き、これまで我々が想定していなかったようなメカニズムで経済が変調を来す可能性もなしとはしない。人口増加時代と同様に経済成長を維持し続けるというのは、実は容易な目標ではないのかもしれないということを懸念いたします。

 また、景気変動的な側面だけを考えましても、平成に入って以降、都税収入は三年連続して伸び続けたことはございません。二年で腰折れをしてきております。法人二税に限って見れば、平成以降でも、直近の平成十五年度から十七年度の三年間は例外的に伸び続けておりますけれども、今回の中期財政フレームの想定は、都税収入が、平成十五年度を起点として平成十六年度から二十一年度まで、国による税制改正の影響がなかったとしたらば六年間連続して増加し続けるというものでございます。

 具体的にいえば、十七年度決算四兆六千億円、十八年度当初予算四兆五千億円で、これは三位一体改革と同時期に、いわばセットで行われた法人事業税の分割基準の見直し一千三百億円、こういうものの減収、こういうものを考えればこれは腰折れしている、しかし、そういう国による税制改正の影響がなければ増加し続けるんだという想定でありまして、若干の、こういう一本調子の増収というのを本当に期待していいのかどうか、多少の懸念を感じるわけであります。

 また、先ほどもございましたとおり、法人二税の分割基準の人口基準による配分への見直しとか、国が都から財源を奪う動きも見えます。こんなことが行われたら、都は一兆二千億円もの減収になってしまう、このような歳入減のリスク要因が存在しており、先ほど申し上げた平成十八年度の法人事業税の分割基準の見直しというのは、国が都から財源を奪うリスクが現実のものとなって、税収増が実現できなかった一つの例だという見方もできるわけであります。

 こういうことを考えますと、政府の見通しよりも手がたい見通しだというご説明ではありましたけれども、今後三年間、都税収入が伸び続けるということを想定して財政運営を行うというのは、ちょっと意地悪くいえば、依然として右肩上がりを期待した財政運営ではないのか、あるいはリスクや見通しの不確実性について、これをどのように認識しておられるのか、認識と財政運営の姿勢についてお伺いいたします。


〇安藤主計部長
 経済を考える場合、長期的な動向変化と、そして短期の経済回復というようなもの、経済の変動というようなものも双方にらみながらということになろうかと思いますけれども、今般のフレームは、あくまでも回復基調にございます景気の動向などを踏まえた上で試算したものでございまして、お話のような都税収入が抱えております構造的な減収リスクについては十分承知をしているつもりでございますし、過去を振り返れば、先生ご指摘のとおり、三年間連続して都税が伸びたことは実際ございません。そういうリスクについても、私ども十分承知をしているつもりでございます。
 その上で、当面三年間の財政運営に当たりましては、神林先生にお答え申し上げたとおり、負の遺産の抜本的処理を進めるなど、むしろ財政構造改革をさらに加速させるということを基調としたつもりでございまして、右肩上がりを期待して歳出を拡大していくものではないということについては、ぜひご理解をいただきたいというふうに思います。
 また、基金等によります財源の年度間調整も活用しながら、どのような社会構造の変化にも対応できる、理想でございますが、強固で弾力的な財政基盤の確立を目指したものであるというふうなことで、ぜひともご理解を賜りたいというふうに思います。


〇吉田委員 よくわかりました。
 国は、緊縮財政とはいいながらも、ばらまきを復活させる気配が少し感じられるのでございますが、都は引き続き緊縮的な財政構造改革路線を継続する姿勢であるということが確認できまして、頼もしく思います。
 その中で、しかし、各局すべてが同じ認識であるのか若干の不安を覚えるわけでございまして、実はこの後、引き続き各局を引き締めて、施策を見直して優先度の相対的に低い事業を思い切ってやめていくことが、社会状況の変化に対応した真に必要な新しい施策を実施する財政余力をつくり出すために必要だということで、ゼロシーリングでは財政が緩んでしまうおそれがないか伺おうと思っていたんですが、神林先生との部長のやりとり、大変わかりやすいやりとりを拝聴したものですから、この質問は省略をさせていただきまして、そういう各局の創意工夫、これを大いに生かしていただきながら、スクラップ・アンド・ビルドというのを機能させていただきたい。
 しかし、その中で、財務局としても施策の見直しを働きかけることが引き続き重要だろうと思うわけであります。都が事業を行う際には、後年度負担を推計するなど、人口減少社会を踏まえた十分な事前の検証が必要でございます。特に大規模プロジェクトは、財政負担も大きく、慎重に検討すべきでございまして、その点では、今回、いわば遅まきながら大規模プロジェクトの計画公表を始められるということは率直に評価をさせていただくものでありまして、ぜひ速やかに取り組んでいただきたいと思います。
 右肩上がりに伸びていくという前提でないということではございますが、大規模な事業を次々と始めるということは、本当に二度と繰り返してはならないと思うわけであります。こうした観点から、財務局として施策を見直すためにどのような取り組みや工夫を行っていくのか、お伺いをいたします。


〇安藤主計部長 財政再建に一つの区切りをつけたというふうに申し上げてきておりますけれども、社会経済状況が大きく変化する中にあっては、財政の健全性を中長期にわたって維持していくためには、これまでの財政再建推進プランで掲げてきました視点に基づいて、聖域を設けることなく施策の見直しというのはやっていかなければいけないというふうに思っております。
 そのために今般は、これまで以上に各局の自主的、自発的な取り組みが必要であるという観点に立ちまして、指針の中では、予算編成におきます権限の一部を各局に移譲いたしますとともに、あわせて事務事業評価制度を財務局が担うというようなことになりまして、これの再構築、さらには、今ご指摘ございましたけれども、大規模プロジェクト等の全体計画の公表、検証という、各局が施策を見直すきっかけとなるような仕組みを新たに設けてございます。
 これに加えまして、事業別バランスシート、公会計改革の一環として導入することができましたこの事業別バランスシートなどの新しいツールを活用していくことで、効果的、効率的な施策の見直しが実施できるというふうに考えております。
 ツールは用意されましたけれども、しっかり運営していくのが我々の役目でございますので、各局とも連携をとりながら、効率的、効果的な都政を運営できるような見直しをぜひとも進めていきたいというふうに思っております。


〇吉田委員 期待をいたしたいと思います。
 人口減少下における厳しい見通しの中で、今後の財政運営に当たっては、局という枠にとらわれずに、限られた財源を必要な分野へ思い切って重点的に配分していただきたいと思います。
 東京都全体として優先度の低い事業についてはしっかり見直しをしていただいて、しかし、それは削減ありきということではなくて、局ごとのバランスとか既得権益というようなものにとらわれずに、ある局については大変申しわけないけれども大なたを振るって減らすけれども、別の局のふやすべき事業についてはしっかりと予算をつけていくという柔軟な財政運営を目指すべきであることはもちろんであります。
 ここは意見でございますが、その重要な一分野が少子化対策でございます。子どもや子どもを持つ親への支援はまさしく人づくりへの投資でありまして、冒頭、人口減少社会についてのご認識のときにご答弁ありましたとおり、育った子どもが将来都税の納税者となり、労働者、消費者となって社会経済の担い手となっていくわけでありまして、いわば最も乗数効果の高い投資の対象である、このような観点も含めて、長期的、大局的な視点を重視した財政運営の実施をぜひお願いいたしまして、質問を終わります。

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