公営企業会計決算特別委員会 (都立病院の医療人材の確保・北多摩北部地域の小児医療体制について)

平成23(2011)年10月28日

公営企業会計決算特別委員会

〇吉田委員 皆様お疲れさまでございます。本日最後の質問者でございます。よろしくお願いいたします。まず、病院経営本部の、そして都立病院の皆々が、都民の命と健康と安全を守るため、日夜全力で努力をされていますことに心より感謝を申し上げます。
 都立病院の医療人材の確保につきましては、ここ数年の議会での議論も踏まえまして、さまざまに取り組みをされていると伺っております。
 本分科会に提出されました資料、この4ですね、都立病院の医師、看護要員及び医療技術員等の定数及び現員の推移によれば、平成二十二年度は、前年度と比較し、特に医師や看護要員で定数、現員ともに増加していることがうかがえます。
 このことは、都立病院の再編整備とともに、七対一看護体制の拡充を初め、医療提供体制が充実強化していることをあらわしていると思います。
 まずは、この確認のためにお伺いしますが、この資料における医師及び看護要員の、この三年間の充足率の推移について伺います。

〇藤田経営企画部長 まず、医師につきましては、平成二十年度は九五・六%、平成二十一年度は九六・一%、また、平成二十二年度は九六・八%と、毎年着実に充足率を上げてきております。
 また、看護要員につきましては、平成二十年度は九九・六%、平成二十一年度は一〇一・九%、平成二十二年度は一〇五・三%と充足率を上げてきてございます。

〇吉田委員 平成二十年度以降、充足率は年々増加傾向にあって、まず医師について体制が強化されていることが明確にあらわれています。また、看護要員についても、確保のための着実な取り組みなどによって看護体制の拡充が進んでいるわけであります。
 この常勤職員の配置状況はご説明のとおりでございますが、医師については一〇〇%には達していない。平成二十二年度で九六・八%ということでございますが、私、これ以外にも非常勤の職員が医師を初め多く配置されて都立病院の医療提供に貢献していると考えております。
 そこで、平成二十二年度の医師の充足率について、非常勤医師を常勤換算して含めた場合の数値をお伺いいたします。

〇藤田経営企画部長 非常勤医師につきましては、さまざまな勤務形態がございますけれども、これを常勤換算いたしますと、合計で一千九十六名となりまして、常勤定数に対する充足率は一二五・一%となってございます。

〇吉田委員 充足率が一〇〇%を超えていると。こういう数値となっておりますのは、都立病院がこれまでに医療人材の確保に向けて一生懸命に取り組んでこられた成果だと感じております。
 私は、昨年三月の第一回都議会定例会の厚生委員会で、ここ数年の間に医師については、宿日直手当が三万円と以前のほぼ倍増になるなど給与面での改善が進んでいること、また、チーム医療における専門性を持つ看護人材の活用が医療崩壊を食いとめる上で重要な役割を果たすのではないか、また、都立病院が持つ高度な医療機能を十分発揮していくため、専門分野において卓越した能力を持つ者への処遇も必要じゃないかということを申し上げた次第であります。
 その際、御本部から取り組みの状況についてお伺いし、今後の人材確保や育成の成果が大いに期待ができますし、また、有能な人材が安定的にそろうことで都立病院の高度で専門的な医療提供体制が継続的に確立し、患者、サービスのさらなる向上につながるものと心強く感じたところであります。
 この都立病院は、公的医療機関として都民の生命と健康と安全を守るため日夜ご努力をされているわけでありますが、一方、そこで働く職員の処遇、そして勤務環境の改善にも一生懸命に取り組んで人材確保策を継続して推進しておられるものと思います。
 本日は、決算の委員会ということで、改めて、医師及び看護要員などについて、平成二十二年度までの処遇改善等について、その具体的な内容についてお伺いをします。

