これだけは指摘せざるを得ない。
今次都議選に大勝した小池都知事は、都民ファーストの会の代表を退き、特別秘書の野田数氏を同会の代表に戻す意向という。
これはおかしい。
都知事(行政府)と都議会(立法府)会派代表を一人が兼ねる事が二元代表制の観点から問題があるとの指摘に対応する為と言うのであれば、野田氏は知事の特別秘書、即ち行政府たる東京都庁の側の人間であり、立法府たる都議会の議員の会派代表になる事は、二元代表制の観点からは都知事と同様の問題を免れない。
都知事たる小池氏が会派代表である事より、更に問題であるのは、小池氏は都知事選挙で当選し、都民の負託を受けたという正当性があるのに対し、野田氏は今次都議選で当選を果たした各都議会議員と異なり、選挙による都民の負託を得ていない。
選挙により都民の負託を受けた都議会議員が結成する会派の代表を、都知事が任命した特別秘書に過ぎず選挙の負託を受けていない人物が就任し、都政に大きな影響力を行使する事は、著しく正当性を欠くと言わざるを得ない。
今次都議選に向けて都民ファーストの会を立ち上げ、人材を発掘中であった選挙前であれば、野田氏が同会の代表であったことにも一定の理解をする事はできるが、選挙が行われ、更に今回の様に大勝し、都民の負託を得た都議会議員を多数確保でき、いわゆる「党務」をそれらの人材で行う事ができる状況である現在、会派の役職はそれらの都議が担い、会派の運営はそれらの都議団が行うべきであろう。
小池都知事には、ご自身が会派代表を退くという事であれば、この様な適切な判断を期待するものである。
現在のところ、この問題を指摘しているマスメディアや有識者は見当たらない。これもおかしい。