中国の外貨準備は既に枯渇しているのではないか。

中国の外貨準備は既に枯渇しているのではないか。

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《中国、「旧正月」を前に、さらに厳しい外貨持ち出し規制 ひとりの上限を5万ドルから1万5000ドルに》
2017.12.31「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」第5562号

旧正月を前にして、中国人の海外旅行はピークを迎える。

三年前まで、中国人の「爆買い」は世界に脅威の印象を与える一方で小売業界は商機到来と捉えた。ホテルや、デパートばかりか、ドンキホーテなど、あらゆる店舗が改装し、中国語のできる店員を雇い、さらなるブームに備えた。欧米でも同じ対策をとった。

ところが、爆買いは「突然死」していた。銀座のブランド旗艦店を覗かれると良い。店内がガラガラである。

外貨持ち出しが制限され、ATMから現地で引き出せる上限は一日に一万元(およそ16万円)、年間に5万元(80万円)となったのも束の間、2017年12月30日に当局は、後者の上限を1万5000ドル(24万円)に制限するとした(前者は据え置き)。

これっぽっちの上限枠では海外で食事をして、交通費などを考えると、土産にまで予算は回らないだろう。一年に一回ていどしか海外旅行は楽しめなくなる。逆に言えば中国人の観光客が世界的規模で激減するだろう。

日本でもすでにその兆候があり、かれらの食事場所は豪華レストランから、吉野屋、回転寿司、立ち食い蕎麦、すき家などに移行している。

過去2年間の動向をみても、中国人ツアー客相手の免税店は閑古鳥、店員は暇をもてあまし、地方都市(福岡、神戸、長崎など)でも、ホテルはがらんとしている(クルーズ船が主流となったからだ)。カメラ店も、ブームは去ったと嘆いている。

新しい外貨規制は、2018年1月1日から実施される。

中国政府の発表では、目的は(1)資金洗浄を防ぎ(2)テロリストへの資金の迂回を止める。(3)脱税防止としている。

そんな表向きのことより(そもそもATMを使って利便性の高い現地通貨を目的地で引き出す上限が一日16万円ていどで、資金洗浄、テロ資金、脱税などに転用される筈がないではないか)、本当の目的は底をついている外貨を防衛することになる。

あれほどブームだったビットコインも中国では取引所が停止されたため、突然ブームは去った。ビットコインは昨秋から日本に熱狂が移った(が、そのうちの幾ばくかは在日華僑、日本人を代理人に立てた中国人投機筋だろう)。

▼本当の目的は外貨流出防衛だ

拙著で度々指摘してきたことだが、中国の外貨準備、公式的には3兆ドルと言っているが(このなかには1兆1000億ドルの米国債権を含む)、対外債権の多くが「一帯一路」の頓挫が象徴するように、すでに不良債権化しており、あまつさえ共産党幹部が不正に持ち出した外貨が3兆ドルを超えている。つまり中国の外貨準備は事実上マイナスに転落していると推測できる。

かろうじて中国が外貨を取り繕えているのは、貿易によるドル収入と、海外企業からの直接投資が続いているからだ。これでなんとかやりくりしてはいるが、予測を超えるペースで外貨準備が激減しており、今後も、この動向は悪化してゆくだろう。

次なる対策として、おそらく中国は海外で購入した資産売却に走る。つまり買収した企業、土地、不動産の売却である。

また同時に「上に政策あれば、下に対策あり」の中国人のことだから、別の手口により新現象が併行して起こるだろう。

第一はヤミ金融、地下経済、偽札の横行が予測され、第二に外貨持ち出しも、小切手や証券などの手口が使われ、詐欺的な新手口が見られるようになるだろう。

第三にこれまで日本などで買ったローレックスなどを逆に日本に持ち込んで売却することも予測され、ダイヤモンドなど換金価値の高いものが逆流することになるのではないだろうか。

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