〇藤田経営企画部長 平成二十年度は、初任給調整手当適用区分変更に伴います増額、指導医業務手当の新設、異常分娩手当の新設、育児短時間勤務制度の導入、あるいは院内保育室の拡充、医療クラークの導入、病院賠償責任保険加入による医療リスクへの対応といったものに対応してきてございます。
 また、平成二十一年度でございますが、緊急登院に対応した交代制勤務等業務手当の増額、救急医療業務手当の新設、あるいは産科医業務手当の新設等を行ってございます。
 また、平成二十二年度には、平成二十一年度に継続をいたしまして医師公舎の追加借り上げ、また、二十四時間院内保育室の拡大や保育年齢の延長等、院内保育室の拡充などが挙げられるところでございます。
 処遇改善や勤務環境改善以外にも、看護キャリアパスの充実、あるいは資格取得支援の拡大等、医療スタッフのスキルアップにも引き続き取り組んでいるところでございます。

〇吉田委員 ただいまご丁寧にご答弁いただきました。都立病院が医療人材の確保、育成についてこれまでも積極的に取り組んでこられましたし、その結果として医療提供体制がしっかりと拡充、整ってきているということは、本当に私は評価をさせていただきたいと思います。
 本日も各会派の委員の先生方からいろいろと質疑がございましたけれども、今後もこれまで同様取り組みを継続し、都民に対してさらなる充実した医療が提供されるように、しっかりと取り組んでいただきますようにお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 次に、廃止をされましたというか、統合されました清瀬小児病院の移転後の北多摩北部地域における小児医療の確保についてお伺いいたします。
 都は、多摩地域における小児救急医療体制の整備のために、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を移転統合し、平成二十二年三月に小児総合医療センターを開設されました。
 移転に当たりましては、私ども民主党から地域医療を確保するための緊急要請を行いまして、都からは、医師の派遣などの対策を約束していただいたという経緯がございます。とりわけ北多摩北部地域については、清瀬小児病院が、その地域の小児医療の中心的な役割を果たしてきましたので、初期救急に関しても清瀬小児病院に患者が集中する傾向があったかと思います。
 このため、当時は、清瀬小児病院を頼りにしていた地域の皆様の不安は大きく、移転しても安心して医療が受けられる体制があるのか、これをきちんと確保する体制を構築する必要がございました。
 この対応として、都は、一般会計ではありますけれども、東京都保健医療公社の多摩北部医療センターに二系列の救急受け入れ体制を構築し、同センターに小児総合医療センターの医師を派遣するなど、密接な連携を図りながら地域の小児救急医療体制を確保していくとされたわけであります。
 引き続き、北多摩北部地域の後医療をしっかりと確保していただいていると思いますので、この平成二十二年度の決算に当たりまして、その後の状況を確認してまいりたいと思います。
 まずは、この清瀬小児、移転後の地域の小児医療体制をどのように構築してきたのか、再度ご確認をしたいと思います。

〇齊藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターでは、清瀬小児病院移転前に、十三床でありました小児病床を移転に合わせて三十五床に増床いたしまして、受け入れ体制を構築してまいりました。
 また、小児救急外来の当直を二系列で実施するとともに、地区医師会との連携協力による平日五日の準夜小児救急の実施などによりまして、地域の小児救急体制を維持継続してきております。さらに、多摩北部医療センターを小児総合医療センターの特別連携病院として位置づけまして医師の交流を図るなど、密接に連携しながら小児医療体制を確保しているところでございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。当時こういうふうに頑張ってまいりますとおっしゃっていたことを、その後着実に実施していただいているというご答弁であります。
 この北多摩北部地域の後医療について、多摩北部医療センターが中心的に担っていく体制であること、そして、しかし、それを任せきりにしないで小児総合医療センターの特別連携病院と位置づけて、人的な連携を図りながら、この小児救急医療体制を確保、維持していただいていることを確認いたしました。
 この特別連携病院としての連携について、もう少しお伺いしたいと思います。この、清瀬小児病院が受け持っていた地域の小児救急を多摩北部医療センターに引き継ぐに当たって、小児総合医療センターとしてどのように連携してきたのかお伺いします。

