超高齢化が進む我が国の地域社会において、歩道のバリアフリー化は重要な課題です。
旧来の歩道は車道より 10~15㎝ 高くなっており、宅地の車庫の出口だけ車道に向かって切り下げられています。宅地が並ぶ街並みでは、高い歩道と切り下げが順番に続き、波乗り歩道になっており、足腰の弱い方、杖の方、車椅子の方、乳母車の方等々に大変に不便であり、自転車もふらつくなど、危険ですらあります。
そのため、近年はバリアフリー化の取組みの中で、歩道を平らに通行しやすくする「歩道のセミフラット化」が一部で行われています。
しかし、中野区では、この「歩道のセミフラット化」がなかなか進んでいません。
実は、私が商店会長を務めている薬師柳通りでは、私のこの長年の主張・要望を汲んで頂き、旧来のアスファルトの歩道がセミフラット化された明るいインターロッキングの歩道に改修されました。
都議会議員の時には、都道のセミフラット化に取り組みましたが、中野区じゅうの歩道を、平らで歩きやすい歩道に変えなければならないと考えています。
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《平成19(2007)年11月20日、東京都議会環境・建設委員会における吉田康一郎質疑》
〇吉田委員
私からは歩道のセミフラット形式の推進という点についてまず質問させていただきたいと思います。
従来整備されてきましたこの東京の歩道につきましては、車道から約十センチ高いマウントアップ形式という形式で整備をされてきたわけでありますが、平成十二年の東京都福祉のまちづくり条例が施行されて以降、都道においては、いわゆる点字ブロックの設置、あるいは段差や勾配の改善を進めるために、セミフラット形式というものの導入を進めていると認識をしております。
これから日本は、超高齢化が世界で最も速いスピードで進んでいく、人口ピラミッドも急速に高齢者の方がふえていくという状況を踏まえますと、この歩道は今後セミフラット形式でどんどん進めていくべきだというふうに考えますが、まず所見を伺います。
〇米田道路保全担当部長
セミフラット形式の歩道は、車道との高低差が少なく、すりつけ勾配が緩やかになるため、高齢者、障害者などの移動に有効な構造であると考えております。都は、これまで道路の新設や拡幅工事におきまして、原則としてセミフラット形式の歩道整備を行ってきております。
〇吉田委員
ありがとうございます。
これまで道路の新設や拡幅工事において、原則セミフラットで歩道整備を行ってきているということをご答弁いただきました。そのセミフラット化が現在どういう状況で進捗しているかということについて事前に資料をいただいております。平成十二年度から十六年度までかけて、まず十二年度に一・七キロ、そして五・四キロ、九キロ、十三キロ、十六キロ、そして合計で現在四十五キロの歩道がセミフラット化されている。これは、道路の右側、左側、両方ある場合には両側と、合わせて数えておりますので、両方とも整備している場合には半分の延長ということになります。
これは都道はざっくりいって二千キロ、都内の国道は二百キロ、都道が二千キロ、区市町村道が二万キロというふうにざっくりと記憶しておりますが、この二千キロの中で、四十五キロというのはまだまだ進んでいないんだな、このように私は問題意識を持っております。
この中で、新設や拡幅工事だけでなくて、既存の歩道についてもセミフラット化を推進することが大変大切なのではないかな、私はこのように思っております。既存の道路も、もちろん歩道自身がきちんと確保されていないようなところもありますが、マウントアップ形式で歩道があるところというのは、これはこれで大変に問題を抱えているわけであります。
私のおります中野というところでは、いろいろと街区が、あるいはいろいろの建物が細かくなっているものですから、マウントアップの歩道のそれぞれ宅地から車庫があって、車道に切り下げというのがあって、家ごとに歩道が切り下げられて、それがほとんど波打ってずっと続いている。そこに短冊のように細かい歩道もあって、自転車はまだいいんですけれども、例えば乳母車とかあるいは車いすとか、こういう方々は切り下げのたびに車道の側に車がおりてしまうのを必死に押さえながら通っている。
