平成24(2012)年3月21日
総務委員会
〇吉田(康)委員 よろしくお願いいたします。
私からは、外国人犯罪の防止対策についてお伺いします。
昨年八月の都民生活に関する世論調査では、治安対策への要望が第三位でありました。要望の第一位は、震災後という影響もあり防災対策でありましたが、第二位の高齢者対策とほぼ同率でありました。都民の治安対策に関する要望は極めて今も高いわけです。この背景には、都民の体感治安への不安があり、外国人犯罪もその不安材料の一つであると考えます。
このような現状を踏まえまして、昨年十一月の総務委員会で、都における外国人犯罪防止のための取り組みについてご質問するとともに、引き続きの対策をお願いいたしました。
法務省によりますと、平成二十三年一月一日現在の全国の外国人登録者数は約二百十三万四千人で、前年より約五万二千人減少しております。また、不法滞在数については約十万人といわれております。このそれぞれの数字が額面どおり受けとめられないものだという可能性があることについては、前回、私が指摘をいたしましたが、これを単純に計算しますと、日本に滞在している外国人登録等をしている外国人の約五%に当たるわけです。
一方、警視庁によりますと、平成二十二年中の都内における来日外国人の検挙人員は三千三百二十五人であり、その内訳は、正規滞在者が二千四百五十二人、不法滞在者が八百七十三人であります。これを勘案しますと、外国人検挙人員の七四%が正規滞在者であり、残る二六%は不法滞在者となります。すなわち、不法滞在者は外国人登録者数の五%にも満たないけれども、都内において犯罪者として検挙された来日外国人の二六%が不法滞在者だということになります。
このような現状を踏まえますと、不法滞在者への対策は引き続き重要であります。そして、犯罪の温床にもなりかねない不法滞在外国人を減少させるためには、外国人の不法就労を防止することが重要だとのことであります。
そこで、青少年・治安対策本部では、外国人不法就労防止対策に関して、昨年度から外国人適正雇用推進月間を、そして今年度からは、新たに外国人適正雇用推進宣言事業所づくり事業に取り組んでいるとお聞きしております。昨年十一月以降、これら事業に対しどのような取り組みを行ったのか、そして、平成二十四年度はどのような取り組みを行っていくのか、お伺いします。
〇伊東治安対策担当部長 当本部では、昨年六月を外国人適正雇用推進月間とし、飲食店が多い新宿、渋谷、池袋、六本木、品川、町田において、東京入国管理局、警視庁、区市町村、防犯協会等と連携し、六百事業所を訪問して普及啓発活動を実施したのに引き続き、昨年十二月にも外国人適正雇用推進月間を設定いたしました。
昨年十一月以降の取り組みとして、昨年十二月の月間中の三日間に、昨年六月同様、関係機関とともに、飲食店が多い新大久保、新橋、北千住の各駅前において街頭キャンペーンや、外国人適正雇用推進宣言事業所づくりに取り組みました。
この外国人適正雇用推進宣言事業所づくりでは、飲食店の繁忙時間帯である昼食時や夕食時を避けるなど、事業所の営業形態に配慮し、限られた時間の中で効率よく集中的に呼びかけを実施するために、新大久保駅周辺と新橋駅周辺地区はそれぞれ三エリアに、北千住駅周辺地区は四エリアに分け、新大久保駅周辺地区では七十五事業所、新橋駅周辺地区では百事業所、北千住駅周辺地区では百事業所を直接訪問し、適正雇用に関する呼びかけを行いました。
平成二十四年度も、六月及び十二月に外国人適正雇用推進月間を設け、関係機関との連携のもと、今年度同様に、外国人適正雇用推進宣言事業所づくりの取り組みを行ってまいります。
〇吉田(康)委員 ありがとうございます。駅頭での街頭キャンペーンや九百カ所近い事業所を直接訪問するなど、さまざまな対策を行っていることを理解いたしました。
しかし、繁華街には外国人客が訪れる店も大変多く存在し、そうした店舗には、不法就労を含む犯罪行為を助長するおそれのある外国人を対象としたフリーペーパーが置かれていることがある、このことを前回指摘させていただきました。
昨年十一月のこの委員会で、このようなフリーペーパーが犯罪インフラとして見過ごすことができないものであり、対応を求めましたところ、都として対応を検討するというご答弁でありました。都のフリーペーパー対策についてお伺いいたします。
〇伊東治安対策担当部長 フリーペーパーに関しては、警視庁や区市町村、東京入国管理局等の関係機関とともに、さきに述べた事業所づくりの際に、事業主に対し、中国語等で書かれていて内容が確認できないものや、不法就労等を助長するおそれがあるものについて、事業所に置かないように注意喚起を行っております。
〇吉田(康)委員 早速ご対応いただいておりまして、ありがとうございます。