〇齊藤経営戦略・再編整備担当部長 清瀬小児病院が移転した直後から、小児総合医療センターの医師を継続して派遣することで、多摩北部医療センターにおける小児医療の診療体制を確保、維持しております。
 具体的に申し上げますと、移転直前に常勤医師が四名体制であったところ、二十二年三月時点でシニアレジデントを含めて九名体制、五月からは十一名体制となっております。
 このほか、小児総合医療センターに多摩北部医療センターのシニアレジデントを一定期間受け入れまして、多摩北部医療センターの医療水準の向上に努めているところでございます。

〇吉田委員 小児総合医療センターは、多摩地域における小児救急医療体制を支えて、こども救命センターとして三次救急も担っていく役割がございます。特に、開設後の平成二十二年度は病棟の段階的な開棟など、すぐには軌道に乗らなかったと思われますので、安定するまで医師を初め、関係の皆様大変ご苦労されたと思います。
 そうした中でも、多摩北部医療センターとしっかりと連携していただきながら、清瀬小児病院の後医療である北多摩北部地域の小児医療体制の確保に向けて努力をされてきたものと考えます。
 多摩北部医療センターの医師の皆様ももちろん努力をされていると思いますが、小児総合医療センターとの連携があって初めて地域の皆様が安心できる医療体制が機能している、こういうことを感じました。
 そこで、この体制はしっかりしているんだということで実績についてお伺いをいたします。多摩北部医療センターにおける平成二十二年度の小児救急患者の実績はどれだけだったのかお伺いします。

〇齊藤経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターの平成二十二年度の小児救急外来患者数でございますけれども、七千七百五人でございまして、移転前でございますが、平成二十年度と比較して三千三百二十五人の増加で一・八倍、平成二十一年度と比較しまして八百三十五人の増加、一・一倍となってございます。

〇吉田委員 七千七百人余りということでございます。この初期救急の患者の数というのは、例えば、ことしはRSウイルスがはやっているようでございますが、インフルエンザの流行などは、その時々の状況によって大きく変化をいたしますので、一概に、数字を単純に比較することはできませんけれども、移転後の体制を全くとっていなかった段階の平成二十二年度と移転後の平成二十二年度を、乱暴にですけれども、単純に比較すると、多摩北部医療センターの受け入れ患者数は実に二倍近くになっているというご答弁でございました。
 こうした数字を聞かせていただいても、医療体制の確保に関する緊急要請を行って、これを受けとめていただいて、実際に体制を確保していただいたということは、本当によかったと思っております。
 当時、清瀬小児病院が担っていた小児初期救急の患者数は約一万人ということで伺っております。この一万人の患者さんを確実に受けとめていただける、こういう体制をつくってもらえているんだと認識はいたしますけれども、この七千七百という数字は若干少ないようにも感じるわけでございます。
 そこで、この実績でありますが、地域の皆さんの医療が、それはきちんと確保できているんですよということを改めてもう少し丁寧に、詳しくお伺いしたいと思います。

〇齊藤経営戦略・再編整備担当部長 地域医療につきましては、初期医療は地元の医療機関、入院の必要な二次医療は多摩北部医療センター、あるいは公立昭和病院などの中核病院、専門医療は小児総合医療センターがそれぞれの役割を担っております。
 小児救急につきましては、多摩北部医療センターのほか、近隣の中核病院においても受診機会が適切に確保されておりまして、清瀬小児病院に集中していた患者さんが地域の医療機関に分散化していると考えております。
 具体的に申し上げますと、地域の医師会が実施する準夜帯の小児救急診療は、平成二十一年九月より、従前の週三日から週五日に体制を強化しておりまして、一日当たりの患者さんの数は、平成二十年度に三・五人であったものが平成二十一年度は四・五人、平成二十二年度は五・四人と、移転前に比べて、数で申し上げますと二名程度ふえております。
 また、公立昭和病院の一日当たりの小児救急の患者さんの数は、平成二十年度に九・三人であったものが平成二十一年度は十一・三人、平成二十二年度は十一・〇人と、移転前に比べて、やはりこちらも二名程度ふえたというふうに聞いております。
 このほか、清瀬小児病院には埼玉県からの多くの患者さんが来院しておりましたけれども、清瀬市に隣接する所沢市の市民医療センターでは、清瀬小児病院の移転後の対応を含めまして従前の準夜帯に加えまして深夜帯の救急診療を平成二十一年十月から週四日に、そして本年、平成二十三年一月から週五日に拡大したというふうに聞いております。
 この結果、一日当たりの小児の救急患者さんの数は平成二十年度に二十四・四人でございましたが、平成二十一年度には三十五・一人、平成二十二年度には三十四・六人と、移転前に比べて十人程度ふえたと伺っております。