あるいは最近はまだないかもしれませんが、将来きっと多数見受けられるのは、車いす同士の往復というか、これが本当に狭いところで歩道が斜めになっているところできちんと円滑に安全にできるのだろうか。あるいはご高齢の方がつえをついて、本当にゆっくりと歩幅も高さはほとんどちょっとしか上がらないような歩みの方が、平らなところはいいんですが、横断歩道から歩道に登るスロープでさえ歩いていくスピードが進まなくなるような、そんな様子もよくよくお見受けをしておりまして、この既存の歩道のセミフラット化というのは本当に、既存のストックのバリアフリー化という意味で大変大切なんだろうと思います。
そして、この中で、実は歩道というのは意外に多くの場面で改修が行われております。この耐用年数が過ぎたときの補修のみならず、例えば道路の安全性を高めるためのコンパクト化、歩道をちょっとせり出して交差点を狭くするコンパクト化、安全性のために進めておられると思います。このときにも歩道は大きくいじられております。あるいは渋滞緩和のために、いろいろ車道と歩道の、あるいはレーンを変えたり、いろいろな改良工事をされている。こういうときにも歩道の改修は行われます。
そして、例えばこれは実際に私がいます中野と杉並の間、新青梅街道の区境のところで、現在やる予定で説明をいただいておりますのは、大変古い街路樹が幹が太ってしまって、そして、根もしっかり張って根上がりがしてしまっている。そして、縁石が車道側にずれ落ちて歩道が根上がりしてひび割れをしている。こういう状況で、大変残念なんですが、街路樹を切らないといけないのだと。街路樹を切って道路の根上がりしているところを全部はがして、新しい歩道にするんだということがございます。
話は一つずれますけれども、既存の街路樹、こういうものを、幹が太って立派に育ってしまったものを切らないで済むような街路樹の位置づけ、道路の設計、こういうこともこれから街路樹を百万本にするという中で、切らないで済む街路樹の設計ということも考えていただきたいのですが、これまた別途要望でございます。
このようにいろいろな場面でこのマウントアップの歩道というのが、東京都は一生懸命に都民の利便に供するように改修されている。この多くの場面において都民の税金を使って一生懸命やっておられる中で、既存の道路についてのセミフラット化、こういうものをぜひ積極的に推進をしていただきたい、このように思うわけでございますが、ご見解を伺います。
〇米田道路保全担当部長
東京都は路面補修工事など車道や歩道の改修にあわせまして、段差や勾配の改善を実施しておるところでございます。沿道利用など地域の状況に応じまして、セミフラット化形式を積極的に採用していきたいと考えております。今後ともセミフラット形式を基本としまして、沿道住民の方々の理解と協力を得て、安全で快適な歩行空間の確保に取り組んでまいります。
〇吉田委員
ありがとうございます。ぜひ積極的にお進めをいただきたい。そして、その中で、場所の、土地の地形というものも勘案をいただきたいと思います。
道路、都道が地形の谷底を通っているようなところでは、この歩道の高さまで十センチ、これを車道を上げていただいてセミフラット化をしていく、こういうことが望まれますし、あるいは逆に、都道が、具体的には私の近くの早稲田通りがそうですが、尾根状になっているところ、そういう都道もございます。その都道からどちら側に行っても、区道は山をおりるようになっている。そして、民地も下がっている。こういうところがございます。こういうところでは、歩道の高さまで車道を上げてセミフラット化にしようとすると、区道から、あるいは宅地から、さらに勾配がきつくなるような形でセミフラット化をするんだということになります。こういうときには、ぜひ歩道の側を車道の高さまで下げて、区道やほかのところをいじらないで済むような、民地と地先との関係、いろいろ難しいこともあろうかと思いますが、可能な範囲で民地の方とのいろいろと合意もしていただきながら、余り勾配がきつくならない方向でセミフラット化というものをぜひお進めをいただきたい、このように要望を申し上げます。
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