都内、特に都心の繁華街におきましては、フリーペーパーがあふれているように思います。不法就労あるいは犯罪を助長するおそれのあるフリーペーパー対策を、今後ぜひ第一目標の一つとして取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇伊東治安対策担当部長 今後も、関係機関の理解と協力を得ながら、不法就労等を助長するようなフリーペーパーに対して対策を講じてまいります。
六月に予定している外国人適正雇用推進月間において、広報対象を、飲食店、ホテルなどの外国人を雇用する事業所以外に、コンビニエンスストア、日用雑貨販売店、ネットカフェなど外国人が利用する店舗にも広げるなど、より一層効果的な周知、広報を行っていきたいと考えております。
〇吉田(康)委員 ありがとうございます。
そして、不法滞在者の多くが不法就労者であるというふうに聞いておりますが、ことし七月から施行される改正入管法では、新しい在留管理制度が開始され、これまでの外国人登録制度が廃止になります。そして、新しく在留カードが導入されますが、この在留カードは不法滞在者には与えられないなど、これまでの外国人登録証明書とは異なる点があります。こうした制度の変更点について、外国人を雇用する事業主に十分に理解してもらうことが重要であります。
改正入管法の施行に向けて、都としてどのように周知を行っておられるのか、伺います。
〇伊東治安対策担当部長 現在、都が実施している不法就労防止啓発講習において、事業主に対し、在留カードの見方や雇用の際の注意点をわかりやすく説明しております。今年度は、この講習を八十一回実施することとしております。
なお、本日現在、七十九回実施し、受講者は約八千三百人でございます。
改正入管法の施行が七月九日であることを受け、平成二十四年度も今年度と同様に、この不法就労防止啓発講習で広く周知を図ってまいります。
なお、本年二月に当本部で作成した啓発用資料である外国人労働者雇用マニュアルには、在留カードの見本など新しい情報を掲載し、適正雇用に関する周知に努めております。
〇吉田(康)委員 青治本が設置されたのが平成十七年八月、不法就労防止啓発講習は、その翌年、平成十八年度以降続けている不法滞在外国人対策の中核的な事業であります。
不法滞在の外国人が就労しようとする際、偽造された外国人登録証明書を使ったり、外国人登録証明書をコピーしたものを加工するなどして、正規の滞在者を装うケースがあると聞きます。
外国人による犯罪を防止する対策の一つとして、身分を偽った外国人の不法就労を未然に防ぐため、外国人の身分確認については、身分証明書の原本での確認、これを行うことが重要であると思います。
都では、事業主が外国人を雇用する際に、身分証明書の原本で身分の確認を行うよう指導しているのかどうか、伺います。
〇伊東治安対策担当部長 都が取り組んでいる不法就労防止啓発講習等において、事業主等に対し、外国人の雇用に関する身分確認は、外国人登録証明書の原本で行うように指導しております。
〇吉田(康)委員 外国人登録の状況を見ますと、国内の登録の約二割が東京都でなされていることから、外国人が東京に集中していることが浮かび上がってまいります。外国人の集中する国際都市東京は、外国人の不法就労の防止対策にもしっかりと取り組んでいただかなければなりません。そして、そのためには広く都民に不法就労防止への協力を訴えていかなければなりません。
都は、今後どのような対策をとっていくのか、お伺いいたします。
〇伊東治安対策担当部長 都は、外国人適正雇用推進月間中の昨年十二月八日、事業主を中心とした講習会を開催するとともに、東京入国管理局、警視庁、東京労働局から講師を招聘し、外国人登録証明書の見方、在留資格ごとの雇用可能な職種等の説明会を行いました。
都としては、今後も東京入国管理局、警視庁、区市町村等の関係機関と協力し、不法就労防止啓発講習、外国人適正雇用推進月間、外国人適正雇用推進宣言事業所づくり、公共交通機関へのポスターの掲出等の継続的な取り組みを実施し、外国人の不法就労防止について、広く都民に対し普及啓発を行ってまいります。
〇吉田(康)委員 この問題をいろいろ私も勉強させていただいておりまして、こういうこともできるんじゃないか、こういうこともやっていただかなきゃいけないんじゃないかと、いろいろと心配したりしておるんですけれども、細かくやっていただいている内容をお聞きすると、大変少人数の中で本当に一生懸命取り組みをしておられることがよくよくわかります。
担当部局は少数精鋭で本当に頑張っていらっしゃると思いますので、引き続き、都民の安全、治安への都民の安心を担保するために、関係各局と連携して頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。