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環境・建設委員会 (予算案について意見開陳)

平成21(2009)年3月19日

環境・建設委員会

〇吉田委員 私は都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成二十一年度予算案にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
 二十一年度予算案は、急速な景気悪化により、一般会計は前年度比三・八%減の六兆五千九百八十億円となりましたが、政策的経費である一般歳出は、前年度比二・九%増の四兆五千四百二十二億円を確保しています。
 歳入においては、景気後退と法人事業税国税化によって、法人二税が三〇・三%、都税全体で一三・六%の大幅な減収となっています。
 そのため、都債を前年度比四〇・四%増の三千七百四十三億円分を発行することとしていますが、起債依存度はいまだ低水準にあり、余力を残しています。
 歳出では、東京の将来をつくる都市インフラの整備、更新などの投資的経費を前年度比六・二%増としました。国の公共投資や東京圏の民間投資に比べれば、その規模は決して大きくありませんが、事業を厳選し、最も効果的な投資を行っていく必要があります。
 具体的な施策においては、雇用や中小企業経営に対する支援策を強化するとともに、救急、周産期医療や新型インフルエンザ対策など喫緊の重要課題にも手だてを講じるなど、短期、そして中長期的な取り組みにも財源を振り向け、都民生活を守り、未来の東京を築いていく姿勢を打ち出したことは評価できます。
 しかし、今後も、世界的な金融情勢などの動向次第では景気が下振れるリスクがあり、都財政を取り巻く環境はより一層厳しさを増す可能性があります。
 そこで、都民の不安感を解消し、安心・安全を守るため、民主党が求めている耐震化やバリアフリー化などの公共投資のさらなる前倒しや雇用対策での公的雇用創出の積み増し、生活安定化総合対策事業や職業訓練などの拡大、充実、中小企業への資金供給のさらなる円滑化、医療対策でのNICUの一・五倍増などの取り組みが必要だと考えます。
 そして、その基盤となる持続可能な都財政の確立に向けて、国からの税財源の移譲や法人事業税国税化の廃止を強く推し進めることが求められています。
 なお、予算を執行するに当たっては、定数削減などにより職員の企画力や執行力などの低下が懸念されており、都民の期待にこたえるためにも執行体制の再構築を求めておきます。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局に係る事項について申し上げます。
 まず、環境局関係について申し上げます。
 一、企業の温暖化対策を推進するため、大規模事業所に対する温暖化ガス削減義務と排出量取引制度を導入するとともに、都の制度の全国的な普及拡大に努めること。
 一、温暖化対策に積極的に取り組む中小規模事業者に対するインセンティブを充実するために、省エネ促進税制の創設を初め、報告書制度を活用した助成制度や低利融資制度、顕彰制度の創設などに取り組むこと。
 一、家庭での温暖化対策の推進に向けて、地域の家電店などと連携して省エネアドバイザーを養成、登録し、その活動を推進するとともに、地域の工務店などを評価する省エネ住宅供給事業者認定制度を創設すること。
 一、省エネ設備の導入補助など、家庭や中小企業でのCO2削減を着実に進めるために、基礎的自治体である区市町村を通した支援に取り組むこと。
 一、太陽エネルギーの利用拡大に向けて、国や区市町村などとも連携した支援の充実に努めるとともに、都民に対して太陽光発電などの導入に向けた道筋をわかりやすく説明すること。
 また、都有施設における電気のグリーン購入を推進するなど、再生可能エネルギーの利用拡大に向けて取り組むこと。
 一、運輸部門でのCO2削減に向けて、電気自動車やプラグインハイブリッド車の購入補助や低燃費車の利用を促すガイドラインの策定などに取り組むこと。
 また、エコドライブの普及拡大を図るとともに、車検や整備を通じた燃費の向上に取り組むこと。
 さらに、自転車への利用転換を図るなど、自動車に依存しないまちづくりを進めること。
 一、フードマイレージやカーボンフットプリントなどの制度普及を初め、環境問題に配慮する消費行動促進支援事業を展開すること。
 また、環境金融を進めるために、金融機関への預託金を創設するとともに、金融機関に対してエコ預金の創設、拡充など環境投融資の拡大を働きかけること。
