1月2日以降、各メディアが、
・中国の海洋調査船「向陽紅」が2018年12月中旬、沖ノ鳥島周辺の我が国のEEZ(排他的経済水域)内で、日本政府に無断で調査活動を行っていた、この海域で中国の無断調査が明らかになるのは、2016年3月以来。
・日本政府が2日までに排他的経済水域で無断で活動していたとして中国側に抗議した。
・中国外務省の報道官が2日、「調査船は法に基づき、海洋科学研究活動を行った」と、沖ノ鳥島周辺での活動を認めたうえで、「沖ノ鳥島は国連海洋法条約上の島ではなく、岩であり、排他的経済水域は存在しない」「日本が勝手に島と称して、一方的に排他的経済水域と大陸棚を主張していることについて、中国は一度も承認したことはない」と述べた。
との一連の動静を報じました。
またか、というやりとりです。
まず、重要な事実を確認します。
中国も主張の根拠とした「国連海洋法条約」に基づき、「大陸棚限界委員会」が設置されています。
この「大陸棚限界委員会」が、2012年4月27日、沖ノ鳥島を基点とした、同島北方の四国海盆海域と沖大東海嶺南方海域を我が国の大陸棚に認定することを日本に勧告しました。
これにより、当該海域は、EEZと同様の効力が発生し、日本が独占的に経済的利用が出来るようになりました。
従って、「国連海洋法条約」に基づく機関が、沖ノ鳥島がEEZを有する事を認めているのです。
しかし、中国側に付け込まれるスキを我が国が与え続けているのも事実です。
私はこの事実を知った在学中の昭和の年代から、我が国政府の無為無策、政治家・官僚の無能さに怒りを感じ続けています。
国連海洋法条約では、第121条において、
第1項で、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」と定めています。
第2項 では、「3に定める場合を除くほか、島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。」と定めています。
第3項では、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」と定めています。
つまり、広義の「島」は、狭義の「島」と「岩」に分けられ、
「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することができる」島は、領海、接続水域のみならず、排他的経済水域が認められる。
「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することができない」岩は、領海、接続水域が認められるが、排他的経済水域は認められない。
中国は、沖ノ鳥島が「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することができない」岩だ、だから日本のEEZを認めない、と強弁している訳です。
大陸棚限界委員会が日本のEEZを認めているのだから、何もしなくて良いのでしょうか?
国際社会とは、その様に甘いものではありません。
大陸棚限界委員会の見解など、国際社会の力関係で、いつひっくり返るか分からない、と考えるべきものです。
ではどうすべきか。簡単ですね。
「人間の居住又は独自の経済的生活を維持」すれば良い。
中国が南シナ海で行っている事は、これを強引に、領土紛争のある「岩」や「島」について一方的に行ない、「岩」や「島」の埋め立てを行なっているばかりか、同条約では認めない事まで実施し、同海域全体を自国の主権下に入れようとしているのです。
それは何か。
同条約が定めているのは、
第121条第1項、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう」です。
満潮の時でも海面上に顔を出す岩であれば、岩または島と認める。
しかし、満潮の時に海面下に没するのであれば、岩ではない。
潮が引いた時だけ顔を出すのは、「暗礁」です。領土にはならない。
領海も、接続水域も、ましてEEZなど認められない。
ところが、中国は、この「暗礁」まで埋め立てて人工島を作り、「領土だ」と言わんばかりの行為を続けているのです。
中国の主張は、条約上認められるものと、認められないものを、強引に一括りに、軍事力の恫喝によって近隣諸国、国際社会に追認させようとしている様に理解できます。
それは絶対に認めてはならない。
日本の沖ノ鳥島についての主張は、中国の南シナ海での主張と異なります。
沖ノ鳥島は、満潮時にも島の一部が、365日24時間、海面上に顔を出し続けている、歴然とした「島」あるいは「岩」です。「暗礁」ではありません。
これを、「日本と中国、どちらも大して違わない主張だ」と勘違いしている人が意外に多い。
左利きの人に特に多い。右利きの人でも、勉強不足の人がいます。
そして、この「島」あるいは「岩」を、文句の出ない「島だ」と認めさせる為に、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持する」を実施すれば良い訳です。
ではどうするか。
〆切となりましたので、次号で続きを説明します。
是非、続きも読んで下さいね。