〇吉田委員 これは、多摩北部医療センターでの患者数の増加のほか、ほかの中核病院である公立昭和病院では一日当たり二人増、もともと埼玉県からの患者さんが多数いらっしゃったわけですが、その方々は埼玉県内の医療機関で受診されて一日当たり十人増、そのほか、当然、地元の診療所などでも患者さんはふえているでしょうから、それまで一万人という患者さんは、これまでの清瀬小児病院一点集中でずっと来られていた状況から、各医療機関に分散して、結果的に地域の医療はきちんと確保されている、機能しているんだというご説明であったと思います。
 しかしながら、これがきちんと機能しているんだということをいうためには、皆さん渋々そうされているということでなくて、地域の皆様が安心して子どもを育てる環境にあると感じていらっしゃるか、また、地元の医師会の先生方が過度の負担感を持たずに今の新しい体制に理解、協力をいただいているかなど多面的な分析をして、その結果を受けて初めて総括できるものと考えます。
 そこで、地元の各自治体あるいは医師会の先生方は、清瀬小児病院移転後の小児医療体制についてどのような評価を今していらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。

〇齊藤経営戦略・再編整備担当部長 清瀬小児病院移転後の地域の小児医療体制を確保するために、小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、及び西東京市の各自治体や各地区医師会、並びに公立昭和病院、病院経営本部などで構成する小児初期救急医療体制推進協議会が設立されまして、年二回程度意見交換を行っております。
 清瀬小児病院の移転前は、ご指摘もございましたように、移転後の小児医療に対して不安の声も寄せられたことも事実でございますが、多摩北部医療センターなどの救急外来の充実化などの対応を実施したことで、先ほど数字をお示しさせていただきましたように、当初より混乱のない、安定した状態が続いております。
 同協議会におきましても、各自治体より、住民の方々からは現体制で困っているとの意見は届いていない、あるいは現在の体制は着実に住民の方々に浸透しているなどといった肯定的な見解が示されておりまして、地域の方々から相応の評価をいただいているものというふうに認識しております。
 今後とも、地元自治体との連携を密にしまして、地域における小児医療の状況を見据えながら、地域の方々が安心できる医療体制を確保していきたいというふうに考えております。

〇吉田委員 ありがとうございます。私ども民主党が緊急要請をさせていただいて、それをできる限り一生懸命取り組んでいただいて、都には北多摩北部地域の小児医療体制をしっかりと確保していただいて、地域の皆様からは、これもしっかりと理解を示していただいて苦情の声が上がっていない。そしてまた、何かあったときにはきっちりと見てくれる体制になっているから、安心して子育てできるんだという状況だということをご答弁いただいたと思います。
 また、移転後の患者数は当然ふえていますけれども、地域の皆様も混乱することなく、安定した状況が続いているということも確認させていただきました。今後とも、この地域におきましては、多摩北部医療センターを中心として一次医療と二次医療の連携、二次医療と三次医療の連携をさらに、これまで以上に進めていただくことが大事だと思います。
 そのため、小児総合医療センターが総合力を発揮しながら、特別連携病院であります多摩北部医療センターとの交流、医療連携をさらに深めていただいて、さらに地域の皆様から信頼される、安心できる医療体制を提供していただくということを要望したいと思います。
 この地域の後医療体制をしっかりとやっていただいているということは、今後とも病院経営本部が行う都内の他の医療圏でのさまざまな事業、施策、これに対する都民の信頼感の源となるものでございます。
 今後とも都民の命と健康を守るためにさまざまなご努力を一層していただくように改めてお願いいたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。