 一、産業廃棄物の不法投棄を防止するため、産廃Gメンによる監視体制を強化すること。
 また、携帯電話に加え、デジカメやゲーム機など電気、電子機器類におけるレアメタル、レアアースのリサイクルを推進すること。
 一、大気汚染物質のさらなる排出削減に向けて、大気中微小粒子、PM二・五に関する調査を実施すること。
 また、船舶からの排出ガス削減に向けて、陸上電力の供給の効果を検証すること。
 一、土壌汚染対策として、中小事業者の負担軽減に向けてガイドラインの策定や簡易迅速分析法の確立を図るとともに、都民に対する情報提供の仕組みづくりに取り組むこと。
 一、緑の保全と再生に向けて、緑化計画書制度や開発許可制度の強化、充実を図ること。
 また、みどり率など緑の指標調査を実施するとともに、校庭芝生化事業を初め、駐車場や都市のすき間に着目した緑化の推進を図ること。
 一、東京湾や中小河川の水再生に向けて、水生生物の保全のための必要な調査を実施するとともに、干潟の保全、再生などを通じて赤潮、青潮対策に取り組むこと。
 また、水収支調査の結果を踏まえ、水循環の推進に向けた新たな施策を構築すること。
 一、都内温泉施設の安全確保に向けて、昨年十月一日に施行された温泉法の改正などを踏まえ、立入調査や事業者への指導など、施設の安全が担保される体制を整備すること。
 一、森林や丘陵地の保全に向けて、多摩の森林再生事業を着実に実施するとともに、保全緑地の公有化を推進すること。
 また、生物多様性地域戦略の推進を図り、東京都版レッドデータブックの更新に取り組むとともに、小笠原諸島の外来種対策など世界自然遺産登録推進事業を進めること。
 次に、建設局関係について申し上げます。
 一、幹線道路ネットワークの整備を推進するために、三環状道路を初め都市の骨格を形成する幹線道路や地域幹線道路の整備を進めること。
 また、将来の交通需要を踏まえつつ、必要性などに関する客観的なデータを公表するなどして、より優先度の高い道路の整備が進むよう取り組むこと。
 一、京浜急行本線、空港線やJR中央線など、鉄道の連続立体交差化事業を推進するとともに、西武新宿線や京王線での調査を進めること。
 一、是政橋などの橋梁整備を進めるとともに、第一次緊急輸送路における橋梁の安全性向上に取り組むこと。
 また、勝鬨橋の再跳開に向けて調査検討をすること。
 一、街路樹の充実、育成など道路の緑化を推進すること。
 また、遮熱性舗装や街路灯の省エネ照明への転換など、環境に優しい道路整備に取り組むこと。
 一、道路の安全対策として、アンダーパス化されている道路施設に対して冠水警報設備や予備ポンプを設置すること。
 また、石積み擁壁の緊急安全対策を進めること。
 一、都道、区市町村道の無電柱化を推進するとともに、交差点すいすいプランを初めとする交差点改良を進めること。
 また、自転車走行空間を積極的に整備するとともに、区市町村の取り組みを支援すること。
 一、中小河川の改修として、事業期間が平成二十一年度までとなっている妙正寺川、善福寺川の河川激甚災害対策特別緊急事業を着実に実施するなど、河川改修の早期完成と一層の強化に向けて取り組むこと。
 また、日本橋川の水質浄化に取り組むとともに、放置船舶対策を強化すること。
 一、高潮防御施設の整備として、江東内部河川の整備や東部低地帯における河川施設の耐震強化を図ること。
 一、都市公園の整備について、園路の改修や非常用照明の設置を進めるとともに、スポーツ施設の夜間利用を拡大すること。
 また、上野公園については、グランドデザインを踏まえ、上野地域全体に配慮した周遊性のある整備を進めること。
 一、動物園の整備について、恩賜上野動物園を対象に飼育・繁殖センターの整備基本計画を策定すること。
 また、動物園の管理運営に当たっては、さらなる魅力の向上に向けて施設整備を進めるとともに、来園者サービスの充実に努めること。
 一、都立霊園については、青山霊園や谷中霊園の再生に取り組むとともに、災害時に避難場所となる霊園に非常用照明を設置すること。
 一、市町村のまちづくりに対する支援として、みちづくり・まちづくりパートナー事業を実施するとともに、市町村による公園整備などが進むよう、土木事業に対する補助を行うこと。
 以上申し上げまして、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。

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